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民法 債権の消滅・有価証券

第473条〜第520条

民法の債権の消滅・有価証券分野(第473条〜第520条)をまとめて学べるページです。条文穴埋め35問と判例0件を収録しています。

債権の消滅・有価証券の解説

債権の消滅の分野(第473条〜第520条の20)は、弁済・相殺・更改・免除・混同と、有価証券の規定からなります。試験で中心になるのは弁済と相殺です。

弁済は、債務者以外の第三者もすることができます。ただし、弁済について正当な利益を有しない第三者は、原則として債務者の意思に反して弁済できず、債権者の意思に反しても弁済できません(474条)。正当な利益を有する者(物上保証人や抵当不動産の第三取得者など)が弁済すると、債権者に代位して、債権者が持っていた担保などの権利を行使できます(499条〜501条)。受領する権限がない者に払っても、受領権者としての外観があり、弁済者が善意かつ無過失なら有効になります(478条)。

相殺は、互いに同種の債務を負う二人のうち一方が、意思表示によって対当額で債務を消す制度です。自分の債権(自働債権)が弁済期にあることが必要で、相手方の債権(受働債権)は期限の利益を放棄すれば弁済期前でも相殺できます。悪意による不法行為や人の生命・身体の侵害による損害賠償債務を受働債権とする相殺、差押え後に取得した債権による相殺など、相殺が制限される場面が繰り返し問われます。

場面相殺の可否根拠
自働債権・受働債権とも弁済期にあるできる505条1項
自働債権は弁済期、受働債権は弁済期前できる(期限の利益を放棄して)505条1項・136条2項
自働債権が弁済期前できない505条1項
時効で消滅した債権が、消滅前に相殺に適するようになっていたできる508条
悪意による不法行為に基づく損害賠償債務を受働債権とする加害者からはできない(被害者からはできる)509条1号
人の生命・身体の侵害による損害賠償債務を受働債権とする加害者からはできない(被害者からはできる)509条2号
差押えを禁じられた債権を受働債権とするできない510条
差押え前に取得した債権を自働債権とする差押債権者に対抗できる511条1項
差押え後に取得した債権だが、差押え前の原因に基づく差押債権者に対抗できる(他人の債権を差押え後に取得した場合を除く)511条2項
当事者が相殺を禁止・制限した債権悪意・重過失の第三者にだけその特約を対抗できる505条2項

出典:e-Gov法令検索 民法

4つの論点を具体例で比べる

原則・例外を確認したら、事例と対照例の条件の違いを読み分けてください。善意や過失の要件は、誰について判断するかも確認します。

相殺

原則
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担し、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は対当額について相殺によって債務を免れることができます。相殺は相手方への意思表示で行い、条件や期限は付けられません。
例外・制限
相殺の効力は、双方の債務が相殺に適するようになった時にさかのぼって生じます(506条2項)。時効で消滅した債権でも、消滅前に相殺に適するようになっていれば相殺できます(508条)。
具体例
AはBに100万円を貸していて弁済期が来ています。BはAに60万円の売買代金債権を持っています。Aは自分の貸金債権を自働債権として相殺の意思表示をし、60万円の範囲で双方の債務を消すことができます。
条件を変えた対照例
Aの貸金債権の弁済期がまだ来ていない場合、Aからは相殺できません。自働債権は弁済期にあることが必要だからです。逆にBの代金債権(受働債権)の弁済期が未到来でも、Aが期限の利益を放棄すれば相殺できます。
第三者との関係
差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権による相殺を差押債権者に対抗できます。差押え後に取得した債権でも、差押え前の原因に基づいて生じたものであれば対抗できます(511条)。

相殺の禁止

原則
悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務と、人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務の債務者(加害者)は、相殺をもって債権者(被害者)に対抗できません。
例外・制限
禁止されるのは加害者がこれらの債務を受働債権として相殺することです。被害者の側から、損害賠償債権を自働債権として相殺することはできます。また、債権者がその債権を他人から譲り受けたときは禁止されません(509条ただし書)。
具体例
AがBを故意に殴ってけがをさせ、BがAに損害賠償債権を持ちました。AがBに対して貸金債権を持っていても、Aは相殺して賠償金の支払を免れることはできません。
条件を変えた対照例
単なる過失による物損事故の損害賠償債務は、509条1号の「悪意による」にも2号の「生命又は身体の侵害」にも当たらないため、加害者からの相殺も禁止されません。
第三者との関係
当事者が相殺を禁止・制限する特約をしても、その特約は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗できます(505条2項)。債権を譲り受けた善意・無重過失の第三者には対抗できません。

