資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第三編 債権/第二章 契約/第十節 委任

民法 第651条(委任の解除)

分野:委任・寄託

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 高賃貸不動産経営管理士重要度 中マンション管理士重要度 高管理業務主任者重要度 高

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 期間の定めがある委任の解除の自由:委任は期間の定めがあってもいつでも解除できる。雇用の中途解除制限とは構造が異なる。
  • 委任解除の効力は将来に向かってのみ:継続的契約の解除は将来に向かってのみ効力を生じ、既処理の事務は失効しない。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第651条(委任の解除)

委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

②前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。

二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

条文の要点

委任の任意解除とは、委任者・受任者のどちらからでも時期を問わずにできる委任契約の解除です(651条1項)。

相手方に不利な時期の解除や、委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除する場合は、やむを得ない事由がない限り損害を賠償します。専ら報酬を得る利益は後者から除かれます。

委任の任意解除の代償

不利な時期の解除でも解除の効力は生じ、問題は賠償の要否だけです。賠償義務が生じるもう一つの類型は、委任者が受任者の利益をも目的とする委任を解除したときで、その利益が専ら報酬を得ることである場合は除かれます。解除の効果は将来に向かってのみ生じ、過去の事務処理は失効しません。

項役割内容
1項効果双方の当事者が時期や方式の制約なく解除できる
2項1号効果相手方に不利な時期に解除した者はその損害を賠償する
2項2号効果委任者は受任者の利益をも目的とする委任を解除したときも賠償する
2項ただし書例外専ら報酬を得ることによる利益は2号の利益に含めず、やむを得ない事由があれば賠償を免れる

具体例

Bの不動産登記申請を受任したAが、期限直前でBに代わりの担当者を探す余裕がない時に、理由なく解除しました。Bは期限に間に合わず損害を受けました。

解除はできますが、相手方Bに不利な時期の解除なので、やむを得ない事由がないAはBの損害を賠償します。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Aの解除の理由が急病による入院で事務を続けられないというやむを得ない事由だった場合に変えます。

やむを得ない事由があるため、この解除についてAは651条2項による賠償義務を負いません。

関連条との違い

  • 民法 第641条:請負では注文者だけが仕事の完成前に損害を賠償して解除できる。委任は双方がいつでもでき、賠償が要るのは条文の限定的な場面だけ
  • 民法 第628条:期間を定めた雇用はやむを得ない事由がなければ中途解除できない。委任は期間の定めがあってもいつでも解除できる
  • 民法 第652条:解除の効力が将来に向かってのみ生じるのは620条準用の規定。651条は解除の可否と賠償の場面を定める

過去問で誤りとされた肢の型

  • 管業令和4年度 問1肢3

    相手方に不利な時期には解除できないとする誤り。解除はでき、不利な時期の問題は賠償の要否に限られる

  • 司法書士令和5年度 問19エ

    受任者の利益が専ら報酬を得ることである委任でも、解除した委任者は賠償義務を負うとする誤り。括弧書きでこの類型は除かれる

  • 司法書士令和8年度 問19オ

    書面によらない合意に限りいつでも解除できるとする誤り。書面の有無は任意解除の要件に含まれない

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

期間の定めがある委任の解除の自由

委任に期間の定めがある場合でも、委任者及び受任者は、それぞれ相手方の承諾を得ることなく、いつでもその委任を解除することができる。

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正解 ○

正しい。651条1項は委任に期間の定めがあるかどうかにかかわらず、各当事者にいつでも解除を認める。期間を定めた雇用についてやむを得ない事由を要求する628条とは異なり、委任にその制限はない。もっとも相手方に不利な時期の解除などでは2項により損害賠償義務を負う。

学習ポイント:委任は期間の定めがあってもいつでも解除できる。雇用の中途解除制限とは構造が異なる。

第651条1項・2項、関連:第628条

委任解除の効力は将来に向かってのみ

委任契約を解除すると、その効果は契約の締結時にさかのぼるため、解除前に受任者が委任者のために行った事務処理行為も効力を失う。

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正解 ×

誤り。委任については620条が準用され、解除は将来に向かってのみ効力を生じ、損害賠償の請求を妨げない。解除前に処理された委任事務の効力は失われない。解除は継続的契約を将来に向かって解消するもので、遡及的に無効にする取消しとは異なる。

学習ポイント:継続的契約の解除は将来に向かってのみ効力を生じ、既処理の事務は失効しない。

第652条(第620条準用)、関連:第651条

この条文を解説で参照する過去問

第651条を解説の根拠とする過去問の肢が13肢あります。条文別の過去問ページで出題形式のまま確認できます。

問題で確認する

第651条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。