資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第四章 登記手続/第三節 権利に関する登記/第一款 通則

不動産登記法 第70条(除権決定による登記の抹消等)

分野:登記手続/権利に関する登記/通則・登記手続/権利に関する登記/所有権に関する登記

出題試験:司法書士

この条の要点

  • 所在不明の共同申請者への公示催告:所在不明は公示催告→除権決定で単独抹消。直ちには不可。
  • 担保権抹消の期間経過による特例:所在不明+供託の単独抹消は弁済期から二十年経過が要件。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第70条(除権決定による登記の抹消等)

登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。

②前項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。

③前二項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で第一項の登記の抹消を申請することができる。

④第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。

条文の要点

所在不明の相手方との抹消とは、共同申請すべき者の所在が知れないときに所定の手続を経て権利者が単独で抹消できる仕組みです(70条)。

公示催告から除権決定を経れば単独で抹消できます。先取特権・質権・抵当権では、被担保債権の消滅を証する情報の提供、または弁済期から20年経過と債権・利息・損害の全額供託でも単独で抹消できます。

所在不明の相手方との抹消の手続要件

所在不明だけでは単独申請はできず、公示催告の申立てから非訟事件手続法の除権決定を得る手続が要ります。先取特権・質権・抵当権では債権消滅の証明情報か、弁済期から20年経過と全額供託の代替があり、供託額は元本・利息・損害の全部を含みます。

項役割内容
1項手続共同相手方の所在が知れないとき、非訟事件手続法の公示催告を申立てられる
2項要件地上権・永小作権・質権・賃借権・採石権又は買戻特約で、登記された存続期間又は買戻期間が満了し、省令の方法で調査しても所在が判明しなければ所在不明とみなす
3項効果除権決定があれば共同申請の原則にかかわらず権利者が単独で抹消を申請できる
4項例外所在不明の担保権は債権消滅の証明情報、または弁済期20年経過と全額供託で単独抹消できる

具体例

土地所有者Aの土地に抵当権者Bの抵当権の登記がある。Bの所在が知れず、Aは公示催告の申立てをして除権決定を得た。

AはBと共同しなくても、単独で抵当権の登記の抹消を申請できる。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Aが公示催告・除権決定を経ず、Bの所在不明だけを理由に申請した場合に変える。

単独申請は認められず、除権決定を経るか、4項の債権消滅の証明か供託の要件を満たすことが要る。

関連条との違い

  • 不動産登記法 第69条:69条は死亡・解散等で権利が消滅する旨が登記されていて、その消滅を証する情報を提供する場合の単独抹消。70条は共同相手方の所在不明に所定の手続で対応する
  • 不動産登記法 第70条の2:70条の2は解散した法人の担保権で弁済期・解散から30年が要件。70条4項は所在不明と弁済期20年・全額供託で要件が違う
  • 不動産登記法 第60条:60条の共同申請原則の例外として、所定の手続・要件を満たせば単独抹消が認められる

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士令和3年度 問56オ

    元本と最後の2年分の遅延損害金だけ供託すればよいとする誤り。債権・利息・損害の全額相当を供託する

  • 司法書士平成26年度 問50ア

    所在不明による単独抹消に公示催告申立てを証する情報が要るとする誤り。債権消滅を証する情報で足りる

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

所在不明の共同申請者への公示催告

抹消登記の共同申請者となるべき相手方の居場所が分からない登記権利者は、公示催告の申立てを行い、除権決定を受ければ単独で当該登記の抹消を申請することが認められる。

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正解 ○

正しい。共同申請すべき者の所在が知れないため抹消申請ができないときは、公示催告の申立てができ、除権決定があれば登記権利者は単独で抹消を申請できる。手続を経た上での単独申請である。共同申請すべき者の所在が知れないときは公示催告の申立てができ、除権決定があれば単独で抹消を申請できる手続である。

学習ポイント:所在不明は公示催告→除権決定で単独抹消。直ちには不可。

第70条1項・3項

担保権抹消の期間経過による特例

抹消の共同申請者となるべき者が行方不明の場面で、被担保債権の弁済期を十年経過し、その後債権・利息・損害金の全額相当が供託されていれば、登記権利者は一人で抵当権登記の抹消を申請できる。

