第一編 総則/第五章 法律行為/第三節 代理
民法 第114条(無権代理の相手方の催告権)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 無権代理の催告に対する沈黙の効果:無権代理への催告で沈黙は拒絶みなし。制限行為能力者への催告で沈黙は追認みなしと逆。
- 催告に対する確答の期間内到達:催告への確答は発信では不足し、期間内に相手方へ届くことが必要。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第114条(無権代理の相手方の催告権)
前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
条文の要点
無権代理の相手方の催告とは、相手方が本人に相当の期間を定めて追認の確答を求める催告で、確答がなければ追認を拒絶したものとみなされます(114条)。
催告の相手は無権代理人ではなく本人です。沈黙を拒絶とみなすのは制限行為能力者への催告(沈黙は追認みなし)と逆で、確答は意思表示なので期間内に相手方へ到達することを要します。
無権代理の相手方の催告の効果
催告権は相手方が無権代理を知っていても行使でき、取消権の悪意排除(115条)とは違います。拒絶とみなされれば本人への効力発生の可能性が消え、以後は無権代理人の責任(117条)の問題になります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項前段 | 要件 | 相手方が本人に対し、相当の期間を定めて追認の確答を求める催告をする |
| 1項後段 | 効果 | 期間内に確答がないときは追認を拒絶したものとみなす |
具体例
無権代理人BがAの名でCと契約し、CがAに30日の期間を定めて追認の確答を催告しました。Aは期間内に承諾の回答を発送しましたが、Cに届いたのは期間経過後でした。
確答は期間内に相手方へ到達することを要するため、Aは追認を拒絶したものとみなされます。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Aの承諾の回答が期間内にCへ届いた場合に変えます。
期間内の確答があるため拒絶とはみなされず、追認により契約の効力はAに生じます。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和5年度 問6ア
期間内に確答がないとき追認したものとみなす誤り。114条は追認を拒絶したものとみなす(20条の追認みなしと効果が逆)
- 管業令和3年度 問4肢3
期間内に確答がないとき追認したものとみなす誤り。114条では拒絶とみなす
- 管業平成29年度 問4肢4
無権代理を知っていた相手方は催告できないとする誤り。催告権には善意の要件がない
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
無権代理の催告に対する沈黙の効果
代理権を有しない者が本人の代理人として契約を結んだ事案で、契約の相手方が本人に対し相当な期間を定めて追認の可否を答えるよう求めたにもかかわらず、その期間が経過するまで本人から回答がなかった場合、本人はその契約の追認を拒絶したものと扱われる。
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正解 ○
正しい。無権代理の契約について、相手方が相当の期間を定めて追認確答の催告をした場合、本人が期間内に確答をしないときは追認を拒絶したものとみなされる。制限行為能力者への催告で沈黙を追認とみなす規定と効果が逆であり、取り違えやすい。
学習ポイント:無権代理への催告で沈黙は拒絶みなし。制限行為能力者への催告で沈黙は追認みなしと逆。
第114条、関連:第20条1項・第113条1項
催告に対する確答の期間内到達
相手方の定めた期間内に本人が追認する旨の回答を発送したものの、その回答が相手方に届いたのが期間経過後であった場合、期間内に発送された以上、期間内に確答があったものとして取り扱われる。
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正解 ×
誤り。無権代理の催告に対する確答は、期間内に発信するだけでは足りず、期間内に相手方に到達することを要すると解されている。期間経過後の到達では期間内の確答がなかったことになり、追認を拒絶したものとみなされる。
学習ポイント:催告への確答は発信では不足し、期間内に相手方へ届くことが必要。
第114条、関連:第20条1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和元年 問28イ
無権代理行為につき、相手方が本人に対し、相当の期間を定めてその期間内に追認するかどうかを確答すべき旨の催告を行った場合において、本人が確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされる。
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無権代理で相手方の催告に本人が確答しないときは追認拒絶とみなされる(民法114条)。妥当。
司法書士令和5年度 問6ア
Cは、Bに対し、相当の期間を定めて、その期間内に本件売買契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、Bがその期間内に確答しないときは、追認したものとみなされる。
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誤り
誤り。相手方の催告に対し本人が期間内に確答しないときは、追認を拒絶したものとみなされる(114条)。追認したものとみなされるのではない。
司法書士平成28年度 問5イ
本件売買契約の締結後にCがBに対し相当の期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をした場合において、Bがその期間内に確答をしないときは、Bは、本件売買契約に基づく責任を負う。
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誤り
誤り。相手方の催告に対し期間内に確答をしないときは追認したものとみなされるのではなく、追認を拒絶したものとみなされる(民法114条)。
管業令和5年度 問3肢3
CがBに対し、相当の期間を定めて、その期間内にAの無権代理行為を追認するかどうかを確答すべき旨を催告した場合において、Bがその期間内に確答をしないときは、Bは、追認を拒絶したものとみなされる。
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正しい
正しい。催告に対し期間内に確答がなければ、追認を拒絶したものとみなされる。
管業令和3年度 問4肢3
Cの子Dは、CがAから預かった書類をA及びCに無断で持ち出し、Aの代理人と称して当該契約を締結したところ、これを知ったBが、Aに対して、追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をした場合に、相当の期間内に確答がなかったときは、Aは追認をしたものとみなされる。
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誤り
誤り。追認の確答の催告に期間内の確答がないときは追認を拒絶したものとみなされ、追認したとはみなされない。
管業令和2年度 問5肢1
CがBに対し、相当の期間を定めて、その期間内に本件契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をしたが、当該期間内にBから確答を得られなかった場合には、Bは、追認をしたものとみなされる。
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誤り
誤り。追認の確答を求める催告に期間内の確答がないときは追認を拒絶したものとみなされ、追認とはみなされない。
管業平成29年度 問4肢4
AC間の委任契約が解除されCの代理権が消滅した後に、CがAの代理人と称してBに対して甲を売却した場合、売買契約締結の際にCに代理権がないことをBが知っていたときは、Bは、Aに対し相当期間内に当該行為を追認するかどうかの催告をすることができない。
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誤り
誤り。無権代理行為の相手方は本人に対し、相当の期間を定めて追認するかどうかの催告をすることができる。
問題で確認する
第114条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。