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民法177条の過去問

民法177条を根拠にした本試験の過去問を、司法書士・行政書士・マン管・宅建・管業の5試験から17問・19肢集めました。 試験ごとの問われ方と、肢ごとの正誤の理由を確認できます。

民法第177条の条文

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

出典:e-Gov法令検索(2026年6月24日施行版)/民法の条文一覧で見る

出題実績(17問)

試験年度問題論点根拠になった肢
行政書士令和元年問31質権の設定と対抗要件肢2
行政書士平成30年問9行政上の法律関係と民法肢3
行政書士平成24年問29隣地通行の権利と対抗関係肢5
司法書士令和8年度問7物権変動の対抗関係と混同ウ
司法書士令和7年度問8不動産物権変動の対抗関係エ
司法書士令和5年度問7不動産物権変動の対抗関係イ
司法書士令和4年度問7不動産物権変動の対抗関係ウ
司法書士令和2年度問10共有持分の処分と共有物分割イ
司法書士平成31年度問11共有物の分割と持分の変動エ
司法書士平成28年度問7不動産物権変動の対抗要件ア・オ
司法書士平成25年度問9共有関係と共有物分割オ
宅建令和4年問1二重譲渡と背信的悪意者肢2
宅建平成24年問6不動産登記と第三者への対抗肢3・肢4
マン管令和7年度問12住戸の所有権と第三者への対抗肢1
マン管令和3年度問14住戸の二重譲渡と対抗要件肢1
マン管令和元年度問13相続不動産の譲渡と対抗要件肢2
管業令和6年度問2マンション管理を巡る民法の適用肢1

当サイトの自作解説で民法177条を根拠として特定した肢を集計しています(解説を確認中の肢・図表が必要な問題・不成立の問題は除く)。

試験別の問われ方と肢別の正誤

司法書士(8問・9肢)

事例を細かく変えて「第三者」の範囲を問う出題が中心です。背信的悪意者からの転得者、契約解除後に現れた第三者、共有持分の贈与・放棄と他の共有者・譲受人との関係など、判例の結論を正確に覚えているかが問われます。

  • 令和8年度 問7 ウ

    A及びBが各2分の1の割合で甲土地を共有している場合において、AがCに対して自らの持分全部を贈与したときは、Cは、その旨の登記がされていなかったとしても、Bに対し、その持分の取得を主張することができる。

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    正誤:誤り

    解説:誤り。共有持分の移転も不動産の物権変動であり、登記がなければ他の共有者Bにも対抗できない(177条)。

  • 令和7年度 問8 エ

    A所有の甲土地をAがBに売却したが、その旨の登記がされていないことを奇貨として、CがBを害する目的で甲土地をAから買い受け、その旨の登記がされた場合には、その後、Cが事情を知らないDに甲土地を売却し、その旨の登記がされたときであっても、Bは、Dに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができる。

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    正誤:誤り

    解説:誤り。Cは背信的悪意者として177条の第三者に当たらないが、Cからの転得者Dは事情を知らない善意の第三者であり、177条の第三者に該当する。登記を有しないBはDに対抗できない。

  • 令和5年度 問7 イ

    Aがその所有する甲土地をBに売却した後、Cが甲土地を正当な権原なく占有している場合には、Bは、所有権の移転の登記をしなくても、Cに対し、甲土地の所有権の取得を対抗することができる。

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    正誤:正しい

    解説:正しい。正当な権原のない占有者は177条の「第三者」に当たらず、Bは登記なくしてCに所有権を対抗できる(最判昭25.12.19)。

  • 令和4年度 問7 ウ

    Aがその所有する甲土地をBに売却し、その旨の登記をした後、Bの債務不履行により当該売買契約を解除した場合において、その後、BがCに甲土地を売却し、その旨の登記をしたときは、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。

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    正誤:正しい

    解説:正しい。解除後にBから取得した第三者Cと解除したAとは対抗関係にあり(177条)、Cが先に登記を備えればAは所有権を主張できない(最判昭35.11.29)。

  • 令和2年度 問10 イ

    Cが自己の持分をEに譲渡したが、その旨の登記がされず、A及びBがEの持分の取得を争っている場合において、Eが甲土地につき共有物分割の訴えを提起したときは、裁判所は、共有者がA,B及びEであることを認定して共有物の分割を命ずることができる。

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    正誤:誤り

    解説:誤り。共有持分の譲受人は、登記がないときは他の共有者に対抗できず(民法177条の第三者)、共有物分割訴訟は持分が譲渡人に帰属するものとして命ぜられる(最判昭46.6.18)。Eを当事者とすることはできない。

