資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第二編 株式会社/第四章 機関/第五節 取締役会/第二款 運営

会社法 第371条(議事録等)

分野:取締役・取締役会

出題試験:行政書士司法書士

この条の要点

  • 株主の議事録閲覧請求(監査機関設置会社):監査役設置会社等の株主は議事録閲覧に裁判所の許可が必要。会計限定監査役の会社は別。
  • 議事録の備置き期間と債権者の閲覧:議事録は10年間本店に備置き。債権者・親会社社員の閲覧は裁判所許可制。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第371条(議事録等)

取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。

②株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

③監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社の営業時間内は、いつでも」とあるのは、「裁判所の許可を得て」とする。

④取締役会設置会社の債権者は、役員又は執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該取締役会設置会社の議事録等について第二項各号に掲げる請求をすることができる。

⑤前項の規定は、取締役会設置会社の親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。

⑥裁判所は、第三項において読み替えて適用する第二項各号に掲げる請求又は第四項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該取締役会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第三項において読み替えて適用する第二項の許可又は第四項の許可をすることができない。

条文の要点

取締役会の議事録とは、取締役会の議事について作成する記録で、みなし決議の同意の表示を記録したものと併せて10年間本店に備え置きます(371条1項)。

株主は権利行使に必要なとき営業時間内に閲覧・謄写を請求でき、債権者と親会社社員は裁判所の許可を得て請求できます。

取締役会の議事録の閲覧に許可が要る場面

株主は原則として許可なく請求できますが、監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では裁判所の許可が要ります。監査役の監査範囲を会計に限定する会社は監査役設置会社に当たらず許可は要りません。債権者は役員等の責任追及のため、親会社社員は権利行使のために必要なときに限り、それぞれ許可を得ます。

項役割内容
1項手続議事録とみなし決議の同意の表示の記録を、取締役会の日から10年間本店に備え置く
2項要件株主は権利行使に必要があるとき、営業時間内に閲覧または謄写を請求できる
3項例外監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では、株主の請求に裁判所の許可を要する
4項・5項要件債権者は役員等の責任追及のため、親会社社員は権利行使のため、それぞれ裁判所の許可を得て請求する
6項例外閲覧等で会社や親会社・子会社に著しい損害のおそれがあると認めるときは許可できない

具体例

監査役設置会社である株式会社Aの株主Bが、取締役の責任を追及する訴えの準備のため、取締役会の議事録の閲覧を請求しようとしています。

監査役設置会社では株主の閲覧請求に裁判所の許可が要るため、Bは許可を得てから請求します。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Aが監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社のいずれでもない株式会社である場合に変えます。

Bは権利行使に必要があるとして、裁判所の許可なく営業時間内にいつでも閲覧・謄写を請求できます。

関連条との違い

  • 会社法 第318条:株主総会の議事録は株主と債権者が営業時間内にそのまま閲覧できます。取締役会の議事録は会社の類型や請求者の立場で裁判所の許可が要ります
  • 会社法 第370条:370条は会議を省略するみなし決議ですが、会社法施行規則101条4項1号に従った議事録も作成します。371条は通常の議事録と同意の意思表示の記録の備置き・閲覧を定めます

過去問で誤りとされた肢の型

  • 行政書士平成22年 問36肢1

    監査役等を置く会社の株主は営業時間内にいつでも取締役会議事録を閲覧できるとする誤り。監査役設置会社等では株主の請求に裁判所の許可が要ります

  • 司法書士令和5年度 問31ウ

    債権者は許可なく取締役会議事録の閲覧・謄写を請求できるとする誤り。債権者は役員等の責任追及のために必要な場合に限り裁判所の許可を得ます

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年8月12日施行版

この条文の〇×問題(2問)

株主の議事録閲覧請求(監査機関設置会社)

監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する会社を除く)の株主は、権利行使のために必要な範囲で、会社の営業時間内ならいつでも取締役会の議事録を見せるよう求めることができる。

正解と解説を見る

正解 ×

誤り。監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社の株主が取締役会議事録等の閲覧・謄写を請求するには、裁判所の許可を得なければならない(371条2項・3項)。なお、監査役の監査範囲を会計に限定する会社は、監査役を置いていても監査役設置会社(2条9号)に当たらないため、株主は営業時間内いつでも請求できる。

学習ポイント:監査役設置会社等の株主は議事録閲覧に裁判所の許可が必要。会計限定監査役の会社は別。

第371条2項・3項

議事録の備置き期間と債権者の閲覧

取締役会設置会社は取締役会の議事録を取締役会の日から10年間本店に備え置かなければならず、会社の債権者が取締役の責任を追及するためにその閲覧を請求する場合には裁判所の許可を得なければならない。

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正解 ○

正しい。取締役会議事録等は取締役会の日から10年間本店に備え置かなければならない。会社の債権者が役員または執行役の責任を追及するために議事録等の閲覧・謄写を請求する場合には、裁判所の許可を得る必要があり、親会社社員についても同様に裁判所の許可を要する。

学習ポイント:議事録は10年間本店に備置き。債権者・親会社社員の閲覧は裁判所許可制。

第371条1項・4項・5項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士平成24年 問38肢4

株主は、その権利を行使するために必要があるときには、会社の営業時間内は、いつでも取締役会議事録の閲覧を請求することができる。

正誤と理由を見る

正しい

取締役会議事録は、株主が権利行使のため必要があるとき、営業時間内いつでも閲覧等を請求できる(371条2項)。正しい。

行政書士平成22年 問36肢1

監査役または監査委員が設置されている株式会社の株主は、取締役の任務懈怠を理由とする責任追及を行うために、当該会社に対して、営業時間内であれば、いつでも取締役会議事録の閲覧および謄写を請求することができる。

正誤と理由を見る

誤り

監査役設置会社等では、株主による取締役会議事録の閲覧・謄写請求には裁判所の許可が必要(371条3項)。誤り。

司法書士令和6年度 問28オ

監査役設置会社において、株主が取締役会の議事録の閲覧又は謄写を請求するためには、裁判所の許可を得ることを要しない。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。監査役設置会社等では、株主又は債権者が取締役会の議事録の閲覧・謄写を請求するには裁判所の許可を得ることを要する(371条2項)。「要しない」は誤り。

司法書士令和5年度 問31ウ

監査役会設置会社の債権者が当該監査役会設置会社の取締役会の議事録の閲覧又は謄写の請求をするには、裁判所の許可を得ることを要しない。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。債権者が取締役会議事録の閲覧・謄写を請求するには、役員の責任を追及するために必要があるときに限り裁判所の許可を要する(371条4項準用)。

司法書士平成27年度 問30エ

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社の株主は、その権利を行使するため必要がある場合には、当該株式会社の営業時間内は、いつでも、裁判所の許可を得ることなく書面をもって作成されている取締役会の議事録の閲覧又は謄写の請求をすることができる。

正誤と理由を見る

正しい

正しい。監査範囲を会計に限定する定款の定めがある会社では、株主は裁判所の許可なく取締役会議事録の閲覧・謄写を請求できる(会社法371条2項7号)。

問題で確認する

第371条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。