第一編 総則/第五章 法律行為/第二節 意思表示
民法 第94条(虚偽表示)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 虚偽表示の無効と善意の第三者への対抗不能:虚偽表示は当事者間では無効でも、善意の第三者には無効を対抗できない。
- 通謀の要否(心裡留保との区別)
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第94条(虚偽表示)
相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
②前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
条文の要点
虚偽表示とは、相手方と通じてした真意でない意思表示で、当事者どうしでは無効になります(94条1項)。
ただし、その表示で作られた外観を信頼した第三者には無効を主張できません。第三者の保護に必要なのは善意だけで、無過失や登記は要件に含まれていません。
虚偽表示の第三者保護の範囲
無効を対抗できないのは、虚偽表示で生じた外観から新たに法律上の利害関係を取得した善意の者です。目的物を差し押さえた債権者や仮装債権の譲受人はこれに当たりますが、目的物の帰属と無関係に金銭を貸し付けただけの者は当たりません。転得者は自分が善意なら前主の悪意に左右されず保護されます。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 通謀して作った虚偽の意思表示は、当事者どうしの間では効力を持たない |
| 2項 | 例外 | 外観を信頼した善意の第三者には、無効を対抗できない |
具体例
AがBと相談して、差押えを逃れるためAの土地をBに売ったように装い、B名義の登記をしました。事情を知らないCがその土地をBから買いました。
AB間の売買は無効ですが、Aは善意のCに無効を主張できず、Cは所有権を取得します。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Cが仮装売買であることを知りながらBから買った場合に変えます。
Cは悪意なので保護されず、AはCに無効を主張でき、Cは所有権を取得できません。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建令和7年 問3イ
第三者の保護要件を善意無過失と読み替え、過失があれば無効を対抗できるとする誤り
- 管業平成29年度 問3肢1
善意の第三者にも無効や所有権を主張できるとして、対抗制限を無視する誤り
- 行政書士令和4年 問27肢1
仮装譲渡された土地上の建物の賃借人を第三者とみなす誤り。目的物の帰属と無関係な利害関係者は含まれない
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
虚偽表示の無効と善意の第三者への対抗不能
甲が乙と通じて甲の土地を乙に売却した旨の虚偽の意思表示をし、乙からその土地を買い受けた丙が仮装取引の事情を知らなかった場合、甲は丙に対して甲乙間の売買の無効を主張することができない。
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正解 ○
正しい。相手方と通じてした虚偽の意思表示は当事者間では無効だが、その無効は善意の第三者に対抗することができない。丙が虚偽の外観につき正当な利益を有する善意の譲受人であれば、甲は無効を主張できない。無効だから誰に対しても主張できると考えると誤る。
学習ポイント:虚偽表示は当事者間では無効でも、善意の第三者には無効を対抗できない。
第94条1項・2項
通謀の要否(心裡留保との区別)
表意者が相手方と通じることなく単独で真意に反する意思表示をした場合でも、相手方がその真意でないことを知っていたときは、その意思表示は相手方との通謀に基づく虚偽表示として無効となる。
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正解 ×
誤り。虚偽表示として無効となる規定は相手方と通じてした場合のものであり、単独で真意に反する表示をしたにすぎない場合は適用されない。もっとも相手方が真意でないことを知っていたときは心裡留保のただし書により無効となり、結論は似るが適用される規定は異なる。
学習ポイント:単独の真意なき表示は心裡留保の問題。通謀虚偽表示とは要件も適用条文も違う。
第94条1項、関連:第93条1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
第94条を解説の根拠とする過去問の肢が26肢あります。条文別の過去問ページで出題形式のまま確認できます。
問題で確認する
第94条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。