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民法608条の過去問

民法608条を根拠にした本試験の過去問を、賃管・行政書士・マン管・司法書士の4試験から15問・16肢集めました。 試験ごとの問われ方と、肢ごとの正誤の理由を確認できます。

民法第608条の条文

第1項賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

第2項賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

出典:e-Gov法令検索(2026年6月24日施行版)/民法の条文一覧で見る

出題実績(15問)

試験年度問題論点根拠になった肢
行政書士令和2年問33借地の対抗力と賃貸人の交代肢4
行政書士平成29年問33賃借物の修理費用の回収肢1
行政書士平成24年問32無償契約の当事者の義務肢3
行政書士平成24年問33賃貸借の当事者変更と敷金肢1
司法書士令和3年度問19賃貸借の期間と当事者の義務エ
賃管令和5年度問23賃貸建物の修繕と費用償還請求肢1
賃管令和3年度問25費用償還等の請求と建物明渡し肢4
賃管令和元年度問16費用償還請求と造作買取請求肢1・肢3
賃管平成30年度問18賃貸借契約の定めと補充規定肢3
賃管平成29年度問17建物の修繕と賃料支払義務肢1
賃管平成28年度問20賃貸物の修繕義務と費用償還肢1
マン管令和6年度問15適法な転貸借の当事者関係肢3
マン管令和3年度問17賃貸借終了時の原状回復と費用償還肢4
マン管平成30年度問14賃料債務との相殺肢2
マン管平成28年度問14賃貸中の建物の売買肢4

当サイトの自作解説で民法608条を根拠として特定した肢を集計しています(解説を確認中の肢・図表が必要な問題・不成立の問題は除く)。

試験別の問われ方と肢別の正誤

賃貸不動産経営管理士(6問・7肢)

雨漏りや設備故障の修繕費を賃借人が支出した場面で、必要費は契約終了を待たずに請求できること、価格増加の現存は有益費だけの要件であること、契約書に規定がなくても請求できること、償還請求権を排除する特約が有効であることが問われます。

  • 令和5年度 問23 肢1

    建物共用部内の下水管が破損し賃貸住宅の寝室に漏水が発生したときに、賃貸人が長期海外旅行中で連絡が取れない場合、賃借人は賃貸人の帰国を待たなければ、賃貸住宅の修繕を行うことができない。

    正誤と解説を見る

    正誤:誤り

    解説:誤り。賃貸人と連絡が取れない場合でも、賃借人は必要な修繕を自ら行い、その費用の償還を求めることができる。

  • 令和3年度 問25 肢4

    この肢の記述は問題ページで確認してください。

    正誤と解説を見る

    正誤:正しい

    解説:正しい。必要費償還請求権を排除する特約は有効(民法608条は任意規定)で、造作買取代金が支払われなくても明渡しは拒めない(判例)。

  • 令和元年度 問16 肢1

    貸主が行うべき雨漏りの修繕を借主の費用負担で行った場合、借主は賃貸借契約の終了時に限り、支出額相当の費用の償還を請求できる。

    正誤と解説を見る

    正誤:誤り

    解説:誤り。必要費は支出したとき直ちに償還請求でき、契約終了時に限られない(民法608条1項)。

  • 令和元年度 問16 肢3

    賃貸物件の改良のために借主が支出した費用は、契約終了時に賃貸物件の価格の増加が現存する場合に限り、支出した費用又は増加額の償還を借主が貸主に対して請求できる。

    正誤と解説を見る

    正誤:正しい

    解説:正しい。有益費は契約終了時に価格の増加が現存する場合に限り、支出額又は増加額の償還を請求できる(民法608条2項)。

  • 平成30年度 問18 肢3

    賃貸借契約書に必要費償還請求権の規定がない場合であっても、借主が雨漏りを修繕するための費用を支出したとき、借主は貸主に対して必要費の償還を請求することができる。

    正誤と解説を見る

    正誤:正しい

    解説:正しい。貸主が負担すべき修繕費の支出は必要費として、規定がなくても償還請求できる(民法608条1項)。

  • 平成29年度 問17 肢1

    借主は、賃貸建物について雨漏りの修繕費用を支出したときは、貸主に対し、賃貸借契約終了時に賃貸建物の価格の増加が現存する場合に限り、支出した費用又は増加額の償還を請求することができる。

    正誤と解説を見る

    正誤:誤り

    解説:誤り。雨漏りの修繕費は貸主負担の必要費であり、価格増加の現存を要件とせず直ちに償還請求できる。

  • 平成28年度 問20 肢1

    借主は、賃貸不動産について貸主の負担に属する必要費を支出したときは、貸主に対し、直ちにその償還を請求することができる。

    正誤と解説を見る

    正誤:正しい

    解説:正しい。貸主負担の必要費を支出した借主は直ちに償還請求できる。

行政書士(4問・4肢)

賃貸人の地位が移転した後に必要費を支出した場合の請求先や、特約がなければ契約終了時まで請求できないという誤った記述の判断など、条文の基本を事例にあてはめる出題です。

  • 令和2年 問33 肢4

    本件賃貸借契約においてAからCに賃貸人の地位が移転した場合、Bが乙建物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、Bは、Cに対して、直ちにその償還を請求することができる。

    正誤と解説を見る

    正誤:妥当である

    解説:必要費は賃貸人に属するのでBはCに直ちに償還請求できる(民法608条)。妥当。

  • 平成29年 問33 肢1

    Bは、本件賃貸借契約において、Aの負担に属するとされる甲の修理費用について直ちに償還請求することができる旨の特約がない限り、契約終了時でなければ、Aに対して償還を求めることはできない。

