第五章 業務/第一節 通則
宅地建物取引業法 第46条(報酬)
この条の要点
- 報酬上限の根拠:宅建業者の代理・媒介報酬の上限は、国土交通大臣の告示で定まる。
- 売買媒介の報酬計算:代金1000万円の通常の売買媒介報酬は、一方の依頼者につき税込39万6000円が上限。
- 売買媒介の双方からの受領:売買媒介の通常報酬は、売主・買主それぞれの依頼者につき上限を判定する。
- 住宅貸借の報酬配分:居住用建物の貸借媒介は、事前承諾がなければ一方につき借賃0.55か月分まで。
- 低廉な空家等の売買媒介特例:低廉な空家等の売買媒介特例は800万円以下。上限は課税事業者で一方税込33万円。
- 低廉な空家等の媒介報酬上限:特例でも一方の依頼者からの額には上限(課税事業者で税込33万円)がある。
- 報酬額の掲示:大臣告示の報酬額は、宅建業者の各事務所の公衆に見やすい場所へ掲示する。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第46条(報酬)
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
②宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
③国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
④宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
条文の要点
報酬とは、宅地建物の売買・交換・貸借の代理や媒介について、依頼者が宅建業者へ支払う対価です(46条1項)。
受けられる額は国土交通大臣の告示が上限で、依頼者の承諾があっても超えられません。依頼によらない広告費や査定・説明の対価は別途請求できません。
報酬の上限と別途請求の可否
課税事業者の通常の貸借媒介では双方合計が借賃1.1か月分までで、居住用の一方は依頼時の承諾がなければ0.55か月分までです。長期の空家等には別の特例があり、貸主側の額と借主側の上限を分けます。依頼に基づく広告費は別途受領できますが、無依頼の広告費は認められません。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 代理・媒介に関して受けられる報酬の額は国土交通大臣が定めます。 |
| 2項 | 要件 | 定められた額を超えて報酬を受けてはいけません。 |
| 3項 | 手続 | 大臣は報酬の額を定めたときは告示します。 |
| 4項 | 要件 | 事務所ごとに、公衆の見やすい場所へ大臣が定めた報酬の額を掲示します。 |
具体例
課税事業者の宅建業者A社は貸主Bと借主Cの店舗賃貸を媒介しました。特例や権利金のない取引で借賃は税抜10万円、媒介報酬は合計11万円です。Bの依頼で行った特別な広告の実費をBへ別途請求します。
媒介報酬は通常上限内で、Bの依頼による広告費は告示が認める別途受領の対象です。
反例(結論が変わる)
同じ取引と費用で、広告をBの依頼を受けずA社の判断で行った場合に変えます。
依頼に基づかない広告費は報酬と別に受領できません。すでに通常の報酬上限に達しているので、別名目で上乗せできません。
関連条との違い
- 宅建業法 第65条:46条は報酬上限を定める枠組み、65条は上限を超える受領など法定違反への指示・業務停止を定めます。額の規制と監督処分を区別します。
- 宅建業法 第34条の2:34条の2は媒介契約書面への報酬事項の記載を求め、46条は合意した額も告示の上限を超えられないことを定めます。
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建令和7年 問26イ
長期の空地の借主側の代理報酬を承諾で1.1か月分超にできるという誤り。長期空家等の貸主側の特例があっても、借主側の上限は増えません。
- 宅建令和7年 問26ウ
報酬の限度額を依頼者が少なくとも支払うべき額とする誤り。告示は上限で、実際の額は合意で定めます。
- 宅建令和2年10月 問30肢2
居住用建物の通常の媒介で請求時までの承諾があれば一方から1.1か月分を受領できるという誤り。承諾は媒介の依頼を受ける際に必要です。
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年4月1日施行版
この条文の〇×問題(7問)
報酬上限の根拠
宅建業者Aが媒介する建物売買で受けられる報酬は、物件が所在する都道府県の知事が定める上限に従う。国土交通大臣の告示は、知事が別に定めない場合だけ適用される。
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正解 ×
誤り。宅建業法第46条は、宅地建物の売買・交換・貸借の代理または媒介で宅建業者が受けられる報酬の額を国土交通大臣の定めるところによるとし、その額を超える受領を禁じる。現行の上限は大臣告示で定められており、物件所在地の知事が別に上限を設定する制度ではない。計算問題でも、まず法第46条と適用される告示を確認する。
学習ポイント:宅建業者の代理・媒介報酬の上限は、国土交通大臣の告示で定まる。
第46条第1項〜第3項、昭和45年建設省告示第1552号(令和6年改正後)
売買媒介の報酬計算
課税事業者である宅建業者Bが代金1000万円(建物の消費税相当額を除く)の売買を一方の依頼者から媒介した。通常の売買媒介において、Bがその依頼者から受領できる報酬上限は税込39万6000円である。
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正解 ○
正しい。現行の大臣告示で売買媒介報酬の通常上限は、課税事業者について代金400万円超の部分が3.3%、200万円超400万円以下の部分が4.4%、200万円以下の部分が5.5%となる。1000万円なら税抜36万円、税込39万6000円である。代金は建物の消費税相当額を除いた額を基礎にし、依頼者の一方ごとに上限を判定する。
