第六章 意見公募手続等
行政手続法 第39条(意見公募手続)
この条の要点
- 意見提出期間の下限:意見提出期間は公示の日から原則30日以上。やむを得ない理由があれば短縮可。
- 意見公募手続の免除:意見公募手続には緊急時等の免除事由がある。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第39条(意見公募手続)
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。
②前項の規定により公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたものでなければならない。
③第一項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して三十日以上でなければならない。
④次の各号のいずれかに該当するときは、第一項の規定は、適用しない。
一 公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、第一項の規定による手続(以下「意見公募手続」という。)を実施することが困難であるとき。
二 納付すべき金銭について定める法律の制定又は改正により必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法についての命令等その他当該法律の施行に関し必要な事項を定める命令等を定めようとするとき。
三 予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法その他の事項を定める命令等を定めようとするとき。
四 法律の規定により、内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会又は内閣府設置法第三十七条若しくは第五十四条若しくは国家行政組織法第八条に規定する機関(以下「委員会等」という。)の議を経て定めることとされている命令等であって、相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として、法律又は政令の規定により、これらの者及び公益をそれぞれ代表する委員をもって組織される委員会等において審議を行うこととされているものとして政令で定める命令等を定めようとするとき。
五 他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするとき。
六 法律の規定に基づき法令の規定の適用又は準用について必要な技術的読替えを定める命令等を定めようとするとき。
七 命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするとき。
八 他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理その他の意見公募手続を実施することを要しない軽微な変更として政令で定めるものを内容とする命令等を定めようとするとき。
条文の要点
意見公募手続とは、命令等を定める際に案と関連資料を公示して広く一般の意見を求める手続です(39条1項)。
案は具体的・明確で題名と根拠法令の条項を明示する必要があり、意見提出期間は公示の日から30日以上です。緊急時や実質同一の他機関の命令等を定める場合などには適用除外になります。
意見公募手続の対象と期間
対象の『命令等』には法規命令だけでなく、審査基準・処分基準・行政指導指針といった行政規則も含まれます。意見提出期間を30日を下回る長さにできるのは、やむを得ない理由を案の公示の際に明らかにする場合です(40条)。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 手続 | 案と関連資料をあらかじめ公示し、提出先と意見提出期間を定めて広く意見を求める |
| 2項 | 要件 | 案は具体的・明確で、題名と根拠法令の条項を明示する |
| 3項 | 期間 | 意見提出期間は公示の日から起算して30日以上とする |
| 4項 | 例外 | 公益上緊急で実施困難な場合、金銭算定、政令指定の利害調整型委員会を経るもの、実質同一等の列挙事由では適用しない |
具体例
省庁Aが省令の改正案を公示し、市民Bからの意見を受け付ける期間を30日としました。39条4項の除外や40条の短縮理由はありません。
期間は30日以上の要件を満たすので、Aは提出された意見を考慮しながら命令等を定める手続を進めます。
反例(結論が変わる)
同じ公示で、意見提出期間の長さだけを20日に変えます。
短縮のやむを得ない理由がないので、30日以上という39条3項の要件を満たしません。
関連条との違い
- 行政手続法 第40条:40条は30日を下回る期間を定められる特例と委員会等による代替を定める。39条は公示・期間・適用除外の原則的枠組み
- 行政手続法 第2条:2条8号が意見公募の対象となる『命令等』を定義する。39条の手続が及ぶ範囲はその定義で決まる
過去問で誤りとされた肢の型
- 行政書士令和6年 問9肢1
対象が法規命令のみで行政規則は含まないという誤り。審査基準・処分基準・行政指導指針も対象
- 行政書士令和3年 問11肢2
他機関が意見公募で定めたものと実質同一でも自ら実施が要るという誤り。4項の適用除外で実施を要しない
- 行政書士令和元年 問11肢5
指針の意見公募は法規根拠のある指導に限るという誤り。根拠の有無にかかわらず適用される
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年7月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
意見提出期間の下限
命令等の案への意見を受け付ける期間は、原則として、案を公に示した日から数えて三十日を下らないように設定されなければならない。
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正解 ○
正しい。意見公募手続で定める意見提出期間は、命令等の案の公示の日から起算して三十日以上でなければならない(39条3項)。ただし、三十日以上の期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、その理由を明らかにして三十日を下回る期間を定めることができる(40条1項)。起算点と期間の下限、そして例外の存在が問われる。
学習ポイント:意見提出期間は公示の日から原則30日以上。やむを得ない理由があれば短縮可。
第39条3項、関連:第40条1項
意見公募手続の免除
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、いかなる場合にも意見公募手続を実施しなければならず、公益上緊急の必要があっても免除されない。
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正解 ×
誤り。公益上緊急に命令等を定める必要があり手続の実施が困難なときのほか、金銭納付や給付決定の算定に関する命令等、利害調整型の委員会の議を経るもの、実質同一の他機関の命令等など多数の適用除外事由が列挙されている。
学習ポイント:意見公募手続には緊急時等の免除事由がある。
第39条4項1号ほか
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和6年 問9肢1
行政手続法が定める意見公募手続の対象となるのは、法規命令のみであり、行政規則はその対象とはされていない。
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妥当でない
意見公募手続(パブリックコメント)の対象には法規命令だけでなく行政規則も含まれる(行手2条8号・39条)。
行政書士令和6年 問12エ
意見公募手続の対象である命令等には、審査基準や処分基準など、処分をするかどうかを判断するための基準は含まれるが、行政指導に関する指針は含まれない。
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意見公募手続の対象には審査基準・処分基準に加え行政指導指針も含まれる(行手2条8号・39条)。
行政書士令和3年 問11肢1
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案およびこれに関連する資料をあらかじめ公示して、広く一般の意見を求めなければならない。
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正しい
命令等を定める場合は案と関連資料を公示して広く意見を求めるのが意見公募手続(行手39条)。正しい。
行政書士令和3年 問11肢2
命令等制定機関は、定めようとする命令等が、他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等であったとしても、自らが意見公募手続を実施しなければならない。
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誤り
実質的に同一の命令等を他機関が意見公募で定めた場合は実施を要しない(行手39条4項の除外事由)。誤り。
行政書士令和元年 問11肢5
行政指導指針を定めるにあたって、行政手続法による意見公募手続をとらなければならないとされているのは、当該行政指導の根拠が法律、条例または規則に基づくものに限られ、それらの根拠なく行われるものについては、意見公募手続に関する定めの適用はない。
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誤り
行政指導指針の意見公募は根拠の有無にかかわらず適用される(行手2条8号・39条)。誤り。
行政書士令和元年 問13オ
法律に基づく命令、審査基準、処分基準および行政指導指針を定める場合、公益上、緊急に定める必要がある場合など行政手続法が定める例外を除いて、意見公募手続をとらなければならない。
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命令・審査基準・処分基準・行政指導指針の制定は緊急等の例外を除き意見公募手続をとる(行手39条1項・4項)。正しい。
問題で確認する
第39条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。