    正誤と解説を見る

    正誤:妥当でない

    解説:賃貸借で貸主負担の修繕費は借主が支出すれば直ちに償還請求できる(608条)。誤り。

  • 平成24年 問32 肢3

    使用貸借においては、借用物の通常の必要費については借主の負担となるのに対し、有益費については貸主の負担となり、その償還の時期は使用貸借の終了時であり、貸主の請求により裁判所は相当の期限を許与することはできない。

    正誤と解説を見る

    正誤:妥当でない

    解説:使用貸借の有益費は貸主負担で償還時期は終了時だが、裁判所は貸主の請求により相当の期限を許与することができる(608条2項)。妥当でない。

  • 平成24年 問33 肢1

    本件賃貸借において、Bが甲建物のために必要費および有益費を支出した場合、特約がない限り、Bはこれらの費用につき、直ちにAに対して償還請求することができる。

    正誤と解説を見る

    正誤:妥当ではない

    解説:必要費は直ちに償還請求できるが、有益費の償還は原則として賃貸借終了時である(608条)。『直ちに』償還請求できるは誤り。妥当ではない。

マンション管理士(4問・4肢)

住戸の賃貸借で、転借人が支出した必要費、必要費償還請求権と賃料との相殺、賃貸人が交替した場合に有益費の償還義務を誰が負うか、返還後の請求の可否などが問われます。

  • 令和6年度 問15 肢3

    Cは、202号室についてBの負担に属する必要費を支出したときは、Bに対し、直ちにその償還を請求することができる。

    正誤と解説を見る

    正誤:正しい

    解説:正しい。転借人が転貸借目的物について転貸人の負担に属する必要費を支出したときは、直ちにその償還を請求することができる。

  • 令和3年度 問17 肢4

    Aが、賃貸借契約終了の2ヵ月前に、404号室についてBの負担に属する必要費を支出した場合であっても、その必要費の償還を請求しないまま賃貸借契約が終了し、同室をBに返還したときは、その後は、Aは、Bに対し、その必要費の償還を請求することができない。

    正誤と解説を見る

    正誤:誤り

    解説:誤り。必要費の償還請求権は賃貸借の終了や返還によって消滅せず、賃貸人が返還を受けた時から1年以内であれば請求できる(民法608条1項・622条・600条1項)。

  • 平成30年度 問14 肢2

    Bが101号室の故障したガス給湯設備の修繕費用として適切である10万円を支出し、AB間に費用負担の特約がないときは、Bは、Aに対し、当該費用の償還請求権10万円と5月分の賃料10万円とを相殺することができる。

    正誤と解説を見る

    正誤:正しい

    解説:正しい。賃借人が支出した必要費の償還請求権は弁済期が到来しており、賃料債務と相殺することができる(判例)。

  • 平成28年度 問14 肢4

    Bが有益費を支出した後に、301号室の所有権移転により賃貸人がAからCに交替したときは、特段の事情のない限り、Aがその有益費の償還義務を引き続き有し、Cはその償還義務を負わない。

    正誤と解説を見る

    正誤:誤り

    解説:誤り。賃貸人の地位の移転に伴い、民法608条による費用償還債務も譲受人Cに承継される。特段の事情がないのにAが引き続き有益費の償還義務を負うという記述は誤り(現行民法605条の2第4項)。

司法書士(1問・1肢)

賃貸借の総合問題の一肢として、必要費を支出した賃借人が直ちに償還を請求できるという条文の文言そのものが問われました。

  • 令和3年度 問19 エ

    賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対して、直ちにその償還を請求することができる。

    正誤と解説を見る

    正誤:正しい

    解説:正しい。賃借人は賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、直ちにその償還を請求できる(608条1項)。

間違えやすいポイント

必要費と有益費は請求の時期と要件が違います。また、賃借人が支出した費用の償還は、賃貸人が目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(622条・600条1項)。借地借家法の造作買取請求(33条)は、賃貸人の同意を得て付加した造作の買取りを求める別の制度です。

区分例請求の時期償還額
必要費(608条1項)雨漏り・給湯設備の修繕支出後直ちに支出した額
有益費(608条2項)改良工事で価値を高めた費用賃貸借の終了時(裁判所は期限を許与できる)価格の増加が現存する限り、賃貸人の選択で支出額又は増価額
造作買取請求(借地借家法33条)賃貸人の同意を得て付けたエアコン等賃貸借の終了時時価(特約で排除できる)

よくある質問

雨漏りの修理代を立て替えた場合、いつ請求できますか?
雨漏りの修繕費は賃貸人が負担すべき必要費なので、支出した時点で直ちに償還を請求できます。契約終了時まで待つ必要はなく、賃料と相殺することもできます。
必要費と有益費の違いは何ですか?
必要費は賃借物を使用できる状態に保つための費用で、直ちに請求できます。有益費は賃借物の価値を高める費用で、賃貸借の終了時に価格の増加が現存する場合に限り、賃貸人が支出額か増価額のどちらかを選んで償還します。

次に解く・確認する

論点・試験別の説明の確認日:2026.10.06。現行条文(第1項・第2項)と各肢の自作解説の結論との整合、関連条(196条2項・600条1項・622条・借地借家法33条)。608条の参照が誤っていた管業の1肢は根拠条を606条に修正し、本ページの対象から外した