第三編 債権/第一章 総則/第四節 債権の譲渡
民法 第467条(債権の譲渡の対抗要件)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 債務者への対抗と第三者への対抗の区別:確定日付が要るのは第三者への対抗だけで、債務者への対抗には通知か承諾があれば足りる。
- 債権を目的とする質権設定の対抗要件:債権質の設定も債権譲渡と同じく第三債務者への通知・承諾が対抗要件。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第467条(債権の譲渡の対抗要件)
債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
②前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
条文の要点
債権譲渡の対抗要件とは、債権の譲渡を債務者や第三者に主張するための要件で、通知又は承諾で債務者に、確定日付のある証書で第三者に対抗します(467条)。
債務者への対抗に確定日付は要らず、譲渡人の通知か債務者の承諾があれば足ります。確定日付のある証書が要るのは債務者以外の第三者への対抗だけで、二重譲渡では確定日付のある証書による通知・承諾の先着で優劣が決まります。
債権譲渡の対抗要件の通知と承諾
通知ができるのは譲渡人ですが、譲受人は譲渡人の委託を受けて代理人として通知できます。債務者が異議を留めない承諾をすれば通知が届いていなくても対抗要件は具備します。通知と承諾は並列の要件で、どちらか一方で足ります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 譲渡人が債務者に通知し又は債務者が承諾しなければ、債務者その他の第三者に対抗できない。現に発生していない債権の譲渡も対象 |
| 2項 | 要件 | 債務者以外の第三者への対抗には、通知又は承諾が確定日付のある証書によることが要る |
具体例
AはBへの売掛金債権をCに譲渡し、Aが確定日付のない書面でBに譲渡の通知をしました。
CはBに対して譲渡を主張でき、BはCに弁済しなければなりません。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Aがその後Dにも二重譲渡し、Dへの譲渡についてだけ確定日付のある証書による通知がBに到達した場合に変えます。
DはCに優先して債権を主張でき、CはDに対抗できません。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和4年度 問14ウ
第三債務者への対抗にも確定日付のある証書が要るとする誤り。確定日付が要るのは債務者以外の第三者への対抗だけ
- 宅建平成28年 問5肢2
異議を留めない承諾があっても通知未到達なら弁済を拒否できるとする誤り。承諾だけで対抗要件は具備する
- 行政書士令和7年 問31肢2
対抗要件が同順位の二重譲渡で他方の譲受人の存在を理由に弁済を拒めるとする誤り。債務者はどちらかへ弁済できる
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
債務者への対抗と第三者への対抗の区別
債権の譲渡人が確定日付のない書面で債務者に譲渡の通知をした場合、確定日付のある証書による通知ではないため、譲受人は債務者に対しても債権を取得したことを主張することができない。
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正解 ×
誤り。債権譲渡の通知又は承諾について確定日付のある証書を要するのは、債務者以外の第三者に対抗するための要件である。債務者本人に対する対抗には確定日付を要さず、通知自体があれば譲受人は債務者に譲渡を主張できる。
学習ポイント:確定日付が要るのは第三者への対抗だけで、債務者への対抗には通知か承諾があれば足りる。
第467条1項・2項
債権を目的とする質権設定の対抗要件
債権を目的として質権を設定した場合も、債権譲渡と同様に、第三債務者に対する通知又は第三債務者の承諾がなければ、第三債務者その他の第三者に対して質権の設定を対抗することができない。
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正解 ○
正しい。債権を目的とする質権の設定は、債権譲渡の対抗要件に関する規定に従い、第三債務者への通知又は第三債務者の承諾を要する。権利を目的とする質権でも譲渡と同じ通知・承諾型の対抗要件の枠組みが用いられる点を見落とすと誤る。
学習ポイント:債権質の設定も債権譲渡と同じく第三債務者への通知・承諾が対抗要件。
関連:第364条・第467条
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和7年 問31肢1
本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して本件債権を弁済していた場合、Zは、Bから本件債権の弁済を請求されたとしても、これを拒むことができる。
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妥当である
通知到達前の弁済は債務者を保護するため有効で、Bへの再弁済を拒める(民法467条の対抗要件の趣旨)。
行政書士令和7年 問31肢2
