第二編 物権/第十章 抵当権/第一節 総則
民法 第369条(抵当権の内容)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 抵当権の目的となり得る権利の限定列挙:抵当権の目的にできるのは不動産と地上権・永小作権のみ。賃借権を加えてはいけない。
- 非占有型担保としての抵当権:抵当権は占有を移転しない担保権。引渡しを効力要件とするのは質権。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第369条(抵当権の内容)
抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
②地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。
条文の要点
抵当権とは、債務者又は第三者が占有を移転しないで担保に供した不動産から、他の債権者に先立って弁済を受けられる権利です(369条1項)。
目的物の引渡しを要しないので、設定者は所有と使用収益を続けたまま資金を得られます。目的は不動産のほか地上権・永小作権に限られ(2項)、債権である賃借権や付従する地役権は単独では目的にできません。
抵当権の目的になれる権利
目的にできるのは不動産と地上権・永小作権の列挙に限られます。賃借権は債権なので抵当権の目的にならず、債権を目的にできるのは権利質です(362条)。地役権は土地所有権に付従するため単独では目的になりません(281条)。担保される債権は金銭債権に限らず、物の引渡債権なども対象です。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 債務者又は第三者が、占有を移転しないで不動産を担保に供すること |
| 1項 | 効果 | 他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける |
| 2項 | 定義 | 地上権・永小作権も目的にでき、その場合この章の規定を準用する |
具体例
AはBから融資を受けるため、自己所有の土地にBのために抵当権を設定しました。
Aは占有を移さないので土地に住み続けたまま融資を受けられ、Bは他の債権者より先に土地の交換価値から弁済を受けられます。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Aが土地の所有権ではなく、他人の土地を借りる賃借権を担保に供しようとした場合に変えます。
賃借権は債権なので抵当権の目的になれません。債権を目的にするには質権(権利質)を使います。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和4年度 問10エ
地上権は抵当権の目的にならないとする誤り。地上権・永小作権は2項により目的にできる
- 司法書士令和4年度 問11オ
抵当権も債権を目的にできるとする誤り。目的の列挙に債権は含まれず、債権を担保目的にするのは権利質
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
抵当権の目的となり得る権利の限定列挙
抵当権の目的となり得るのは不動産に限られるわけではなく、地上権や永小作権のほか、土地又は建物の賃借権を目的として抵当権を設定することもできる。
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正解 ×
誤り。民法369条2項は地上権及び永小作権も抵当権の目的とすることができると定めるが、この列挙は二権利に限られ、賃借権は含まれない。賃借権は債権であって本条の列挙に入らない。限定された列挙へ他の権利を付け足す誤りを見抜く問題である。
学習ポイント:抵当権の目的にできるのは不動産と地上権・永小作権のみ。賃借権を加えてはいけない。
第369条2項
非占有型担保としての抵当権
抵当権の設定は、質権の設定と同様に、債権者に目的不動産を引き渡すことによって初めてその効力を生じ、設定者はその後その不動産を占有して使用収益することができない。
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正解 ×
誤り。民法369条1項は、抵当権が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産を目的とする点を本質とする。目的物の引渡しが効力発生要件となるのは質権(344条)であり、抵当権では設定者が引き続き不動産を占有して使用収益できる。非占有担保という性格の理解が問われる。
学習ポイント:抵当権は占有を移転しない担保権。引渡しを効力要件とするのは質権。
第369条1項、関連:第344条
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和5年度 問11オ
抵当権は、金銭債権以外の債権を担保するためにも設定することができる。
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正しい
正しい。抵当権は、金銭債権に限らず物の引渡債権等の金銭債権以外の債権を担保するためにも設定することができる(369条の「債権」に限定はない)。
司法書士令和4年度 問10エ
地上権は、抵当権の目的とすることができない。
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誤り
誤り。地上権及び永小作権は抵当権の目的とすることができる(369条2項)。
司法書士令和4年度 問11エ
正誤と理由を見る
正しい
正しい。約定担保物権である質権と抵当権はいずれも優先弁済的効力を有する(342条・369条1項)。
司法書士令和4年度 問11オ
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誤り
誤り。権利質として債権を目的とできるのは質権であり(362条)、抵当権の目的は不動産・地上権・永小作権に限られる(369条)。
司法書士平成30年度 問12イ
民法の規定する約定担保物権は、いずれも、優先弁済的効力を有する。
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正しい
正しい。民法の約定担保物権(質権・抵当権)は、いずれも他の債権者に先立って弁済を受ける優先弁済的効力を有する(民法342条・369条1項)。
司法書士平成26年度 問10イ
地上権及び永小作権は、その権利のみを目的とする抵当権を設定することができるのに対し地役権は、その権利のみを目的とする抵当権を設定することができない。
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正しい
正しい。地上権・永小作権は独立して抵当権の目的となりうるが、地役権は土地の所有権に従たる付従性を有するため単独では抵当権の目的とならない(民法369条2項・281条)。
司法書士平成25年度 問10イ
Aは、当該利用権を目的とする抵当権を設定することができる。
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地上権の場合にのみ正しい。地上権は抵当権の目的となり得るが(民法369条2項)、債権である賃借権に抵当権は設定できない。
問題で確認する
第369条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。