第五章 業務/第一節 通則
宅地建物取引業法 第32条(誇大広告等の禁止)
この条の要点
- 交通利便に関する著しい事実相違:誇大広告禁止は交通利便にも及ぶ。駅までの時間を著しく短く表示できない。
- 将来の利用制限に関する広告:誇大広告の対象には、現在だけでなく将来の利用制限も含まれる。
- 成約の有無と誇大広告の成立:誇大広告は広告時の表示を規制する。申込みや契約成立は違反の要件ではない。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第32条(誇大広告等の禁止)
宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
条文の要点
誇大広告等の禁止とは、宅建業者が業務の広告で、物件や対価等について著しく事実に反する表示や実際より著しく優良・有利と誤認させる表示を禁じる規定です(32条)。
違反は表示の時点で生じ、問合せや成約・実害の有無は関係ありません。広告の媒体も問わず、一部を表示しないことによる誤認も含みます。
誇大広告等の禁止の対象と程度
対象は所在・規模・形質・現在と将来の利用制限・環境・交通その他の利便・代金等の対価と支払方法・金銭貸借のあっせんです。利用制限には公法上の制限だけでなく借地権など私法上の制限も含まれます。違反すると監督処分に加えて刑罰の対象にもなります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 宅建業者が業務に関して広告をする行為が規制の対象で、宅地や建物の表示事項と対価・あっせんの表示に及びます。 |
| 1項 | 効果 | 著しく事実に相違する表示と、実際よりも著しく優良・有利だと人を誤認させる表示が禁止されます。成約や実害がなくても違反します。 |
具体例
宅建業者A社は、駅から実際には徒歩30分かかる土地を「徒歩5分」とインターネット広告に出しました。広告を見たBからの問合せも申込みもありませんでした。
交通の利便について実際より著しく優良と誤認させる表示なので、成約や実害がなくても32条に違反します。
反例(結論が変わる)
同じ売却広告で、Aが宅建業者ではない個人の売主だった場合に変えます。
本条の規制対象は宅建業者が業務に関してする広告なので、Bの広告に32条は直接適用されません。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建令和4年 問37イ
問合せや申込みがなければ誇大広告にならないとする誤り。表示した時点で違反し、反響や成約は要件ではありません。
- 宅建令和2年12月 問27肢4
テレビやインターネットの広告は規制外とする誤り。媒体に関係なく業務の広告は対象です。
- 宅建平成30年 問26肢4
利用制限の一部を表示しないことによる誤認は違反しないとする誤り。一部不表示による誤認も禁止対象です。
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年4月1日施行版
この条文の〇×問題(3問)
交通利便に関する著しい事実相違
宅地建物取引業者Aは、最寄駅まで実際には徒歩約30分かかる宅地を『駅まで徒歩2分』と広告した。交通の便は宅建業法第32条の表示規制の対象外なので、この広告は同条に違反しない。
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正解 ×
誤り。宅建業法第32条は、広告に係る宅地建物の環境や交通その他の利便についても、著しく事実と異なる表示や実際より著しく有利と誤認させる表示を禁じている。徒歩約30分の物件を徒歩2分とする表示は交通利便を著しく良く見せるものであり、交通情報だから規制対象外だとすることはできない。契約が成立したかどうかでこの広告規制の適用が決まるわけでもない。
学習ポイント:誇大広告禁止は交通利便にも及ぶ。駅までの時間を著しく短く表示できない。
第32条
将来の利用制限に関する広告
宅地建物取引業者Bは、土地について将来の利用が大きく制限されることを把握している。現在は自由に利用できても、将来の利用制限を隠して『将来も用途制限なし』と著しく有利に誤認させる広告は、宅建業法第32条の禁止対象となる。
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正解 ○
正しい。宅建業法第32条は広告規制の対象として、宅地建物の現在の利用制限だけでなく将来の利用制限も掲げる。現在は利用できるという一点だけで、将来に予定される重大な制限を否定する表示をしてよいわけではない。制限を把握しながら『将来も用途制限なし』と表示して実際より著しく有利だと誤認させれば、同条の誇大広告禁止に抵触する。
学習ポイント:誇大広告の対象には、現在だけでなく将来の利用制限も含まれる。
第32条
成約の有無と誇大広告の成立
宅地建物取引業者Cは、実際の面積より著しく広い面積で土地を広告した。購入申込みが一件もなく契約が成立しなかったので、著しく事実に相違する広告をしても第32条違反にはならない。
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正解 ×
