第三章 宅地建物取引士
宅地建物取引業法 第22条の4(宅地建物取引士証の提示)
この条の要点
- 買主から請求された宅建士証:取引関係者から求められれば、重要事項説明前でも宅建士証を提示する。
- 提示書類の代替不可:取引関係者に請求された宅建士証は、名刺や従業者証明書で代用できない。
条文原文
第22条の4(宅地建物取引士証の提示)
宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があつたときは、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
条文の要点
宅建士証の提示とは、宅建士が取引の関係者から求められたときに宅建士証を示す義務です(22条の4)。
提示を要する場面は重要事項の説明時に限られず、取引のどの段階でも関係者の請求があれば生じます。35条4項で説明時には請求を待たず出す義務も別にあり、一度提示したことがあっても説明時には再度要ります。
宅建士証の提示の発生条件
発生するのは取引の関係者の請求があったときで、提示の場面は限定されません。示すものは宅建士証そのもので、名刺や48条の従業者証明書では代用できません。相手方が宅建業者で説明義務が読替で消える場合でも、請求があれば本条の提示義務は残ります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 提示を求められるのは取引の関係者からで、契約前の案内段階など説明以外の場面でもよい |
| 1項 | 効果 | 請求があれば宅建士証を示す義務が生じ、名刺や従業者証明書では果たせない |
| 1項 | 例外 | 提示済みでも35条4項の説明時の提示は別義務で、先に示したことで免除はされない |
具体例
宅建士Aが買主Bに物件を案内した。Bは重要事項説明の前にAの宅建士証を見せてほしいと求めた。
Bは取引の関係者なので、説明の段階でなくてもAは証を提示しなければならない。
反例(結論が変わる)
同じ物件案内の段階で、BがAに宅建士証の提示を求めていない場合に変えます。
請求がないこの案内段階では22条の4による提示義務は生じません。後に35条の重要事項説明をする際の提示義務は別です。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建平成29年 問37肢1
買受けの申込み前に提示していれば後の35条説明時は提示不要とする誤り。説明時の提示は別個の義務
- 宅建平成29年 問37肢4
宅建士証の提示で従業者証明書の提示を代用できるとする誤り。2つの証票は目的が違う
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年4月1日施行版
この条文の〇×問題(2問)
買主から請求された宅建士証
宅建士Aが買主Bから宅建士証の提示を求められた。Aがまだ重要事項説明を始めていなくても、Bが取引関係者である以上、Aは宅建士証を提示しなければならない。
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正解 ○
正しい。第22条の4は、宅建士が取引の関係者から請求を受けたとき、宅建士証を提示しなければならないと定める。重要事項説明の最中に限るという要件はない。設問のBは取引関係者で、提示を求めているため義務が生じる。重要事項説明時の提示義務は別にも定められており、請求時の一般的な提示義務と混同しない。
学習ポイント:取引関係者から求められれば、重要事項説明前でも宅建士証を提示する。
第22条の4第1項、関連:第35条第4項
提示書類の代替不可
宅建士Cが取引関係者Dから宅建士証の提示を請求されたとき、Cの氏名と所属業者を記載した名刺を示せば、宅建士証そのものを提示する必要はない。
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正解 ×
誤り。第22条の4が請求時に求めるのは宅建士証の提示である。名刺は氏名や所属を知らせることはできても、資格者証としての有効性を確認するための証票に代わらない。従業者証明書とも役割が異なる。取引関係者が宅建士証を求めている設問では、名刺を渡したというだけで提示義務を果たしたことにはならない。
学習ポイント:取引関係者に請求された宅建士証は、名刺や従業者証明書で代用できない。
第22条の4第1項、関連:第48条第1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
宅建令和6年 問43肢3
宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、宅地建物取引士証を提示しなければならないが、その際、個人情報保護の観点から宅地建物取引士証の住所欄にシールを貼った上で提示することが認められている。
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正しい
正しい。住所欄にシールを貼った上での提示は認められている。
宅建令和2年12月 問38ウ
宅地建物取引士は、重要事項説明書を交付するに当たり、相手方が宅地建物取引業者である場合、相手方から宅地建物取引士証の提示を求められない限り、宅地建物取引士証を提示する必要はない。
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正しい
正しい。相手方が宅建業者の場合、取引士証の提示は請求があったときに限る。
宅建令和2年10月 問28肢3
宅地建物取引士は、重要事項の説明をするときは説明の相手方からの請求の有無にかかわらず宅地建物取引士証を提示しなければならず、また、取引の関係者から請求があったときにも宅地建物取引士証を提示しなければならない。
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正しい
正しい。取引士証は重要事項説明時に請求の有無にかかわらず提示し、関係者の請求時にも提示が必要。
宅建令和2年10月 問41肢3
宅地建物取引士証を亡失した宅地建物取引士は、その再交付を申請していても、宅地建物取引士証の再交付を受けるまでは重要事項の説明を行うことができない。
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正しい
正しい。取引士証を亡失した者は再交付を受けるまで説明できない(証の提示が要件のため)。
宅建令和元年 問40肢1
宅地建物取引業者の従業者は、取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、宅地建物取引士は、重要事項の説明をするときは、請求がなくても説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
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正しい
正しい。従業者証明書は請求時提示、取引士証は説明時に請求なく提示。
宅建平成30年 問42肢4
宅地建物取引士は、法第37条に規定する書面を交付する際、取引の関係者から請求があったときは、専任の宅地建物取引士であるか否かにかかわらず宅地建物取引士証を提示しなければならない。
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正しい
正しい。37条書面の交付時に請求があれば取引士証を提示する(専任・非専任を問わない)。
宅建平成29年 問37肢1
宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、物件の買受けの申込みの前であっても宅地建物取引士証を提示しなければならないが、このときに提示した場合、後日、法第35条に規定する重要事項の説明をする際は、宅地建物取引士証を提示しなくてもよい。
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誤り
誤り。35条の説明をする際は取引士証の提示が義務であり、先の提示で代用はできない。
宅建平成29年 問37肢4
宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、法第35条に規定する重要事項の説明をする際は、宅地建物取引士証の提示が義務付けられているため、宅地建物取引士証の提示をもって、従業者証明書の提示に代えることができる。
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誤り
誤り。取引士証と従業者証明書は別物で、取引士証の提示をもって従業者証明書の提示に代えられない。
宅建平成29年 問40肢3
売主である宅地建物取引業者Eの宅地建物取引士Fは、宅地建物取引業者ではない買主Gに37条書面を交付する際、Gから求められなかったので、宅地建物取引士証をGに提示せずに当該書面を交付した。
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違反しない
違反しない。取引士証の提示義務は重要事項説明時であり、37条書面の交付時に提示義務はない(交付自体は取引士でなくてもよい)。
問題で確認する
第22条の4の内容は2問の〇×問題で確認できます。