第五章 業務/第一節 通則
宅地建物取引業法 第50条(標識の掲示等)
この条の要点
- 案内所の標識掲示:申込みを受け付ける案内所にも、その場所ごとに見やすい標識が必要。
- 案内所の事前届出:所定の案内所等は、業務開始10日前までに免許権者と所在地の知事へ届け出る。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第50条(標識の掲示等)
宅地建物取引業者は、事務所等及び事務所等以外の国土交通省令で定めるその業務を行う場所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。
②宅地建物取引業者は、国土交通省令の定めるところにより、あらかじめ、第三十一条の三第一項の国土交通省令で定める場所について所在地、業務内容、業務を行う期間及び専任の宅地建物取引士の氏名を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及びその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
条文の要点
標識の掲示とは、宅建業者が事務所等や省令で定める業務場所ごとに、公衆の見やすい場所へ標識を掲げる義務です(50条1項)。
掲示対象は事務所にとどまらず、分譲案内所など省令の業務場所にも及び、契約締結や申込受付をしない案内所でも必要です。所定の案内所等は業務開始前に免許権者と所在地の知事へ届出も要します。
標識の掲示の対象となる場所
事務所等には必須で、契約締結・申込受付をしない案内所でも掲示が要ります。分譲する宅地・建物の所在地にも掲示が必要です。事務所に掲げるのは免許証ではなく省令の標識で、報酬額の掲示は事務所だけの別の義務で案内所には及びません。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 掲示は事務所等と省令で定める業務場所のそれぞれに、来場者が確認できる見やすい場所へ行う |
| 1項 | 例外 | 契約締結や申込受付をしない案内所でも、業務を行う場所であれば掲示を免れない |
| 2項 | 手続 | 所定の案内所等は所在地・業務内容・期間・専任取引士の氏名を、免許権者とその場所を管轄する知事の双方へあらかじめ届け出る |
| 2項 | 期間 | 届出の期限は業務開始の10日前。契約締結等を行う展示会等の場所でも同じ期限 |
具体例
宅建業者Aは10戸以上の分譲マンション販売のため現地に案内所を設け、来場したBに案内したが、契約締結も申込受付もしない展示だけの場所として標識を掲げなかった。
契約行為の有無にかかわらず案内所には標識が要るので、Aは50条1項に違反する。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Aが案内所の公衆の見やすい場所に省令の標識を掲げた場合に変えます。
掲示をすればよく、契約締結や申込受付をしない案内所でも標識があれば違反にならない。
関連条との違い
- 宅建業法 第31条の3:専任取引士の設置は契約締結・申込受付をする案内所等に限られるが、標識は契約をしない案内所にも必要で、対象場所が広い
- 宅建業法 第46条:報酬額の掲示は事務所の義務で案内所には及ばない。標識は案内所等の業務場所にも及ぶ
- 宅建業法 第49条:帳簿は事務所ごとの備付けで案内所は対象外だが、標識は案内所等にも要る。同じ場所ごとの義務でも対象が異なる
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建令和3年10月 問29肢2
契約締結を行わない案内所なら標識を掲げなくてよいとする誤り。掲示義務は契約行為の有無を問わない
- 宅建令和6年 問39肢4
展示会等の届出を実施場所の管轄知事だけにすればよいとする誤り。免許を受けた大臣・知事にも届け出る
- 宅建令和4年 問26肢3
主たる事務所に免許証を掲げる義務があるかのような誤り。掲げるものは免許証ではなく省令の標識
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年4月1日施行版
この条文の〇×問題(2問)
案内所の標識掲示
宅建業者Aは自社マンションを販売するため、事務所から離れた案内所で申込みを受け付けている。事務所に標識を掲げていても、この案内所でも公衆の見やすい場所へ法定の標識を掲げなければならない。
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正解 ○
正しい。宅建業法第50条第1項は、事務所等だけでなく、国土交通省令で定める業務を行う場所ごとに、公衆の見やすい場所への標識掲示を求める。申込みを受け付ける案内所は事務所の標識で代用できない。来場した取引相手が当該場所で業者等を確認できるようにする制度なので、場所ごとに掲示の要否を判断する。
学習ポイント:申込みを受け付ける案内所にも、その場所ごとに見やすい標識が必要。
第50条第1項、宅地建物取引業法施行規則第19条
案内所の事前届出
国土交通大臣免許の宅建業者Bが、免許申請時の本店所在地とは別の県に申込みを受け付ける案内所を設ける。Bは業務開始の10日前までに、免許を受けた国土交通大臣と案内所所在地を管轄する都道府県知事に、所在地等を届け出る必要がある。
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正解 ○
正しい。第50条第2項は、所定の案内所等について、あらかじめ所在地、業務内容、期間、専任の宅建士の氏名を、免許権者とその場所を管轄する都道府県知事に届け出るよう求める。届出は業務を開始する日の10日前までにしなければならない(規則19条3項)。大臣免許業者が別県に案内所を設ける場合、国土交通大臣だけへの届出では足りない。
学習ポイント:所定の案内所等は、業務開始10日前までに免許権者と所在地の知事へ届け出る。