  • 平成31年度 問11 エ

    Aが自己の持分を放棄した後当該持分をDに譲渡した場合には、B及びCは、当該放棄に係る持分の移転の登記をしなければ、Dに対し、持分の取得を対抗することができない。

    正誤と解説を見る

    正誤:正しい

    解説:正しい。持分を放棄したAがその持分をDに譲渡した場合、B及びCは放棄による持分移転の登記をしなければDに持分の取得を対抗できない(民法177条・判例)。

  • 平成28年度 問7 ア

    Aはその所有する甲土地をBに売り渡したが、その旨の所有権の移転の登記がされない間に、AがCと通謀して甲土地をCに売り渡した旨を仮装し、AからCへの所有権の移転の登記がされた。その後、Cが死亡してその相続人であるDがCの財産を単独で相続し、CからDへの所有権の移転の登記がされた場合には、Bは、Dに対し、甲土地の所有権を主張することができる。

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    正誤:正しい

    解説:正しい。AC間の売買は通謀虚偽表示により無効であり(民法94条1項)、Cは無権利者である。Cを相続したDはCの地位を包括的に承継するにすぎず、177条の第三者にも94条2項の第三者にも当たらないから、Bは登記がなくてもDに所有権を対抗できる。

  • 平成28年度 問7 オ

    Aはその所有する未登記の甲建物をBに売り渡したが、その旨の所有権の移転の登記がされない間に、Aが甲建物についてA名義で所有権の保存の登記をし、Cを抵当権者とする抵当権を設定してその旨の登記をした場合には、Cは、Bに対し、甲建物の抵当権を主張することができない。

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    正誤:誤り

    解説:誤り。AからBへの売買とAによるCへの抵当権設定とは二重譲渡と同様の対抗関係に立ち、所有権移転の登記を備えていないBは、抵当権設定登記を備えたCに所有権を対抗できない(民法177条)。したがって、Cは、Bに対して甲建物の抵当権を主張することができる。

  • 平成25年度 問9 オ

    不動産の共有者間で持分の譲渡がされたものの、その譲渡について登記がされていない場合における当該不動産の共有物分割訴訟において、裁判所は、当該持分が譲受人である共有者に帰属するものとして、共有物分割を命ずることができる。

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    正誤:誤り

    解説:誤り。共有者間で持分の譲渡があっても、その登記がない以上、譲受人は他の共有者(民法177条の第三者に当たる)に持分の取得を対抗できないから、共有物分割訴訟において、裁判所は当該持分が譲受人に帰属するものとして分割を命ずることはできない(最判昭46.6.18)。

行政書士(3問・3肢)

民法の物権変動の問題で、判例の射程を問う形で出題されています。租税滞納処分による差押えにも対抗要件の規定が適用されること(農地買収処分とは扱いが異なること)が問われました。

  • 令和元年 問31 肢2

    不動産質権は、目的不動産を債権者に引き渡すことによってその効力を生ずるが、不動産質権者は、質権設定登記をしなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。

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    正誤:妥当である

    解説:不動産質権は引渡しで効力を生じ、登記が対抗要件(民法344条・177条)。妥当。

  • 平成30年 問9 肢3

    租税滞納処分は、国家が公権力を発動して財産所有者の意思いかんにかかわらず一方的に処分の効果を発生させる行為であるという点で、自作農創設特別措置法(当時)所定の農地買収処分に類似するものであるから、物権変動の対抗要件に関する民法の規定の適用はない。

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    正誤:妥当でない

    解説:租税滞納処分による物権変動には民法の対抗要件規定が適用される(判例。農地買収処分とは異なる)。誤り。

  • 平成24年 問29 肢5

    Aが地役権に基づいて乙土地の一部を継続的に通路として使用している場合において、その後にCが通路の存在を認識しながら、または認識可能であるにもかかわらず認識しないでBから乙土地を承継取得したときは、Cは背信的悪意者にあたるので、Aの地役権設定登記がなされていなくても、AはCに対して通行地役権を主張することができる。

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    正誤:妥当ではない

    解説:妥当ではない。判例は、通路として継続的に使用されていることが物理的状況から客観的に明らかで、譲受人がそれを認識し又は認識可能であったときは、譲受人は特段の事情がない限り登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者(民法177条)に当たらないとする(最判平10.2.13)。Cが背信的悪意者に当たるからではない点で、本肢は誤り。

マンション管理士(3問・3肢)

分譲マンションの住戸(専有部分)の二重譲渡や、相続・遺産分割の前後に譲渡された住戸をめぐる対抗関係として出題されます。代金の支払や引渡しが先でも登記がなければ対抗できない、という基本の当てはめが中心です。

  • 令和7年度 問12 肢1

    Aが、Bとの間で302号室の売買契約を締結し、Bにその所有権の移転登記がされない間に、さらにCとの間で同室の売買契約を締結し、Cにその所有権の移転登記がされた場合には、Bは、Cに対し、同室の所有権を対抗することができない。

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    正誤:正しい

    解説:正しい。不動産の二重譲渡では先に登記を備えた者が優先し、未登記のBはCに対抗できない。

  • 令和3年度 問14 肢1

    CがBよりも先に代金1,200万円をAに支払った場合であっても、BがCよりも先にAから102号室の引渡しを受けたときは、Bは同室の所有権の移転登記を備えなくても、Cに対し、同室の所有権を取得したことを対抗することができる。

