第五編 組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付/第五章 組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付の手続/第二節 吸収合併等の手続/第一款 吸収合併消滅会社、吸収分割会社及び株式交換完全子会社の手続/第一目 株式会社の手続
会社法 第785条(反対株主の株式買取請求)
この条の要点
- 議決権なし株主の買取請求:議決権なし株主は通知・反対表明不要で買取請求可。範囲を広く捉える。
- 反対表明の手続要件:反対株主=事前通知+総会で反対の二重要件。片方だけでは不可。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第785条(反対株主の株式買取請求)
吸収合併等をする場合(次に掲げる場合を除く。)には、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
一 第七百八十三条第二項に規定する場合
二 第七百八十四条第二項に規定する場合
②前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主(第七百八十三条第四項に規定する場合における同項に規定する持分等の割当てを受ける株主を除く。)をいう。
一 吸収合併等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合次に掲げる株主
イ 当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該消滅株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
二 前号に規定する場合以外の場合全ての株主(第七百八十四条第一項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)
③消滅株式会社等は、効力発生日の二十日前までに、その株主(第七百八十三条第四項に規定する場合における同項に規定する持分等の割当てを受ける株主及び第七百八十四条第一項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)に対し、吸収合併等をする旨並びに存続会社等の商号及び住所を通知しなければならない。ただし、第一項各号に掲げる場合は、この限りでない。
④次に掲げる場合には、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
一 消滅株式会社等が公開会社である場合
二 消滅株式会社等が第七百八十三条第一項の株主総会の決議によって吸収合併契約等の承認を受けた場合
⑤第一項の規定による請求(以下この目において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
⑥株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、消滅株式会社等に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。ただし、当該株券について第二百二十三条の規定による請求をした者については、この限りでない。
⑦株式買取請求をした株主は、消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
⑧吸収合併等を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。
⑨第百三十三条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。
この条文の〇×問題(2問)
議決権なし株主の買取請求
株主総会の承認決議を経る吸収合併等の場合、株式の買取請求ができるのは、総会に先立ち反対を通知して総会で反対した株主だけでなく、その総会で議決権を行使できない株主にも及ぶ。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。株式買取請求ができる反対株主には、株主総会に先立ち反対を通知し総会で反対した議決権行使可能株主のほか、議決権を行使することができない株主も含まれる。議決権を行使できない株主は事前通知等の手続を経なくても請求できる。
学習ポイント:議決権なし株主は通知・反対表明不要で買取請求可。範囲を広く捉える。
第785条2項1号
反対表明の手続要件
株主総会の決議を要する吸収合併等で、議決権を行使することができる株主が株式買取請求をするには、株主総会において吸収合併等に反対票を投じれば足り、総会に先立って会社に反対する旨の通知は要しない。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。議決権を行使することができる株主が反対株主となるには、株主総会に先立って吸収合併等に反対する旨を会社に通知することと、当該株主総会において反対することの両方が必要である。総会での反対票だけでは要件を満たさない。
学習ポイント:反対株主=事前通知+総会で反対の二重要件。片方だけでは不可。
第785条2項1号イ
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和6年度 問34エ
吸収分割において、吸収分割株式会社が株主総会の決議によって吸収分割契約の承認を受けなければならないときは、当該株主総会において議決権を行使することができない株主は、当該吸収分割株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。株主総会の決議を要する吸収分割で、議決権を行使できない株主も反対株主として株式買取請求をすることができる(785条5項)。
司法書士平成30年度 問34イ
吸収合併存続株式会社が吸収合併消滅株式会社の特別支配会社である場合であっても、吸収合併消滅株式会社の反対株主は、吸収合併消滅株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。簡易吸収合併(特別支配会社)の場合でも、消滅会社の反対株主は株式買取請求をすることができる(会社法785条1項)。
司法書士平成26年度 問70ア
A社に承継させる資産の帳簿価額の合計額がB社の総資産額として法務省令により定まる額の5分の1を超えず、かつ、B社において株主総会の承認決議を経ずに吸収分割の手続を行った場合において、B社の株主から吸収分割に反対する旨の通知があったときは、A社の吸収分割による変更の登記の申請書に、反対する旨を通知したB社の株主が有する株式の数を証する書面を添付しなければならない。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。B社が株主総会の承認決議を経ずに吸収分割を行った簡易分割の場合、反対株主に株式買取請求権は認められず(会社法784条2項・785条1項2号)、反対株主の有する株式数を証する書面の添付を要しない。
解説で第785条を参照している問
問題で確認する
第785条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。