第二編 普通地方公共団体/第三章 条例及び規則
地方自治法 第14条
この条の要点
- 義務課・権利制限の形式:義務課・権利制限は条例限定(条例主義)。規則では不可。
- 条例の罰則権限:条例罰則:2年以下拘禁刑・100万円以下罰金・拘留・科料・没収・5万円以下過料。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第14条
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
②普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
③普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の拘禁刑、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
条文の要点
条例の制定権限とは、普通地方公共団体が法令に違反しない限りその事務に関し条例を制定できる権能です(14条1項)。
住民へ新たな義務を負わせたり権利を狭めたりする定めは、原則として議会の議決を経る条例に限られます。条例には2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金などの法定刑の範囲内で罰則を置くことができます。
条例の制定権限の罰則の範囲
罰則の設定に個別の法令の委任は要らず、3項が包括的に授権します。設けられるのは2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金・拘留・科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料で、これを超える刑は設けられません。法令に特則がなければ規則の制裁は5万円以下の過料までです(15条)。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 法令に違反しない限り2条2項の事務に関し条例を制定できる |
| 2項 | 要件 | 住民への義務の負担や権利の制限は、原則として条例による必要がある(法令に特別の定めがある場合は除く) |
| 3項 | 効果 | 法令に特別の定めがあるものを除き、法定刑の範囲で罰則規定を設けられる |
具体例
A市がごみ処理の条例に20万円以下の罰金を定めます。住民Bが対象で、内容・手続はほかの法令に反せず、罰則について法令の特則はありません。
罰金100万円以下の範囲なので、個別法令の委任がなくても14条3項の授権の範囲内で有効です。
反例(結論が変わる)
同じ条例で、罰金の上限だけを1000万円へ変えます。
3項の法定刑の上限を超えるため、その罰則部分を条例に設けることはできません。
関連条との違い
- 地方自治法 第15条:15条の長の規則は権限に属する事務が対象で、法令に特則がなければ制裁は5万円以下の過料のみです。14条3項は条例に刑罰を定める授権です
- 憲法 第31条:憲法31条の法定手続の保障の下でも、14条の相当に具体的な授権の範囲内であれば条例に罰則を設けられると判示された
過去問で誤りとされた肢の型
- 行政書士平成26年 問7肢1
罰則の設定にその都度個別法律の授権が要るという誤り。14条3項の包括的授権の範囲内で定められる
- 行政書士令和3年 問23肢3
条例の委任があれば規則でも刑罰を定められるという誤り。刑罰を設けられるのは条例だけ
- 行政書士平成25年 問22肢4
条例に拘禁刑を科す規定を置けないという誤り。2年以下の拘禁刑など法定刑の範囲内で設けられる
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
判例
徳島市公安条例事件最高裁判所大法廷 1975年9月10日
地方自治法の授権に基づく条例の罰則規定は、犯罪構成要件が合理的解釈により確定できる明確性を備え、国の法令と矛盾抵触しない限り憲法31条に反しない
法令版: 2026年9月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
義務課・権利制限の形式
普通地方公共団体が住民に新たな義務を課し又は権利を制限するには、議会の議決を経た条例ではなく、長の定める規則によっても行うことができる。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。義務を課し又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除き条例によらなければならない。長の規則は権限に属する事務に関し制定できるが、住民の権利義務に及ぶ規制の根拠とはなりえず、民主的統制を経る条例が求められる。
学習ポイント:義務課・権利制限は条例限定(条例主義)。規則では不可。
第14条第2項
条例の罰則権限
条例には、その違反者に対し2年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金を科す旨の規定を設けることができるが、懲役10年などの重い刑罰を設けることは許されない。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。条例には法令に特別の定めがあるものを除き、2年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金・拘留・科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する規定を設けることができる。これらの刑種・上限を超える刑罰は設けられない。
学習ポイント:条例罰則:2年以下拘禁刑・100万円以下罰金・拘留・科料・没収・5万円以下過料。
第14条第3項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和7年 問22肢2
地方自治法の定める相当に具体的な内容の事項につき、同法に基づき限定された刑罰の範囲内において、条例をもって罰則を定めることは憲法31条に反するとはいえない。
正誤と理由を見る
妥当である
地方自治法14条の範囲内で条例に罰則を定めることは憲法31条の法定手続の保障に反しない。
行政書士令和6年 問24肢2
普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例を定めることができるが、条例において罰則を定めるためには、その旨を委任する個別の法令の定めが必要である。
正誤と理由を見る
妥当でない
条例で罰則を定めるのに個別法令の委任は不要で、自治法14条3項の法定刑の範囲内で定められる。
行政書士令和4年 問22肢3
この条例で過料を定める場合については、その上限が地方自治法によって制限されている。
正誤と理由を見る
妥当である
条例の過料には自治法14条3項で上限(5万円)が定められている。妥当。
行政書士令和4年 問22肢4
地方自治法の定める上限の範囲内であれば、この条例によらず、A市長の定める規則で罰金を定めることもできる。
正誤と理由を見る
妥当でない
罰金は行政刑罰であり条例でしか定められず、規則では定められない(自治法14条3項・15条)。
行政書士令和3年 問23肢2
普通地方公共団体は、法定受託事務についても条例を制定することができるが、条例に違反した者に対する刑罰を規定するには、個別の法律による委任を必要とする。
正誤と理由を見る
誤り
法定受託事務の条例で刑罰を定めるのに個別法律の委任は不要(自治法14条3項の範囲内)。誤り。
行政書士令和3年 問23肢3
普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができ、条例による委任のある場合には、規則で刑罰を規定することもできる。
正誤と理由を見る
誤り
規則で刑罰を定めることは条例委任があってもできない(刑罰は条例のみ・自治法14条3項)。誤り。
行政書士平成30年 問23ア
普通地方公共団体は、その事務に関し、条例を制定し、それに違反した者について、懲役(現在の拘禁刑)などの刑罰の規定を設けることができる。
正誤と理由を見る
条例には2年以下の拘禁刑(出題当時は懲役・禁錮)等の刑罰規定を設けることができる(地方自治法14条3項)。正しい。
行政書士平成26年 問7肢1
刑罰の制定には法律の根拠が必要であるから、条例で罰則を定めるためには、その都度、法律による個別具体的な授権が必要である。
正誤と理由を見る
妥当ではない
条例による罰則の制定は地方自治法14条3項の包括的授権により可能で、個別具体的な法律の授権は不要。妥当ではない。
行政書士平成25年 問22肢4
条例に拘禁刑を科する旨の規定を置くことは許されていないことから、仮に本条例が違反者に対して拘禁を科するものであれば、違法無効になる。
正誤と理由を見る
誤り
条例には、2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑を科する旨の規定を置くことができる(地方自治法14条3項。出題当時は懲役・禁錮)。拘禁刑の規定を置くことも許される。誤り。
行政書士平成22年 問8肢5
当該建築物により営業を行う事業者に対して1千万円以下の罰金を科す旨の定め。
正誤と理由を見る
設けることはできない
条例で科しうる罰則は2年以下の懲役・禁錮(2025年6月以降は拘禁刑)、100万円以下の罰金等に限られる(地方自治法14条3項)。1千万円以下の罰金は設けられない。
問題で確認する
第14条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。