Aは、本件債権をBに譲渡した直後にCに対しても譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われ、これが本件債権譲渡通知と同時にZに到達した。Zが、Bから本件債権の弁済を求められた場合、同順位の対抗要件を具備したCの存在を理由として、これを拒むことができる。
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妥当でない
同時到達の二重譲渡では対抗要件が同順位となり、債務者はどちらにも弁済を拒めないわけではなく、一方への弁済も供託も可能。『Cの存在を理由に拒むことができる』との記述は、判例上債務者が選択して弁済できることと矛盾し誤り。
行政書士令和7年 問31肢4
本件債権譲渡通知がZに到達する前に、ZがすでにAに対して貸金債権を有している場合、当該通知の到達後に、Aに対して本件債権と当該貸金債権を相殺する旨の意思表示を行ったとしても、Zは、この相殺による本件債権の消滅をBに対して主張することができる。
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妥当である
通知到達前に取得した反対債権による相殺は、譲受人Bに対抗できる(相殺の時差の原則)。
行政書士令和6年 問35肢2
被相続人が、相続財産中の特定の銀行預金を共同相続人中の特定の1人に相続させる旨の遺言をしていた場合、当該預金債権の価額が当該相続人の法定相続分の価額を超えるときには、当該預金債権の承継に関する債権譲渡の対抗要件を備えなければ、当該預金債権の承継を第三者に対抗できない。
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妥当である
特定預金を特定相続人に相続させる遺言で、当該預金額が法定相続分を超える場合、その超過部分の承継には債権譲渡の対抗要件が必要(判例)。
司法書士令和7年度 問16ア
AがBに対する甲債権をCに譲渡し、その事実を確定日付のある証書によらずにBに通知した後に、Aが甲債権を更にDに譲渡し、その事実を確定日付のある証書によってBに通知したときは、Bは、Dに対して甲債権に係る債務を履行しなければならない。
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正しい
正しい。債権が二重に譲渡された場合、確定日付のある証書による通知を受けた譲受人が、確定日付のない通知の譲受人に優先する(467条2項の対抗要件の優劣——判例)。
司法書士令和4年度 問14ウ
第三債務者に対する質権の設定の通知又は第三債務者の承諾が確定日付のある証書によってされなければ、質権者は、債権を目的とする質権の設定を当該第三債務者に対抗することができない。
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誤り
誤り。第三債務者への対抗は、467条に従い通知又は承諾があれば足り(364条)、確定日付のある証書を要するのは第三債務者以外の第三者への対抗要件である。
司法書士令和3年度 問12オ
AがBのためにCに対する債権を目的とする質権を設定し、Cに確定日付のある証書によってその通知をしたときは、Bは、その後にこの債権を差し押さえたAの他の債権者に対し、質権の設定を対抗することができる。
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正しい
正しい。債権を目的とする質権の設定は、第三債務者への確定日付のある証書による通知又は承諾により第三者に対抗できる(364条・467条2項)。差押債権者にも対抗できる。
司法書士平成31年度 問17ウ
債権の譲受人が譲渡人の委託を受け、債務者に対し、譲渡人の代理人として債権の譲渡の通知をしたときは、譲受人は、その債権の譲渡を債務者に対抗することができる。
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正しい
正しい。譲受人が譲渡人の委託を受け、債務者に対し譲渡人の代理人として譲渡の通知をしたときは、譲渡を債務者に対抗できる(民法467条1項・判例)。
司法書士平成26年度 問17イ
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誤り
誤り。債権譲渡は確定日付のある証書による通知又は承諾が対抗要件だが(民法467条2項)、債権者の交替による更改は確定日付のある証書によってする契約自体が対抗要件で(同515条2項)、通知・承諾は要しない。
宅建令和3年10月 問6肢4
債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知し、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができず、その譲渡の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
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正しい
正しい。債権譲渡の対抗要件は通知・承諾、第三者対抗には確定日付のある証書が必要(民法467条)。
ほか1肢は、各過去問のページで確認できます。
問題で確認する
第467条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。