第三章 担保権の実行としての競売等
民事執行法 第183条(不動産担保権の実行の手続の停止)
この条の要点
- 担保権実行の停止を命ずる文書:担保権実行の停止文書は別の列挙(抹消判決・不存在宣言判決等)。一般執行の規定は適用されない。
- 担保権抹消判決による執行処分の取消し:担保権不存在の確定判決等の提出時は既にした執行処分も取り消さなければならない。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第183条(不動産担保権の実行の手続の停止)
不動産担保権の実行の手続は、第一号の申立て又は第二号の文書(同号ハにあつては、文書又は電磁的記録)の提出があつたときは、停止しなければならない。
一 担保権の登記の抹消がされた不動産についての不動産担保権の実行の手続の停止の申立て
二 次に掲げるいずれかの文書(ハにあつては、文書又は電磁的記録)
イ 担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。ロにおいて同じ。)の謄本又は記録事項証明書
ロ 第百八十一条第一項第一号の登記を抹消すべき旨を命じ、又は同項第二号イに掲げる裁判若しくはこれと同一の効力を有するものを取り消し、若しくはその効力がないことを宣言する確定判決の謄本又は記録事項証明書
ハ 担保権の実行をしない旨、その実行の申立てを取り下げる旨又は債権者が担保権によつて担保される債権の弁済を受け、若しくはその債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本(公文書が電磁的記録をもつて作成されている場合にあつては、当該電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録)
ニ 不動産担保権の実行の手続の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の謄本又は記録事項証明書
ホ 不動産担保権の実行の手続の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の謄本又は記録事項証明書
ヘ 担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本又は記録事項証明書
②前項第一号の申立て又は同項第二号イからニまでに掲げる文書若しくは電磁的記録の提出があつたときは、執行裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
③第十二条の規定は、前項の規定による決定については適用しない。
この条文の〇×問題(2問)
担保権実行の停止を命ずる文書
担保権の実行を停止すべき旨を命ずる文書としては、強制執行を停止すべき旨を定めた規定(一般執行の停止文書を列挙する規定)がそのまま適用される。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。担保権の実行の停止文書は183条1項に別に列挙されており、担保権のないことを証する確定判決の謄本、担保権の登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本、担保権の実行をしない旨の裁判上の和解調書等が定められている。強制執行の停止に関する39条は担保権実行には準用されず(194条)、183条が独自に規律する。
学習ポイント:担保権実行の停止文書は別の列挙(抹消判決・不存在宣言判決等)。一般執行の規定は適用されない。
第183条1項、関連:第39条・第194条
担保権抹消判決による執行処分の取消し
担保権の登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本等、担保権の不存在等を内容とする文書が提出された場合、執行裁判所は既にした執行処分も取り消さなければならない。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。担保権のないことを証する確定判決の謄本等、183条1項1号から5号までの文書が提出されたときは、執行裁判所は、手続を停止するだけでなく、既にした執行処分をも取り消さなければならない(183条2項)。取消しは裁量ではなく義務である。この取消決定には12条の規定は適用されない(同条3項)。
学習ポイント:担保権不存在の確定判決等の提出時は既にした執行処分も取り消さなければならない。
第183条2項・3項
根拠・関連条文
問題で確認する
第183条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。