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    正誤:誤り

    解説:誤り。不動産の二重売買の対抗要件は登記であり、先に引渡しを受けただけではCに所有権取得を対抗できない(民法177条)。

  • 令和元年度 問13 肢2

    AがEに対して、Aの死亡前に、102 号室を譲渡し、BC間の遺産分割後に、BがFに対して 102 号室を譲渡したときは、Eは所有権移転登記なくしてFに対して 102 号室の所有権を主張できない。

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    正誤:正しい

    解説:正しい。EとFはともに譲受人として対抗関係にあり、先に登記を備えたFにEは登記なく対抗できない。

宅建(2問・3肢)

権利関係の物権変動の問題で、二重譲渡の優劣(契約の先後は無関係)と背信的悪意者・転得者の扱いが繰り返し問われます。売買の当事者関係を図にして、誰と誰が対抗関係に立つかを判断させる形式です。

  • 令和4年 問1 肢2

    所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、背信的悪意者ではないCが当該不動産をAから二重に買い受けた場合、先に買い受けたBは登記が未了であっても当該不動産の所有権取得をもってCに対抗することができる。

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    正誤:誤り

    解説:誤り。Bは登記がなければ善意の二重譲受人Cに対抗できない(民法177条)。

  • 平成24年 問6 肢3

    Aが甲土地をFとGとに対して二重に譲渡してFが所有権移転登記を備えた場合に、AG間の売買契約の方がAF間の売買契約よりも先になされたことをGが立証できれば、Gは、登記がなくても、Fに対して自らが所有者であることを主張することができる。

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    正誤:誤り

    解説:誤り。二重譲渡では売買契約の先後は無関係であり、先に登記を備えたFが優先する(民法177条)。Gは登記なくFに対抗できない。

  • 平成24年 問6 肢4

    Aが甲土地をHとIとに対して二重に譲渡した場合において、Hが所有権移転登記を備えない間にIが甲土地を善意のJに譲渡してJが所有権移転登記を備えたときは、Iがいわゆる背信的悪意者であっても、Hは、Jに対して自らが所有者であることを主張することができない。

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    正誤:正しい

    解説:正しい。背信的悪意者Iからの転得者であっても、転得の当時Iが背信的悪意者であることを知っていた等の特段の事情がない限り、無登記のHに対抗できる。登記を備えた善意のJにはHは対抗できない(判例)。

管理業務主任者(1問・1肢)

区分所有者の変更をめぐる設問で、管理組合への届出と登記の違いが問われます。届出は管理規約上の手続にすぎず、第三者への対抗には登記が必要という点が論点です。

  • 令和6年度 問2 肢1

    区分所有者は、区分所有権を取得した旨の届出を管理組合に提出すれば、登記の有無にかかわらず、第三者にその区分所有権を対抗することができる。

    正誤と解説を見る

    正誤:誤り

    解説:誤り。不動産の物権変動は登記をしなければ第三者に対抗できず、管理組合への届出では対抗できない。

間違えやすいポイント

177条は不動産の物権変動を対象とし、動産の譲渡の対抗要件は引渡し(178条)です。また、通謀虚偽表示の無効を対抗できない「善意の第三者」(94条2項)とは要件が違い、177条では単なる悪意者も第三者に含まれ、背信的悪意者だけが除かれます。

場面対抗要件・保護の要件根拠
不動産の二重譲渡先に登記を備えた方が優先(悪意でもよい)177条
背信的悪意者からの転得者転得者自身が背信的悪意者でなければ第三者に当たる177条・判例
契約解除後の第三者解除した者と第三者は対抗関係。先に登記した方が優先177条・判例
動産の譲渡引渡しが対抗要件178条
虚偽表示の外観を信じた者善意であれば保護される(登記は不要)94条2項

よくある質問

民法177条の「第三者」とは誰のことですか?
当事者とその包括承継人以外の者で、登記がないことを主張する正当な利益を有する者をいうとされます(判例)。二重譲受人や差押債権者は第三者に当たり、単なる悪意者も含まれますが、背信的悪意者や不法占拠者は当たりません。
177条と178条の違いは何ですか?
177条は不動産の物権変動の対抗要件を登記と定め、178条は動産の譲渡の対抗要件を引渡しと定めています。不動産では引渡しを受けていても、登記がなければ第三者に対抗できません。
背信的悪意者から買った人は保護されますか?
背信的悪意者は177条の第三者に当たりませんが、その者から不動産を譲り受けた転得者は、転得者自身が背信的悪意者と評価されない限り第三者に当たり、先に登記を備えれば最初の譲受人に優先します。

次に解く・確認する

論点・試験別の説明の確認日:2026.10.06。条文原文と各肢の自作解説の結論との整合、判例の結論の一般的理解との照合(判例の事件番号・原文までは照合していない)