第二編 物権/第三章 所有権/第三節 共有
民法 第251条(共有物の変更)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第251条(共有物の変更)
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
②共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
条文の要点
共有物の変更とは、共有物に形状又は効用の著しい変更を伴う行為を加えることで、他の共有者全員の同意が要ります(251条1項)。
過半数ではなく全員の同意が要件で、著しい変更を伴わないものは対象外です。所在を知ることができない共有者がいるときだけ、裁判所の許可と残りの共有者の同意に代えられます。
共有物の変更の同意の範囲
抵当権設定など共有物全体への処分も全員同意の対象です。催告に応じない共有者を外せるのは管理事項の決定だけで、変更にその仕組みは使えません(252条2項との違い)。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項本文 | 要件 | 変更を加えるには他の共有者全員の同意が要る |
| 1項括弧 | 例外 | 形状又は効用の著しい変更を伴わないものは対象外 |
| 2項 | 例外 | 他の共有者を知ることができない等のときは、裁判所の許可と残りの共有者の同意で変更できる |
具体例
A・B・Cの共有地について、Aが農地から宅地への造成工事をしようとしています。
著しい変更を伴う変更は全員同意が要件で、AはB・Cの同意なく工事できず、B・Cは差止めを請求できます。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Aがするのが形状・効用の著しい変更を伴わない軽微な工事の場合に変えます。
1項括弧の対象外になるため全員同意は要らず、保存行為なら各共有者が単独でできます。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建令和6年 問3肢1
変更は過半数の同意で足りるとする誤り。著しい変更を伴う変更は共有者全員の同意
- 司法書士令和8年度 問10ア
催告不答の共有者を外して変更の許可を得られるとする誤り。その仕組みは管理事項だけで、変更は所在不明等の場合に限る
- 管業平成29年度 問1肢1
共有物全体に単独で抵当権を設定できるとする誤り。共有物全体への処分は全員同意が要る
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文を解説で参照する過去問
行政書士平成26年 問29ウ
甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を建造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。
正誤と理由を見る
妥当ではない
共有する地役権の消滅は共有物の変更にあたり、自己の持分のみの消滅も全部の消滅も他共有者の同意なしにはできない(251条)。妥当ではない。
司法書士令和8年度 問10ア
AがBに対し相当の期間を定めて甲土地にその効用の著しい変更を伴う変更を加えることについて賛否を明らかにすべき旨を催告したにもかかわらず、Bがその期間内に賛否を明らかにしないときは、裁判所は、Aの請求により、Cの同意を得て甲土地に当該変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。共有者の催告不答の場合に裁判所が許可できるのは管理事項の決定のみ(252条2項2号)であり、変更行為は管理事項から除かれる(252条1項括弧)。変更についての裁判所の許可は251条2項の「所在を知ることができない」場合に限られる。
司法書士令和8年度 問10イ
AがBの所在を知ることができないときは、裁判所は、Aの請求により、Cの同意を得て甲土地にその効用の著しい変更を伴う変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。他の共有者の所在を知ることができないときは、裁判所の許可と残りの共有者の同意で変更を加えられる(251条2項)。
司法書士令和5年度 問10ウ
Cが所在不明である場合において、Aが甲土地にその形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加えようとするときは、Aは、裁判所に対し、Bの同意を得てその変更を加えることができる旨の裁判を請求することができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。他の共有者の所在を知ることができないときは、裁判所は、当該共有者以外の共有者の同意を得て変更を加えることができる旨の裁判をすることができる(251条2項)。
司法書士平成27年度 問10ア
Aが、B及びCの同意を得ずに、農地である甲土地について宅地造成工事をしているときは、Bは、Aに対し、その工事の差止めを請求することができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。農地の宅地造成は変更行為であり他の共有者の同意なく行うことはできないため、Bは差止めを請求できる。
宅建令和6年 問3肢1
甲土地に、その形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加える場合には、共有者の過半数の同意が必要であり、本件ではA、B、C3人の同意が必要となる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。形状・効用の著しい変更を伴う変更は共有者『全員』の同意が必要(民法251条)。
宅建令和2年12月 問10肢2
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。変更は他の共有者の同意が必要(民法251条)。
賃管令和5年度 問22肢1
正誤と理由を見る
誤り
誤り。アの窓ガラス交換は保存行為で各共有者が単独で行えるため、過半数で決する対象ではない。
マン管令和5年度 問2肢1
正誤と理由を見る
誤り
誤り。誤っているのはイ・ウ・エの三つ。アは共有物の変更に共有者全員の同意が必要とする原則に沿い正しい。
管業平成29年度 問1肢1
Aは、BとCの同意を得なくても、当該住戸について、単独で抵当権を設定できる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。共有不動産に抵当権を設定することは共有物全体の処分行為に当たり、共有者全員の同意が必要で、Aは単独では設定できない。
問題で確認する
第251条の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。