誤り。宅建業法第32条は、宅地建物取引業者が業務に関して広告をするときの表示内容を規制する。土地の規模について著しく事実と異なる表示をした時点で禁止行為に該当し得るのであって、購入申込みや売買契約の成立は要件ではない。成約がなかったことを理由に、既にされた著しい面積の虚偽表示が適法になることはない。
学習ポイント:誇大広告は広告時の表示を規制する。申込みや契約成立は違反の要件ではない。
第32条
この条文を解説で参照する過去問
宅建令和7年 問28ア
自ら売主として販売する宅地又は建物の広告に取引態様の別を明示しなかった場合は、罰則の対象とはならないが監督処分の対象となり、宅地又は建物の規模について著しく事実に相違する表示をした場合は、罰則の対象にも監督処分の対象にもなる。
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正しい
正しい。取引態様未明示は監督処分のみ、著しい不実表示は監督処分+罰則。
宅建令和7年 問38イ
Aは、宅地の売買に関する広告をするに当たり、当該宅地の形質について、実際のものよりも著しく優良であると人を誤認させる表示をした場合、当該宅地に関する注文がなく、売買が成立しなかったときであっても、監督処分及び罰則の対象となる。
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正しい
正しい。著しく優良な誤認表示は取引不成立でも監督処分・罰則の対象。
宅建令和6年 問33肢1
宅地の販売に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約が成立した後も継続して広告を掲載していた場合、当該広告を掲載し続けることは法第32条の規定に違反する。
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正しい
正しい。契約成立後の広告継続は誇大広告等の禁止(法32条)に違反する。
宅建令和5年 問31肢4
販売する宅地又は建物の広告に関し、著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるだけでなく、懲役若しくは罰金に処せられ、又はこれを併科されることもある。
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正しい
正しい。著しく事実に相違する表示は監督処分の対象であるとともに、懲役・罰金の刑罰対象にもなる。
宅建令和4年 問37イ
Aが新築住宅の売買に関する広告をインターネットで行った場合、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示を行ったが、当該広告について問合せや申込みがなかったときは、法第32条に定める誇大広告等の禁止の規定に違反しない。
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誤り
誤り。誇大広告は問合せ・申込みの有無にかかわらず違反。
宅建令和3年12月 問30肢3
Aは、顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、実際は他の物件を販売しようとしたが注文がなく、売買が成立しなかった場合であっても、監督処分の対象となる。
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正しい
正しい。売る意思のない物件の広告(おとり広告)は契約不成立でも監督処分の対象。
宅建令和3年10月 問30ア
宅地の販売広告において、宅地に対する将来の利用の制限について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。
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正しい
正しい。将来の利用制限について著しく事実に相違する表示は誇大広告として禁止。
宅建令和2年12月 問27肢1
広告の表示が実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるようなものであっても、誤認による損害が実際に発生していなければ、監督処分の対象とならない。
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誤り
誤り。誤認させる表示は実害の有無にかかわらず監督処分の対象。
宅建令和2年12月 問27肢4
テレビやインターネットを利用して行う広告は、新聞の折込チラシや配布用のチラシと異なり、規制の対象とならない。
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誤り
誤り。テレビ・インターネット広告も規制対象。
宅建令和2年10月 問27イ
広告をするに当たり、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。
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正しい
正しい。利用制限を表示しないことによる誤認も誇大広告禁止に含まれる。
ほか9肢は、各過去問のページで確認できます。
問題で確認する
第32条の内容は3問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。