第三編 債権/第二章 契約/第十節 委任
民法 第649条(受任者による費用の前払請求)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第649条(受任者による費用の前払請求)
委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。
条文の要点
費用の前払請求とは、委任事務の処理に費用を要する場合に、受任者が委任者に対し支出の前にその支払を求めることです(649条)。
費用がこれから発生する段階で委任者に支払義務を課し、受任者が自己の資金で立て替えなくて済むようにします。報酬の特約の有無は前払請求の可否に影響しません。
費用の前払請求の範囲
対象は委任事務の処理に要する費用で、受任者の報酬は含まれません。委任ではこの前払請求が認められますが、事務管理では費用の事後の償還はできても前払の請求はできません。まだ支出していない費用について先に請求できる点が、支出済みの費用についての償還請求とは異なります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 委任事務を処理するために費用を要する状況があること |
| 1項 | 要件 | 受任者から委任者への請求があること |
| 1項 | 効果 | 委任者は費用が生じる前にその金銭を支払う義務を負う |
具体例
AがBに不動産の管理を委任し、建物の修繕に費用がかかることになりました。Bはまだ修繕費を支払っていません。
BはAに対し、修繕費を支出する前にその前払を請求できます。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、BがAから依頼を受けず、義務なくAの建物の修繕を始めた場合に変えます。
Bは事務管理の管理者であって受任者ではないため、支出前の費用の支払をAに請求できず、有益な費用の事後の償還にとどまります。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 行政書士令和元年 問33肢5
特約がなければ委任でも事前に費用を請求できないとする誤り。前払請求に報酬の特約などは要らない
- マン管平成30年度 問16肢2
報酬の特約があると費用の前払を請求できないとする誤り。報酬の有無は前払請求の要件に含まれない
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和元年 問33肢5
BがAから甲の管理を頼まれていた場合であっても、A・B間において特約がなければ、窓ガラスを取り換えるにあたって、Bは、Aに対して事前にその費用の支払を請求することはできない。
正誤と理由を見る
妥当でない
委任の場合、受任者は委任事務処理の費用を事前に請求できる(民法649条の前払い)。『事前請求できない』は妥当でない。
行政書士平成22年 問32ア
Aは、①の場合において、事務の処理に関して費用を要するときは、Bに対しその費用の前払いを請求することができるのに対し、②の場合には、Bに対し事務の管理により生じる費用の前払いを請求することができない。
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正しい
委任では受任者は費用の前払いを請求できる(649条)のに対し、事務管理では費用の前払い請求はできない。正しい。
司法書士令和8年度 問19ウ
委任事務を処理するについて費用を要する場合には、報酬を支払う旨の合意がないときであっても、委任者は、受任者の請求により、その費用の前払をしなければならない。
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正しい
正しい。委任事務処理に費用を要するときは、報酬合意の有無にかかわらず委任者は費用の前払義務を負う(649条)。
司法書士令和3年度 問33オ
合同会社の業務を執行する社員がその職務を行うのに費用を要するときは、合同会社は、業務を執行する社員の請求により、その前払をしなければならない。
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正しい
正しい。業務執行社員と持分会社の間には委任の規定が準用され、職務に費用を要するときは会社は請求によりその前払いをしなければならない(593条4項・民法649条)。
賃管令和7年度 問12肢3
受任者が委任事務を処理するために必要と認められる債務を負担した場合、委任者に対して、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。
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正しい
正しい。受任者は委任事務に必要な債務を負担したときは委任者に代わり弁済を請求できる。
マン管令和2年度 問4肢2
Aは、管理者としての事務を処理するについて費用を要するときは、管理組合に対して事務処理費用の前払いを請求することができる。
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正しい
正しい。委任事務の処理に費用を要するときは、委任者に対しその前払いを請求することができる。
マン管平成30年度 問16肢2
Bが報酬の特約をして管理を受託したときは、委託事務を処理するための費用の前払を請求することはできない。
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誤り
誤り。委任事務の処理に費用を要するときは、委任者は受任者の請求により前払いしなければならない。
マン管平成29年度 問4肢3
管理者が職務を行うに当たって費用を要するときは、管理者は、委任の規定に従い、前払でその費用を請求することができる。
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正しい
正しい。委任の規定の準用により、職務の遂行に要する費用の前払いを請求することができる。
問題で確認する
第649条の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。