学習ポイント:代金1000万円の通常の売買媒介報酬は、一方の依頼者につき税込39万6000円が上限。
第46条第1項・第2項、報酬告示第2
売買媒介の双方からの受領
宅建業者Cが代金2000万円(消費税相当額を除く)の売買で売主と買主の双方から媒介を依頼された。Cは売主から通常の上限額を受領すると、買主からは報酬を受け取れない。
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正解 ×
誤り。売買の媒介報酬の通常上限は、依頼者の一方につき告示の計算方法で求める。売主と買主の双方が依頼者である場合には、それぞれから各自の上限以内で受領し得る。代金2000万円なら課税事業者の通常上限は一方につき税込72万6000円である。売主からその額を受け取ったというだけで、買主からの受領がすべて禁止されるわけではない。
学習ポイント:売買媒介の通常報酬は、売主・買主それぞれの依頼者につき上限を判定する。
第46条第1項・第2項、報酬告示第2
住宅貸借の報酬配分
宅建業者Dが月額賃料10万円の居住用建物の賃貸借を媒介し、借主の事前承諾を得ていない。貸主から報酬を受け取らなければ、借主だけから税込11万円を受領できる。
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正解 ×
誤り。貸借媒介では貸主と借主から受ける報酬の合計は原則として借賃1か月分の1.1倍以内である。しかし居住用建物では、媒介の依頼を受ける際に依頼者の承諾を得た場合を除き、一方から受けられる額は借賃0.55か月分以内に制限される。借主の事前承諾がなければ、貸主から報酬を受けないとしても借主だけから11万円は受領できない。
学習ポイント:居住用建物の貸借媒介は、事前承諾がなければ一方につき借賃0.55か月分まで。
第46条第1項・第2項、報酬告示第4
低廉な空家等の売買媒介特例
宅建業者Eが代金700万円(消費税相当額を除く)の宅地売買を媒介した。現行告示の低廉な空家等の特例は、媒介に要する費用を勘案すれば、この宅地にも適用され得る。
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正解 ○
正しい。令和6年7月施行の報酬告示では、売買・交換の媒介について、低廉な空家等を価額800万円以下の宅地・建物とする。代金700万円の宅地も金額要件を満たし、媒介に要する費用を勘案して通常の上限を超える報酬を受け得る。ただし、課税事業者の場合で一方の依頼者から税込33万円が上限であり、あらかじめ依頼者に説明し合意を得る必要がある。
学習ポイント:低廉な空家等の売買媒介特例は800万円以下。上限は課税事業者で一方税込33万円。
第46条第1項・第2項、報酬告示第7(令和6年7月1日施行)
低廉な空家等の媒介報酬上限
宅建業者Fが代金600万円の中古住宅の売買媒介を依頼され、調査費用が多かった。売主が明示的に了承すれば、低廉な空家等の特例で売主から税込35万円の媒介報酬を受けられる。
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正解 ×
誤り。現行の低廉な空家等の売買媒介特例では、代金800万円以下の宅地・建物につき、媒介に要する費用を勘案して通常の上限を超える報酬を受けられるが、依頼者の一方から受ける額には上限があり、課税事業者であれば税込33万円である(免税事業者は告示の別の定めによる)。調査費用が多いことや売主の了承があっても、税込35万円は受領できない。
学習ポイント:特例でも一方の依頼者からの額には上限(課税事業者で税込33万円)がある。
第46条第1項・第2項、報酬告示第7
報酬額の掲示
宅建業者Gは国土交通大臣の報酬告示を自社サイトに掲載している。この場合でも、各事務所の公衆の見やすい場所に大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
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正解 ○
正しい。宅建業法第46条第4項は、宅建業者に対し、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所へ国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示する義務を課す。大臣告示や自社サイトを閲覧できる状態であっても、事務所ごとの掲示を省略できない。報酬上限の遵守と上限額の掲示は別々の義務であり、どちらも満たす必要がある。
学習ポイント:大臣告示の報酬額は、宅建業者の各事務所の公衆に見やすい場所へ掲示する。
第46条第3項・第4項
この条文を解説で参照する過去問
宅建令和7年 問26ア
Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃24万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金1,400万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、依頼者の双方からそれぞれ52万8,000円を報酬として受領したことは、宅地建物取引業法に違反する。
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誤り
誤り(違反しない)。権利金1,400万円を代金とみなした報酬計算は一方あたり52万8,000円が限度で、双方からの受領は適法。
宅建令和7年 問26イ
