第二編 普通地方公共団体/第九章 財務/第十節 住民による監査請求及び訴訟
地方自治法 第242条の2(住民訴訟)
この条の要点
- 住民訴訟の出訴期間:住民訴訟の出訴期間は2項各号の区分ごとに起算点を定め、各30日以内。
- 出訴期間の性質:出訴期間は不変期間。責めに帰せない事由による追完(民訴97条)の余地はある。
条文原文
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第242条の2(住民訴訟)
普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の九第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求
②前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。
一 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があつた日から三十日以内
二 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合当該措置に係る監査委員の通知があつた日から三十日以内
三 監査委員が請求をした日から六十日を経過しても監査又は勧告を行わない場合当該六十日を経過した日から三十日以内
四 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合当該勧告に示された期間を経過した日から三十日以内
③前項の期間は、不変期間とする。
④第一項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない。
⑤第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
⑥第一項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。
⑦第一項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。
⑧前項の訴訟告知があつたときは、第一項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。
⑨民法第百五十三条第二項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。
⑩第一項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。
⑪第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第四十三条の規定の適用があるものとする。
⑫第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。
この条文の〇×問題(2問)
住民訴訟の出訴期間
住民訴訟は、監査の結果や勧告の内容の通知があった日、勧告を受けた機関の措置に係る監査委員の通知があった日、監査請求から60日を経過しても監査・勧告がない場合はその60日を経過した日などから、それぞれ30日以内に提起しなければならない。
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正解 ○
正しい。住民訴訟の出訴期間は242条の2第2項各号の区分に応じて定められ、監査結果・勧告に不服がある場合はその通知の日から、勧告を受けた機関の措置に不服がある場合は措置に係る監査委員の通知の日から、監査委員が請求から60日を経過しても監査・勧告を行わない場合はその60日経過日から、それぞれ30日以内などとされる。
学習ポイント:住民訴訟の出訴期間は2項各号の区分ごとに起算点を定め、各30日以内。
第二百四十二条の二2項
出訴期間の性質
住民訴訟の提起期間は不変期間とされておらず、遅延に正当な理由がある場合には期間経過後でも裁判所の判断により救済される。
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正解 ×
誤り。住民訴訟の出訴期間は不変期間とされている(242条の2第3項)。したがって裁判所が期間を伸縮することはできない。もっとも不変期間であるから、当事者がその責めに帰することができない事由により期間を遵守できなかった場合には、民事訴訟法97条による訴訟行為の追完の余地はある。正当な理由があれば広く救済されるわけではない。
学習ポイント:出訴期間は不変期間。責めに帰せない事由による追完(民訴97条)の余地はある。
第二百四十二条の二3項、関連:民事訴訟法第97条
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和6年 問23肢2
住民訴訟は、あらかじめ、地方自治法に基づく住民監査請求をしていなければ、適法に提起することができない。
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妥当である
住民訴訟の提起には事前の住民監査請求が必要(監査請求前置主義・自治法242条の2)。
行政書士令和6年 問23肢4
住民訴訟において原告住民がすることができる請求は、地方自治法が列挙するものに限定される。
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妥当である
原告住民の請求は自治法242条の2が列挙するもの(差止め・取消し・損害賠償請求等)に限定される。
行政書士令和4年 問23肢5
違法に公金の賦課や徴収を怠る事実に関し、住民が住民監査請求をした場合において、それに対する監査委員の監査の結果または勧告に不服があるとき、当該住民は、地方自治法に定められた出訴期間内に住民訴訟を提起することができる。
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妥当である
公金の賦課・徴収の懈怠への監査請求で監査結果・勧告に不服がある場合、法定出訴期間内に住民訴訟を提起できる(自治法242条の2)。妥当。
行政書士令和2年 問24肢5
住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。
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妥当である
住民訴訟勝訴時、弁護士報酬の相当額を団体に請求できる(自治法242条の2)。妥当。
行政書士平成30年 問18肢1
A県知事に対してA県住民が県職員への条例上の根拠を欠く手当の支給の差止めを求める訴訟は、民衆訴訟である。
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妥当である
条例上の根拠を欠く手当支給の差止めを求める住民訴訟(地方自治法242条の2)は民衆訴訟。妥当。
行政書士平成23年 問21イ
執行機関に対する財産の管理を怠る事実の違法確認の請求
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住民訴訟で請求できる
執行機関の財産の管理を怠る事実の違法確認の請求は住民訴訟で認められる(地自242条の2第1項3号)。請求できる。
行政書士平成22年 問24ウ
他の住民による住民訴訟が係属しているときには、当該普通地方公共団体の住民であっても、別訴をもって同一の請求をすることはできない。
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正しい
同一の請求に係る住民訴訟が係属していれば別訴提起はできず、補助参加の形をとる(地方自治法242条の2)。正しい。
行政書士平成22年 問24オ
違法な支出行為の相手方に損害賠償の請求をすべきであるのに長がこれをしていない場合、長に対して「当該相手方に損害賠償請求をすることを求める請求」を行うことができる。
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正しい
違法な支出行為の相手方への損害賠償請求を長が怠るときは、長に対して当該請求をすることを求めることができる(地方自治法242条の2第1項4号請求)。正しい。
問題で確認する
第242条の2の内容は2問の〇×問題と2問の条文穴埋めで確認できます。