第五章 業務/第一節 通則
宅地建物取引業法 第47条の2
この条の要点
- 断定的判断の提供の禁止:利益が確実と誤解させる断定的判断の提供は禁止。将来予測でも断定的表現なら違反。
- 申込みの撤回・解除を妨げるための威迫の禁止:撤回・解除を妨げるための威迫は禁止。従業者の行為も規制対象。
条文原文
第47条の2
宅地建物取引業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下この条において「宅地建物取引業者等」という。)は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
②宅地建物取引業者等は、宅地建物取引業に係る契約を締結させ、又は宅地建物取引業に係る契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、宅地建物取引業者の相手方等を威迫してはならない。
③宅地建物取引業者等は、前二項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、第三十五条第一項第十四号イに規定する宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令・内閣府令で定めるもの及びその他の宅地建物取引業者の相手方等の利益の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。
条文の要点
断定的判断の提供等の禁止とは、業者等が勧誘で確実な利益を誤解させる断定を提供したり、締結や撤回の妨げに威迫することを禁じる規定です(47条の2第1項・第2項)。
主体は業者だけでなく代理人・使用人その他の従業者を含み、断定的判断の提供は故意を要件としません。3項では省令が迷惑勧誘や勧誘目的を告げない訪問など、利益の保護に欠ける行為を具体的に禁じます。
断定的判断の提供等の禁止の47条との違い
47条1項1号の不実告知等は『故意に』事実を告げない・不実を告げることが要件ですが、47条の2の断定的判断の提供は故意を要件としません。うわさに基づいて将来の開発を『間違いない』と伝えても、誤解させうる断定的表現を提供すれば違反になります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 宅建業に係る契約の締結の勧誘の際に行うこと。主体は業者とその代理人・使用人その他の従業者 |
| 1項 | 効果 | 相手方に確実に利益が出ると誤解させる断言を提供することを禁じる。故意の有無は問わない |
| 2項 | 効果 | 契約を締結させ、または申込みの撤回・解除を妨げるための威迫を禁止 |
| 3項 | 手続 | 省令で定める利益保護に欠ける行為(迷惑勧誘・勧誘目的を告げない勧誘・判断に要する時間を与えない行為等)を禁止 |
具体例
業者Aの従業員は、Bに投資用マンションを勧誘する際、『この地域の地価は必ず上がり、転売すれば確実に利益が出る』と告げた。従業員にだますつもりはなかった。
利益が確実と誤解させる断定的判断の提供に当たり、故意がなくても47条の2に違反する。
反例(結論が変わる)
同じ勧誘場面で、従業員が『需要が増えれば値上がりする可能性はありますが、将来の地価は確実ではありません』と伝えた場合に変えます。
確実性を断定せず不確実な見通しとして伝える説明は、断定的判断の提供に当たらない。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建令和2年12月 問40肢3
理由の如何を問わず判断する時間を与えることを拒めないとする誤り。禁じられるのは正当な理由がない拒否
- 宅建平成28年 問34肢2
うわさに基づく断定でも故意がなければ違反しないとする誤り。断定的判断の提供は故意を要件としない
- 宅建令和2年12月 問40肢1
契約しない旨を告げた相手への勧誘継続は違反しないとする誤り。拒否後の継続勧誘は禁止行為
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年4月1日施行版
この条文の〇×問題(2問)
断定的判断の提供の禁止
宅地建物取引業者である甲社は、販売する宅地について、『この地域は再開発が決定しているため、近い将来地価が必ず上昇し、転売すれば確実に利益が出ます』と告げて契約締結を勧誘した。甲社の説明は将来の予測に過ぎないので、第47条の2に違反しない。
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正解 ×
誤り。第47条の2第1項は、宅地建物取引業者等が契約締結の勧誘に際し、相手方に対し利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為を禁止する。地価上昇や転売利益を『確実』と伝える説明は典型的な違反であり、将来の予測に過ぎないと主張しても断定的表現の提供自体が規制対象となる。
学習ポイント:利益が確実と誤解させる断定的判断の提供は禁止。将来予測でも断定的表現なら違反。
第47条の2第1項(断定的判断の提供)
申込みの撤回・解除を妨げるための威迫の禁止
宅地建物取引業者である乙社の従業者は、契約の申込みを撤回しようとする相手方に対し、深夜に及ぶ執拗な居座りと高圧的な言動をもって威迫し、撤回を妨げた。この行為は第47条の2に違反する。
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正解 ○