現に長期間にわたって居住の用、事業の用その他の用途に供されておらず、かつ将来にわたり居住の用、事業の用その他の用途に供される見込みがない宅地(1か月の借賃5万円。消費税等相当額を含まない。)について、Aは貸主から代理を依頼され、Bは借主から代理を依頼され、賃貸借契約が成立したので、Aは貸主から4万円を、Bは、代理の依頼を受けるに当たって、報酬が借賃の1.1か月分を超えることについて借主から承諾を得たうえで、借主から7万円を報酬として受領したことは、宅地建物取引業法に違反しない。
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誤り
誤り(違反する)。貸借の代理報酬の限度は借賃1.1か月分(5万5,000円)で、承諾があっても7万円の受領は超過。
宅建令和7年 問26ウ
Aは売主から媒介の依頼を、Bは買主から媒介の依頼をそれぞれ受けて、代金200万円(消費税等相当額を含み、土地代金は90万円である。)の土地付建物の売買契約を成立させた場合に、依頼者と宅地建物取引業者との間であらかじめ報酬の額を定めていなかったときは、売主はAに対して少なくとも10万4,500円、買主はBに対して少なくとも10万4,500円を支払わなければならない。
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誤り
誤り(違反する)。報酬限度額はあくまで上限で、『少なくとも』支払うべき額ではない(報酬額は合意で定める)。
宅建令和7年 問38エ
Aは、建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない広告をした場合、国土交通大臣の定める報酬限度額となる媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領できる。
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誤り
誤り。依頼者の依頼によらない広告料は報酬限度とは別に受領できない。
宅建令和6年 問28ア
居住用建物(1か月の借賃12万円。消費税等相当額を含まない。)について、Aは貸主から代理を依頼され、Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から6.7万円、Bは借主から6.5万円を報酬として受領した。なお、Bは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬について借主から特段の承諾を得ていない。
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違反する
違反する。B(免税)は承諾なしに受領できるのは借賃0.5か月分(6万円)までで、6.5万円は超過。
宅建令和6年 問28イ
Bは、事業用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分10万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金90万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ5万円を報酬として受領した。
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違反しない
違反しない。双方から5万円ずつ(計10万円)は借賃1.1か月分(11万円)以内。
宅建令和6年 問28ウ
Aは、土地付建物について、売主と買主双方から媒介を依頼され、代金3,500万円(消費税等相当額を含み、土地代金は2,400万円である。)の売買契約を成立させ、売主と買主からそれぞれ110万円を報酬として受領したほか、売主の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した実費の費用について、売主が事前に負担を承諾していたので、売主から9万円を受領した。
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違反しない
違反しない。媒介報酬は各110万円が限度内(約118.8万円)で、事前承諾のある遠隔地調査実費9万円は別途受領可。
宅建令和5年 問27肢3
既存住宅の売買の媒介を行う宅地建物取引業者が売主に対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行った場合、宅地建物取引業者は売主から報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
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正しい
正しい。あっせん料金は媒介報酬に含まれ、別途受領できない。
宅建令和5年 問34ア
本件契約が建物を住居として貸借する契約である場合に、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ないまま、132,000円の報酬を受領した。
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違反する
違反する。居住用建物の媒介報酬は承諾がなければ1.1か月分の半額(66,000円)が限度で、132,000円は超過。
宅建令和5年 問34イ
AはBから事前に特別な広告の依頼があったので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領した。
正誤と理由を見る
違反しない
違反しない。依頼者からの特別な広告依頼に基づく実費は報酬とは別に請求できる。
ほか30肢は、各過去問のページで確認できます。
解説で第46条を参照している問
問題で確認する
第46条の内容は7問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。