第50条第2項、宅地建物取引業法施行規則第19条第3項、関連:第31条の3第1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
宅建令和6年 問39肢1
届出をすべき場所として、継続的に業務を行うことができる施設を有する場合で事務所以外のものが定められているが、当該場所には1名以上の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
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正しい
正しい。継続的業務を行う施設の案内所等には成年の専任取引士1名以上が必要。
宅建令和6年 問39肢2
届出をすべき場所として、宅地建物取引業者が10区画以上の一団の宅地又は10戸以上の一団の建物の分譲(以下この問において「一団の宅地建物の分譲」という。)をする場合に設置する案内所が定められているが、当該案内所が土地に定着する建物内に設けられる場合、クーリング・オフ制度の適用が除外される。
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正しい
正しい。土地に定着する建物内の案内所は事務所等に該当しクーリング・オフ適用外。
宅建令和6年 問39肢3
届出をすべき場所として、他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介をする場合に設置する案内所が定められており、この場合は、代理又は媒介を行う宅地建物取引業者が届出をするが、売主業者自身も当該案内所で売買契約の申込みを受ける場合は、売主業者も届出をする。
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正しい
正しい。代理・媒介業者の案内所届出と、売主業者が申込受付をする場合の売主側の届出の記述は正しい。
宅建令和6年 問39肢4
届出をすべき場所として、宅地建物取引業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場所が定められているが、その催しを開始する10日前までに、実施場所を管轄する都道府県知事に届け出なければならず、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出る必要はない。
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誤り
誤り。展示会等の届出は実施場所を管轄する知事だけでなく『免許権者』にも届出が必要。
宅建令和5年 問32肢4
宅地建物取引業者G(丁県知事免許)が、その業務に関し展示会を丁県内で実施する場合、展示会を実施する場所において売買契約の締結(予約を含む。)又は売買契約の申込みの受付を行うときは、Gは展示会での業務を開始する日の5日前までに展示会を実施する場所について丁県知事に届け出なければならない。
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誤り
誤り。契約締結・申込受付を行う展示会は『10日前』までに届出(5日前ではない)。
宅建令和4年 問26肢3
宅地建物取引業者は、主たる事務所については、免許証、標識及び国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げ、従業者名簿及び帳簿を備え付ける義務を負う。
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誤り
誤り。事務所には標識の掲示(宅建業法50条1項)、報酬の額の掲示(同法46条4項)、従業者名簿(同法48条3項)及び帳簿(同法49条)の備付けが必要だが、免許証を掲げる義務はない。
宅建令和3年12月 問28ウ
Aが、事務所の公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなかった場合、Aは甲県知事から指示処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。
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誤り
誤り。報酬額の不掲示は指示処分に加え罰則(10万円以下の罰金)の対象。
宅建令和3年10月 問29肢2
宅地建物取引業者は、一団の宅地の分譲を行う案内所において宅地の売買の契約の締結を行わない場合、その案内所には国土交通省令で定める標識を掲示しなくてもよい。
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誤り
誤り。契約締結を行わない案内所でも標識の掲示は必要。
宅建令和3年10月 問29肢3
宅地建物取引業者が、一団の宅地の分譲を行う案内所において宅地の売買の契約の締結を行う場合、その案内所には国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
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誤り
誤り。報酬額の掲示は事務所の規定であり、案内所に報酬額を掲示する義務はない。
宅建令和3年10月 問40肢3
宅地建物取引業者は、一団の宅地建物の分譲をする場合における当該宅地又は建物の所在する場所に国土交通省令で定める標識を掲示しなければならない。
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正しい
正しい。一団の宅地建物分譲では分譲地に標識の掲示が必要。
ほか9肢は、各過去問のページで確認できます。
問題で確認する
第50条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。