正しい。第47条の2第2項は、宅地建物取引業者等が契約を締結させ、又は申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、相手方を威迫する行為を禁止する。規制の主体には代理人・使用人その他の従業者も含まれ、撤回を妨げる目的での威迫的な言動は従業者によるものでも違反となる。
学習ポイント:撤回・解除を妨げるための威迫は禁止。従業者の行為も規制対象。
第47条の2第2項(威迫の禁止)・1項かっこ書き(主体)
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
宅建令和7年 問31ア
宅地建物取引士が、マンション販売の勧誘を電話で行うにあたり、まず、契約締結について勧誘する目的である旨を告げたうえで、自分の名前は名乗らず、自身の勤務する宅地建物取引業者の名称及び免許番号を伝えたうえで勧誘を行った。
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禁止
禁止。勧誘に際して勧誘者の氏名を告げる義務があり、名乗らないのは違反。
宅建令和7年 問31イ
宅地建物取引業者が、賃貸マンションの媒介で入居申込者から申込みを受け付けたところ、当該マンションのオーナーからの審査回答待ちとなった。その後、入居申込者が、申込みを撤回したい旨電話で伝えたところ、当該宅地建物取引業者の従業員から声を荒げ「撤回をするなら、とりあえず事務所まで来てくれないと困る」と怒鳴られ、面会を強要された。申込者はその言動に不安を覚えたため、事務所に赴いて、申込みの撤回を申し出たところ、申込みの撤回が了承された。
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禁止
禁止。威迫して面会を強要する行為は禁止。
宅建令和7年 問31エ
マンションの販売の勧誘における説明において、宅地建物取引士は、日当たりのよいマンションの購入希望者に対して、「マンション南側の月極駐車場は出来たばかりであり、将来にわたりそこにマンションなどの高層の建物が建つ予定は全くない」と説明し、購入希望者から購入申込みを受け付けた。
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禁止
禁止。将来の建築計画がないとする断定は不実告知・断定的判断の提供に該当する。
宅建令和7年 問36ア
Aの従業者は、電話によりBに投資用マンションの購入の勧誘を行った際、Bから「Aから購入する意思は一切無いので、今後電話を含め勧誘はしないでほしい。」と告げられたが、その翌日、Bに対し、再度の勧誘を行った。
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禁止
禁止。勧誘を拒否した者への再勧誘は禁止。
宅建令和7年 問36ウ
Aの従業者は、建物の購入希望者に対して、長時間にわたり契約の締結をするための勧誘を行い、当該購入希望者を困惑させた。
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禁止
禁止。長時間勧誘による困惑は迷惑勧誘として禁止。
宅建令和6年 問42肢1
宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
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正しい
正しい。断定的判断の提供の禁止(法47条)の記述は正しい。
宅建令和5年 問28ア
Aの従業員Bが、Cが所有する戸建住宅の買取りを目的とした訪問勧誘をCに対して行ったところ、Cから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたことから、後日、Aは、別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続した。
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違反する
違反する。勧誘を拒否された者への再勧誘は禁止(法47条の3)。
宅建令和5年 問28ウ
Aの従業員Gは、Hが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をHに対して行おうと考え、23時頃にHの自宅に電話をかけ、勧誘を行い、Hの私生活の平穏を害し、Hを困惑させた。
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違反する
違反する。私生活の平穏を害するような時間帯の電話勧誘は禁止。
宅建令和5年 問36ア
建物の貸借の媒介に際して、賃借の申込みをした者がその撤回を申し出たので、Aはかかった諸費用を差し引いて預り金を返還した。
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違反する
違反する。申込撤回時は受領済みの預り金を返還しなければならず、費用を差し引くことはできない。
宅建令和5年 問36エ
Aはアンケート調査を装ってその目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに個人宅を訪問し、マンションの売買の勧誘をした。
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違反する
違反する。勧誘目的を告げない訪問(いわゆるキャッチセールス的行為)は禁止。
ほか13肢は、各過去問のページで確認できます。
問題で確認する
第47条の2の内容は2問の〇×問題で確認できます。