第四章 営業保証金
宅地建物取引業法 第30条(営業保証金の取戻し)
この条の要点
- 営業保証金の取戻公告:廃業後の営業保証金取戻しには原則6か月以上の債権者公告が必要。
条文原文
第30条(営業保証金の取戻し)
第三条第二項の有効期間(同条第四項に規定する場合にあつては、同項の規定によりなお効力を有することとされる期間を含む。第七十六条において同じ。)が満了したとき、第十一条第二項の規定により免許が効力を失つたとき、同条第一項第一号若しくは第二号に該当することとなつたとき、又は第二十五条第七項、第六十六条若しくは第六十七条第一項の規定により免許を取り消されたときは、宅地建物取引業者であつた者又はその承継人(第七十六条の規定により宅地建物取引業者とみなされる者を除く。)は、当該宅地建物取引業者であつた者が供託した営業保証金を取り戻すことができる。宅地建物取引業者が一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金の額が第二十五条第二項の政令で定める額を超えることとなつたときは、その超過額について、宅地建物取引業者が前条第一項の規定により供託した場合においては、移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金についても、また同様とする。
②前項の営業保証金の取りもどし(前条第一項の規定により供託した場合における移転前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金の取りもどしを除く。)は、当該営業保証金につき第二十七条第一項の権利を有する者に対し、六月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかつた場合でなければ、これをすることができない。ただし、営業保証金を取りもどすことができる事由が発生した時から十年を経過したときは、この限りでない。
③前項の公告その他営業保証金の取戻しに関し必要な事項は、法務省令・国土交通省令で定める。
条文の要点
営業保証金の取戻しとは、免許の失効・期間満了・取消し等で業者でなくなった者等が、供託した営業保証金を引き取ることです(30条1項)。
取戻しには還付権者に6か月を下らない期間を定めた申出の公告とその期間の経過が要り、事由発生から10年経てば公告は要りません。
営業保証金の取戻しの事由と手続
不正の手段による免許の取消しでも取戻せる点が欠格の5年制限と違います。一部の事務所の廃止で供託額が政令額を超えた場合は超過分を取り戻せますが、その場合も公告は要ります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 免許の期間満了・失効・取消し、または一部の事務所の廃止による超過額があるときに、旧業者やその承継人が取り戻せます。 |
| 2項 | 手続 | 還付権利を持つ者に6か月を下らない期間で申し出るよう公告し、期間内に申出がないことが取戻しの条件です。 |
| 2項ただし書 | 例外 | 取戻しの事由が発生してから10年を経過したときは、公告なしで取り戻せます。 |
具体例
宅建業を廃止したA社は、取引相手だったBに対する債務の有無を確かめたうえで、免許の効力が失われたので営業保証金を取り戻そうとしています。
還付権者に6か月以上の期間を定めて申出を公告し、期間内に申出がなければ、A社は営業保証金を取り戻せます。
反例(結論が変わる)
同じA社が、取戻しの事由が発生した時から10年以上経過している場合に変えます。
10年経過後は但書により公告なしで取り戻せます。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建令和5年 問30エ
取戻しの公告期間を3か月とする誤り。6か月を下らない期間を定めなければなりません。
- 宅建令和4年 問41ア
免許取消しの場合は刑の執行終了から5年は取り戻せないとする誤り。取戻しに刑による5年制限はありません。
- 宅建令和6年 問36肢4
一部事務所の廃止による超過分は公告なしで取り戻せるとする誤り。一部廃止でも公告が要ります。
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年4月1日施行版
この条文の〇×問題(1問)
営業保証金の取戻公告
宅建業者Aが廃業して免許が効力を失った。廃業は営業保証金の取戻事由なので、第27条の権利者に公告することなく、Aは直ちに供託した保証金の全額を取り戻せる。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。第30条第1項は、廃業等により免許が効力を失った場合の営業保証金の取戻しを認める。ただし同条第2項は原則として、取引債権者へ6か月以上の申出期間を設けて公告し、期間内に申出がない場合でなければ取り戻せないとする。取戻原因が発生した時から10年を経過した場合などの例外はあるが、廃業しただけで直ちに全額を回収できない。
学習ポイント:廃業後の営業保証金取戻しには原則6か月以上の債権者公告が必要。
第30条第1項・第2項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
宅建令和7年 問35肢1
免許の有効期間満了の際、Aが営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。
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正しい
正しい。取戻しには6か月を下らない期間を定めた申出の官報公告が必要。
宅建令和6年 問36肢4
宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、公告をすることなく営業保証金を取り戻すことができる。
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誤り
誤り。一部事務所の廃止による営業保証金の取戻しにも還付請求権者への公告(6か月以上の期間)が必要。
宅建令和5年 問30エ
Aが免許失効に伴い営業保証金を取り戻す際、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、3か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができない。
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誤り
誤り。取戻しの公告期間は『6か月』を下らない期間(3か月ではない)。
宅建令和4年 問41ア
宅地建物取引業者の代表者が、その業務に関し刑法第222条(脅迫)の罪により懲役の刑に処せられたことを理由に宅地建物取引業の免許を取り消された場合、当該宅地建物取引業者であった者は、当該刑の執行を終わった日から5年間は供託した営業保証金を取り戻すことができない。
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誤り
誤り。免許取消後の営業保証金の取戻しに5年の制限はない(還付請求権者への公告等の手続はあるが刑の執行終了から5年待機の制限はない)。
宅建令和2年12月 問33肢3
宅地建物取引業者は、免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。
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誤り
誤り。営業保証金の取戻しには還付請求権者への公告(6か月以上の期間を定めた公告)が必要。
宅建平成29年 問32肢3
宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。
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正しい
正しい。一部事務所廃止による取戻しは6か月以上の期間を定めた公告が必要。
宅建平成25年 問27肢1
宅地建物取引業者は、不正の手段により法第3条第1項の免許を受けたことを理由に免許を取り消された場合であっても、営業保証金を取り戻すことができる。
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正しい
正しい。免許取消し(不正手段による免許を含む)の場合でも営業保証金を取り戻すことができる(法25条・30条)。
問題で確認する
第30条の内容は1問の〇×問題で確認できます。