第一編 総則/第五章 法律行為/第二節 意思表示
民法 第96条(詐欺又は強迫)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 第三者詐欺における取消要件:第三者の詐欺では、相手方が詐欺の事実を知り又は知りえたことが取消しの要件。
- 強迫による取消しの第三者対抗:善意無過失第三者への対抗不能は詐欺の取消しだけで、強迫は第三者にも対抗できる。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第96条(詐欺又は強迫)
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
②相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
③前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
条文の要点
詐欺・強迫とは、欺罔又は畏怖させる行為に基づく意思表示の取消原因で、表意者本人の過失は要件に含まれません(96条1項)。
取消しは瑕疵ある意思表示をした者(その代理人・承継人を含む)だけができ、詐欺が第三者の行為のときは、相手方がその事実を知り又は知ることができた場合に限り取り消せます。強迫にはこの制限がありません。
詐欺・強迫の取消しと第三者への対抗
詐欺による取消しは、取消し前に現れた善意でかつ過失のない第三者には対抗できませんが、強迫による取消しにはこの保護規定がなく、善意の第三者にも対抗できます。取消し後に現れた者との優劣は別の対抗問題として扱います。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 詐欺でも強迫でも、瑕疵ある意思表示をした者は取り消せる |
| 2項 | 例外 | 詐欺したのが第三者のときは、相手方の悪意又は有過失が取消しの要件になる |
| 3項 | 例外 | 詐欺の取消しだけが、善意で過失のない第三者への対抗を制限される |
具体例
BがAに危害を加えると脅したところ、Aは恐れて自分の土地をBに売りました。その後、強迫のことを何も知らないDがBからその土地を買いました。
AはBとの売買を強迫で取り消せ、その取消しを善意のDにも主張して土地を取り戻せます。
反例(結論が変わる)
同じ流れで、Aが脅されたのではなくBにだまされて売り、Dが詐欺の事実を知らなかったことに過失もなかった場合に変えます。
詐欺による取消しは善意で過失のないDに対抗できず、AはDの所有権取得を争えません。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和5年度 問5イ
第三者の強迫にも2項をあてはめ、相手方が知らなければ取消せないとする誤り。2項の制限は詐欺だけにかかる
- 管業令和3年度 問1肢4
強迫による取消しにも3項をあてはめ、善意無過失の第三者に対抗できないとする誤り
- マン管令和3年度 問12肢1
表意者に過失があれば詐欺による取消しができないとする誤り。表意者の過失を制限する規定はない
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
第三者詐欺における取消要件
契約の相手方ではない第三者が表意者を欺き、表意者がその誤信に基づいて意思表示をした場合、相手方が第三者の行為を知らず、知ることもできなかったときでも、表意者はその意思表示を取り消すことができる。
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正解 ×
誤り。第三者が詐欺を行った場合に意思表示を取り消せるのは、相手方がその事実を知り、または知ることができたときに限られる。善意で過失のない相手方との間では取消しを主張できず、相手方本人が詐欺を行った場合よりも表意者の保護が限定されている。
学習ポイント:第三者の詐欺では、相手方が詐欺の事実を知り又は知りえたことが取消しの要件。
第96条2項
強迫による取消しの第三者対抗
強迫された表意者が意思表示を取り消した場合、その取消しは善意で過失のない第三者に対しても主張することができる。
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正解 ○
正しい。善意で過失のない第三者に対抗できないとされるのは詐欺による意思表示の取消しに限られ、強迫による取消しにはこの制限がない。強迫の被害者は第三者よりも優先して保護されるため、取消しを善意無過失の第三者にも対抗できる。
学習ポイント:善意無過失第三者への対抗不能は詐欺の取消しだけで、強迫は第三者にも対抗できる。
第96条1項・3項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
第96条を解説の根拠とする過去問の肢が25肢あります。条文別の過去問ページで出題形式のまま確認できます。
解説で第96条を参照している問
問題で確認する
第96条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。