資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第三章 国民の権利及び義務・人権総論

日本国憲法 第13条
個人の尊重と幸福追求権

第13条は、個人の尊重を出発点に、生命・自由・幸福追求に対する権利を国政上最大限尊重するよう求めます。

出題試験:行政書士司法書士

条文原文

第13条

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

出典:e-Gov法令検索「日本国憲法」公布:1946年11月3日/施行:1947年5月3日

条文の要点

幸福追求権とは、個人として尊重される国民の生命、自由及び幸福追求に対する権利です(13条)。

個別の人権規定がない私生活上の自由を保障する根拠にもなります。判例は個人情報をみだりに第三者へ開示・公表されない自由を認めますが、住基ネット判決が自己情報コントロール権一般を承認したわけではありません。

幸福追求権の保障の範囲

判例は13条から私生活上の自由を導き、みだりに指紋の押なつを強制されない自由を在留外国人にも認めます。住基ネットでは、情報の秘匿性に加え、法令に基づく正当な行政目的と漏えい・目的外開示等の具体的危険がないことを踏まえ、自由の侵害を否定しました。

項役割内容
1項前段定義国民が個人として尊重されることを確認し、各人権規定の根底となる一般原則を示す
1項後段効果生命・自由・幸福追求の権利を、立法その他の国政全体で最大限尊重するよう国に課す
1項但書相当例外公共の福祉に反する場合には制約を受けうる限定がある

具体例

行政機関Bが、在留外国人Aに、法令上の根拠も正当な必要性もないのに、拒否すれば制裁を加えると告げて指紋の押なつを強制しました。

Aにもみだりに指紋の押なつを強制されない自由が保障され、正当な理由を欠くこの強制は13条の保障に反します。

反例(結論が変わる)

同じ押なつの場面で、拒否への制裁も強制もなく、Aが自由な意思で押なつを選んだ場合に変えます。

押なつの強制がないため、みだりに強制されない自由の侵害という問題は生じません。得た指紋情報の利用や公表の適法性は別問題です。

関連条との違い

  • 憲法 第22条:22条は居住・移転・職業選択の自由という個別の自由権を挙げる規定。13条は個別列挙のない新しい人権を受け止める包括的な規定
  • 憲法 第97条:97条は基本的人権が永久の権利として信託されたと宣言する規定。13条は権利の内容と尊重の程度を定める実定的な規定

過去問で誤りとされた肢の型

  • 行政書士平成26年 問3肢1

    判例が13条を立法による具体化を待つプログラム規定と解するという誤り。判例も新しい人権の一般的・包括的な根拠とする立場

  • 行政書士平成26年 問3肢4

    プライバシーは私法的防御・自己決定権は公法的問題という二分の誤り。両者とも公法的・私法的両側面を持つ

  • 司法書士平成30年度 問1エ

    本人確認情報の管理には必ず本人の同意が要るという誤り。住基ネットでは法令に基づく正当な目的と漏えい・目的外開示等の具体的危険がないこと等から侵害を否定

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

判例

  • 指紋押なつ拒否事件最高裁判所第三小法廷 1995年12月15日

    何人も個人の私生活上の自由の一つとしてみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有し、その保障は在留外国人にも及ぶ

  • 住民基本台帳ネットワーク事件最高裁判所第一小法廷 2008年3月6日

    住基ネットによる本人確認情報の管理・利用等は、情報の秘匿性が高くなく、法令に基づく正当な行政目的の範囲内で行われ、漏えい・目的外開示等の具体的危険もないことから、本人の同意がなくても、情報をみだりに第三者に開示・公表されない自由を侵害しない

法令版: 1947年5月3日施行版

この条文の〇×問題(2問)

幸福追求権の性質と制約

幸福追求に対する国民の権利は、いかなる公共上の制約をも受けない絶対的な権利として保障されている。

正解と解説を見る

正解 ×

誤り。生命・自由及び幸福追求に対する権利は、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする。公共の福祉による制約を受けることが明文で予定されており、絶対的な権利ではない。但書による限定を見落とさない。

学習ポイント:幸福追求権は公共の福祉に反しない限りで最大の尊重。絶対的ではない。

第13条、関連:第12条・第22条

最大の尊重を要する範囲

生命・自由及び幸福追求に対する権利に最大の尊重を払うよう求められるのは、立法機関のみならず、行政機関及び裁判所をも含む国政の全領域である。

正解と解説を見る

正解 ○

正しい。最大の尊重が要請されるのは立法だけでなく「その他の国政の上で」とされ、行政・司法を含む国政の全領域に及ぶ。個人の尊重は各人権規定の根底にある一般原理としても機能する規定である。国政の全領域に及ぶ点が鍵である。

学習ポイント:最大の尊重は立法に限らず行政・司法を含む国政全体に及ぶ。

第13条、関連:第14条・第97条

MEMORY POINTS

穴埋めで覚えるポイント

  • 「すべて国民は、個人として尊重される」
  • 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利
  • 公共の福祉に反しない限り最大の尊重

関連判例

よくある疑問

幸福追求権は第13条のどの部分?

「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」として規定され、プライバシー権など新しい権利の根拠として解釈されています。

この条文の過去問

第13条を解説の根拠とする過去問です。実際の出題形式で確認できます。

問題で確認する

第13条は1問収録しています。条文全体の学習セッションで、前後の語句と一緒に確認できます。

条文穴埋めを始める