第二編 物権/第十章 抵当権/第一節 総則
民法 第371条
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 果実に及ぶ効力は担保効力であり収取権を生じない:果実に及ぶのは担保としての効力にとどまり、抵当権者に果実を収取する権能は発生しない。
- 占有を伴わない担保権でも果実に及ぶ:占有担保かどうかで判断せず、不履行後の果実には抵当権の効力が及ぶ。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第371条
抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。
この条文の〇×問題(2問)
果実に及ぶ効力は担保効力であり収取権を生じない
債務の不履行後に抵当不動産から生じた果実には抵当権の効力が及ぶが、この効力は担保としての効力にとどまり、占有を伴わない抵当権者に留置権者のような果実の収取権が発生するわけではない。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。抵当権は担保する債権について不履行があったとき、その後に生じた抵当不動産の果実に効力が及ぶが、これは優先弁済を確保するための担保としての効力である。留置権者のように果実を収取して弁済に充当する権能は、占有を伴わない抵当権者には認められない。
学習ポイント:果実に及ぶのは担保としての効力にとどまり、抵当権者に果実を収取する権能は発生しない。
第371条、関連:第372条・第297条1項
占有を伴わない担保権でも果実に及ぶ
留置権者が留置物の果実を収取して弁済に充当できるのは留置権が占有を伴う担保権だからであり、占有の移転を伴わない抵当権では、債務不履行後であってもその効力が抵当不動産の果実に及ぶことはない。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。留置権者が果実を収取できるのは占有を伴う担保権だからであるが(297条)、抵当権にも別の仕組みがある。民法371条により、担保する債権について不履行があれば、その後に生じた抵当不動産の果実に抵当権の効力が及ぶ。占有の有無ではなく法定の要件で効力の範囲が決まる。
学習ポイント:占有担保かどうかで判断せず、不履行後の果実には抵当権の効力が及ぶ。
第371条、関連:第297条1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和7年度 問11エ
抵当権者は、物上代位権の行使によらなければ、抵当不動産の賃料を被担保債権の弁済に充てることができない。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。抵当権の効力は抵当不動産の果実にも及ぶため(371条)、抵当権者は抵当不動産の賃料を被担保債権の弁済に充てることができる(物上代位によらずに果実として収取できる——判例)。
司法書士令和3年度 問13ウ
建物の抵当権者による当該建物の賃料請求権に対する物上代位権の行使は、被担保債権について債務不履行がなくても、することができる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。賃料債権への物上代位権の行使は、被担保債権について不履行があったとき(弁済期到来後)に限りできる(371条・304条、最判平元.10.27)。債務不履行前の賃料債権には及ばない。
司法書士令和2年度 問13ア
本件抵当権の被担保債権について不履行があったときは、Bは、不履行の後に生じたAのCに対する賃料債権を、差し押さえることなく直接取り立てることができる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。抵当権は被担保債権の不履行後に生じた抵当不動産の果実に及ぶが(民法371条)、その効力が及ぶには果実(賃料債権)を差し押さえることが必要であり、差押えなく直接取り立てることはできない。
司法書士平成30年度 問14エ
BのAに対する被担保債務につき債務不履行が生じた場合、その後にBがCから受領した乙建物の賃料は、Aに対する不当利得となる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。債務不履行後の果実(賃料)に抵当権の効力は及ぶが(民法371条)、収益執行・物上代位等の措置がとられる前はBは賃料を受領でき、不当利得とならない。
問題で確認する
第371条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。