第二編 物権/第三章 所有権/第三節 共有
民法 第252条(共有物の管理)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 過半数決で設定できる賃借権等の期間制限:持分過半数で決せるのは期間上限内の権原設定だけで、上限を超える賃貸借は変更行為と判断する。
- 著しい変更を伴わない変更の管理事項性:軽微な変更と著しい変更を分け、軽微なものは全員同意ではなく過半数決の対象に戻ると判断する。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第252条(共有物の管理)
共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
②裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
一 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
二 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
③前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
④共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。
一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等十年
二 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等五年
三 建物の賃借権等三年
四 動産の賃借権等六箇月
⑤各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
条文の要点
共有物の管理とは、持分の価格の過半数で決める行為のグループで、全員同意の変更と単独でできる保存の中間に位置します(252条1項)。
数えるのは頭数ではなく持分の価格です。管理者の選任・解任や賃貸借契約の解除、上限内の賃借権等の設定が対象で、所在不明や催告に応じない共有者は除いて決められます。
共有物の管理の決め方と期間の上限
持分の過半数で設定できる賃借権等は短期に限られ、建物3年・土地5年・山林10年・動産6か月が上限です。上限を超える設定は原則として全員の同意が要ります。催告に答えない共有者を除く裁判は管理事項に限られますが、所在不明の場合は251条2項による変更許可もあります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 管理事項は頭数ではなく持分の価格の過半数で決する |
| 2項 | 手続 | 所在不明・催告不答の共有者がいるときは、裁判所の決定でそれ以外の共有者の過半数で決められる |
| 3項 | 例外 | 決定に基づき共有物を使用する共有者に特別の影響がある決定は、その承諾が要る |
| 4項 | 例外 | 過半数で設定できる賃借権等は期間に上限がある(建物3年・土地5年・山林10年・動産6か月) |
| 5項 | 例外 | 保存行為は前各項にかかわらず各共有者が単独でできる |
具体例
A・B・Cが3分の1ずつ共有する建物を、AとBが期間2年でDに賃貸することにしました。
建物の賃借権は3年以内なら管理事項なので、持分3分の2の同意で賃貸契約を締結できます。
反例(結論が変わる)
同じ共有建物を期間10年で賃貸する場合に変えます。
建物の上限3年を超えるため管理ではなく変更と扱われ、Cを含む全員の同意が必要です。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- マン管平成28年度 問12肢4
共有物の賃貸借の解除に全員の同意と共同の意思表示が要るとする誤り。解除は管理事項で過半数で決められる
- 司法書士令和5年度 問10オ
賃借権の設定に期間を問わず全員の同意が要るとする誤り。上限内なら管理事項
- 司法書士令和8年度 問10ア
催告不答の共有者を除いて著しい変更も決められるとする誤り。催告不答を理由とする裁判は管理事項に限られ、所在不明を理由とする変更許可とは異なる
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
判例
共有物の賃貸借の解除最高裁判所 1964年2月25日
共有物を目的とする賃貸借契約の解除は共有物の管理に関する事項で、持分の価格の過半数で決することができる
無権利者の登記の抹消請求最高裁判所 1956年5月10日
無権利者への登記抹消請求は妨害排除請求として保存行為に当たり、各共有者が単独で請求できる
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
過半数決で設定できる賃借権等の期間制限
共有する建物を第三者に賃貸して使用収益させる場合、賃借期間を5年とする契約の締結は共有物の管理に関する事項に当たるため、各共有者の持分の価格の過半数で決することができる。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。共有物の管理に関する事項として持分の価格の過半数で設定できる賃借権等には期間の上限があり、建物の賃借権等は三年を超えてはならない。五年を期間とする建物の賃貸借の設定は管理事項の範囲を超え、共有物に変更を加える行為として他の共有者の同意を要する。
学習ポイント:持分過半数で決せるのは期間上限内の権原設定だけで、上限を超える賃貸借は変更行為と判断する。
第252条4項、関連:第251条1項
著しい変更を伴わない変更の管理事項性
共有物への変更であっても、その形状又は効用の著しい変更を伴わないものについては、共有物の管理に関する事項として、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決することができる。
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正解 ○
正しい。共有物への変更のうち、その形状又は効用の著しい変更を伴わないものは、他の共有者全員の同意を要する「変更」から除かれ、管理に関する事項として持分の価格の過半数で決することができる。「変更」という語が付く行為すべてに全員同意が必要なわけではない。
学習ポイント:軽微な変更と著しい変更を分け、軽微なものは全員同意ではなく過半数決の対象に戻ると判断する。
第252条1項、関連:第251条1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
第252条を解説の根拠とする過去問の肢が17肢あります。条文別の過去問ページで出題形式のまま確認できます。
問題で確認する
第252条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。