第三編 債権/第一章 総則/第六節 債権の消滅/第二款 相殺
民法 第508条(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 消滅前の相殺適状を欠く時効消滅債権:時効消滅債権による相殺は、消滅以前に現に相殺適状だった場合だけ。放棄可能では足りない。
- 時効消滅債権を自働債権とする相殺:消滅以前に相殺適状だった時効消滅債権は、自働債権として相殺に供しうる。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第508条(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。
この条文の〇×問題(2問)
消滅前の相殺適状を欠く時効消滅債権
甲の乙に対する債権が消滅時効によって消滅した後に、甲が乙に対して負担する債務の弁済期が到来して相殺に適する状態となった場合でも、甲は消滅した債権をもって相殺をすることはできない。
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正解 ○
正しい。508条が時効消滅後の相殺を認めるのは、債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合に限られる。判例(最判平成25年2月28日)は、受働債権の期限の利益を放棄することができたというだけでは足りず、弁済期の到来又は期限の利益の放棄により現に相殺適状にあったことを要するとする。消滅後に初めて相殺適状となったときは相殺できない。
学習ポイント:時効消滅債権による相殺は、消滅以前に現に相殺適状だった場合だけ。放棄可能では足りない。
第508条
時効消滅債権を自働債権とする相殺
時効によって消滅した債権は、その消滅以前に相殺に適するようになっていた場合でも、もはや債権の実質を失っているため自働債権として相殺に供することができず、相手方からの相殺において受働債権となるにとどまる。
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正解 ×
誤り。民法508条は、時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は相殺をすることができると定め、消滅債権を自働債権とする相殺を認める。相殺適状の時点での利益状況を確保する規定であり、受働債権への限定はない。
学習ポイント:消滅以前に相殺適状だった時効消滅債権は、自働債権として相殺に供しうる。
第508条、関連:第506条
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和5年 問31肢2
時効によって消滅した債権が、その消滅以前に相殺適状にあった場合には、その債権者は、当該債権を自働債権として相殺することができる。
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正しい
時効消滅した債権でも消滅前に相殺適状にあれば自働債権として相殺できる(民法508条)。
司法書士令和8年度 問16イ
時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。
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正しい
正しい。時効によって消滅した債権も、その消滅前に相殺適状となっていた場合には相殺をすることができる(508条)。
司法書士令和3年度 問17ア
時効によって債権が消滅した場合において、その消滅時効期間が経過する以前にその債権の債務者が債権者に対する反対債権を有していたときは、その消滅時効期間が経過する以前に反対債権の弁済期が現実に到来していたかどうかにかかわらず、時効によって消滅した債権の債権者は、その債権を自働債権とし、その反対債権を受働債権として、相殺をすることができる。
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誤り
誤り。時効消滅した債権を自働債権とする相殺は、時効期間経過前に既に相殺適状になっていた場合に限り可能である(508条)。相殺適状には、受働債権の弁済期が現実に到来していたことが必要であり、期限の利益を放棄し得る状態では足りない(最判平25.2.28)。
解説で第508条を参照している問
問題で確認する
第508条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。