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正解 ×

誤り。所在不明の場合に債権消滅を証する情報の提供なく供託に基づき単独で抹消申請できるのは、被担保債権の弁済期から二十年を経過した場合である。十年では足りない。所在不明の場合に供託に基づき単独で抹消できるのは被担保債権の弁済期から二十年経過後であり、十年では足りない。

学習ポイント:所在不明+供託の単独抹消は弁済期から二十年経過が要件。

第70条4項後段

この条文を解説で参照する過去問

司法書士令和3年度 問56エ

抵当権の登記名義人である株式会社について清算結了の登記がされており、かつ、当該株式会社の清算人として登記されていた者全員の所在が不明である場合であっても、不動産登記法第70条第3項後段の規定による当該抵当権の設定の登記の抹消の申請をすることはできない。

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正しい

正しい。抵当権が残っている以上、清算結了の登記がされていても会社の清算は実際には結了しておらず、会社はなお存続している。この場合は清算結了の登記を抹消して清算人が抹消の申請をすべきであり、清算人全員の所在が不明であっても、登記義務者の所在が知れないとして不動産登記法70条3項後段(現行法では4項後段)による抹消の申請をすることはできないとされている(登記先例)。

司法書士令和3年度 問56オ

登記義務者の所在が知れないため不動産登記法第70条第3項後段の規定による権利に関する登記の抹消の申請をする場合において、当該権利が抵当権であるときは、当該抵当権の被担保債権の元本及び最後の2年分についての遅延損害金に相当する金銭を供託したことを証する情報を提供して、当該抵当権の設定の登記の抹消の申請をすることができる。

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誤り

誤り。不動産登記法70条4項後段(出題当時は3項後段)により登記義務者の所在不明を理由に抹消する場合、抵当権については被担保債権の元本、利息及び損害金の全額に相当する金銭を供託しなければならず、元本及び最後の2年分の遅延損害金のみでは足りない。

司法書士令和2年度 問59エ

抵当権の設定の登記に記録された抵当権者の所在が知れない場合において当該登記の抹消に係る公示催告手続に係る権利についての除権決定に基づき当該登記がされた土地の所有権の登記名義人が申請する当該登記の抹消

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〔Ⅰ〕に該当

〔Ⅰ〕に該当。抵当権者の所在が知れない場合でも登記義務者は現存しており、公示催告手続の除権決定に基づき登記権利者が単独で抹消を申請できる(不動産登記法70条)。

司法書士平成30年度 問58オ

利息に関する定め及び損害金に関する定めがいずれもないA株式会社を登記名義人とする質権の登記がされている土地について、不動産登記法第70条第3項後段の規定に基づき当該質権の登記の抹消を申請する場合には、被担保債権に加え、年6分の割合によるその利息及び損害金に相当する金銭をも供託したことを証する情報を提供することを要する。

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正しい

正しい。休眠担保権の抹消(出題当時の不動産登記法70条3項後段。現行法では4項後段)では、利息・損害金の定めがない質権でも、登記名義人が株式会社であれば年6分(出題当時の商事法定利率)の割合による利息・損害金相当額を併せて供託したことを証する情報を要する。(商事法定利率は2020年4月施行の改正で廃止された)

司法書士平成27年度 問58イ

元本が確定した根抵当権の登記名義人の所在が知れない場合には、当該根抵当権の目的である不動産の所有権の登記名義人は、当該根抵当権の登記名義人の所在が知れないことを証する情報及び当該根抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報を提供して、単独で当該根抵当権の登記の抹消を申請することができる。

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正しい

正しい。登記義務者の所在が知れない場合、登記権利者は、その所在が知れないことを証する情報と被担保債権が消滅したことを証する情報を提供して、単独で抵当権(元本確定後の根抵当権を含む)の登記の抹消を申請できる(不動産登記法70条4項前段、不動産登記令別表26の項。出題当時は70条3項)。

司法書士平成26年度 問50ア

甲土地について設定された抵当権の登記名義人であるAの所在が知れないため、甲土地の所有権の登記名義人であるBが単独で当該抵当権の設定の登記の抹消を申請する場合には、公示催告の申立てをしたことを証する情報を提供しなければならない。

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誤り

誤り。登記義務者の所在が知れない場合、登記権利者は被担保債権が消滅したことを証する情報を提供して単独で抹消を申請できるが(不動産登記法70条4項前段。出題当時は3項)、公示催告の申立てをしたことを証する情報の提供を要する規定はない。

問題で確認する

第70条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。