第三者弁済

原則
債務の弁済は、債務者以外の第三者もすることができます。
例外・制限
弁済について正当な利益を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済できません。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは有効です。また、そのような第三者は債権者の意思に反しても弁済できませんが、債務者の委託を受けて弁済することを債権者が知っていたときは別です。債務の性質が許さないときや、当事者が第三者の弁済を禁止・制限したときもできません。
具体例
Aの土地に抵当権を設定している物上保証人Cは、弁済について正当な利益を有するので、債務者Aが反対していてもAの債務を弁済できます。
条件を変えた対照例
Aの友人で何の利害関係もないDは、Aが反対しているのを知っている債権者Bに対しては、Aに代わって弁済することができません。
第三者との関係
正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位し、債権者が持っていた担保などの権利を行使できます(499条・501条)。正当な利益がない者が代位を債務者・第三者に対抗するには、債権譲渡と同じ対抗要件が必要です(500条)。

受領権者としての外観を有する者への弁済

原則
受領権者以外の者でも、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者に対してした弁済は、弁済者が善意かつ無過失のときに限り有効です。
例外・制限
弁済者が、相手方に受領権限がないことを知っていたか、知らなかったことに過失があったときは、弁済は無効で、真の債権者にもう一度払わなければなりません。
具体例
銀行が、盗まれた通帳と届出印を持参した者に、正しい手続で払戻しをしました。銀行が善意かつ無過失であれば、その払戻しは真の預金者に対しても有効な弁済になります。
条件を変えた対照例
払戻しの際に本人確認で明らかな不審点があったのに確認しなかったなど、銀行に過失がある場合は、弁済は有効になりません。
第三者との関係
有効な弁済になった場合でも、真の債権者は、弁済を受け取った者に対して不当利得の返還などを請求できます。

原文照合日時:2026/10/7 3:45:00(日本時間)

原文照合:e-Gov原文の第473条〜第512条の2(主に474・478・499〜501・505〜511)と、この分野の説明・比較表・4つの学習ノートを照合。判例の結論は一般的な理解で確認し、事件番号・判決原文までは照合していない。有価証券(520条の2以下)は対象外。人による法的監修は未実施。

確認した原文版:129AC0000000089_20260624_508AC0000000045

e-Govの原文を確認

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第六節 債権の消滅 / 第一款 弁済 / 第一目 総則

第473条(弁済)問題準備中

債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。

第474条(第三者の弁済)

債務の弁済は、第三者もすることができる。

第2項弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。

第3項前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。

第4項前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。

第475条(弁済として引き渡した物の取戻し)

弁済をした者が弁済として他人の物を引き渡したときは、その弁済をした者は、更に有効な弁済をしなければ、その物を取り戻すことができない。

第476条(弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力等)

前条の場合において、債権者が弁済として受領した物を善意で消費し、又は譲り渡したときは、その弁済は、有効とする。この場合において、債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを妨げない。

第477条(預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済)

債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる。

第478条(受領権者としての外観を有する者に対する弁済)

受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

第479条(受領権者以外の者に対する弁済)問題準備中

前条の場合を除き、受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。

第480条問題準備中

削除

第481条(差押えを受けた債権の第三債務者の弁済)

差押えを受けた債権の第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。

第2項前項の規定は、第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。

第482条(代物弁済)

弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。

第483条(特定物の現状による引渡し)

債権の目的が特定物の引渡しである場合において、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。

第484条(弁済の場所及び時間)

弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。

第2項法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができる。

第485条(弁済の費用)

弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。

第486条(受取証書の交付請求等)

弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。

第2項弁済をする者は、前項の受取証書の交付に代えて、その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。ただし、弁済を受領する者に不相当な負担を課するものであるときは、この限りでない。

第487条(債権証書の返還請求)問題準備中

債権に関する証書がある場合において、弁済をした者が全部の弁済をしたときは、その証書の返還を請求することができる。

第488条(同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当)

債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき(次条第一項に規定する場合を除く。)は、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。

第2項弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし、弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。

第3項前二項の場合における弁済の充当の指定は、相手方に対する意思表示によってする。

第4項弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも第一項又は第二項の規定による指定をしないときは、次の各号の定めるところに従い、その弁済を充当する。

一 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは、弁済期にあるものに先に充当する。

二 全ての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。

三 債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。

四 前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は、各債務の額に応じて充当する。

第489条(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)問題準備中

債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合(債務者が数個の債務を負担する場合にあっては、同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担するときに限る。)において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。

第2項前条の規定は、前項の場合において、費用、利息又は元本のいずれかの全てを消滅させるのに足りない給付をしたときについて準用する。

第490条(合意による弁済の充当)

前二条の規定にかかわらず、弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い、その弁済を充当する。

第491条(数個の給付をすべき場合の充当)問題準備中

一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、前三条の規定を準用する。

第492条(弁済の提供の効果)

債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。

第493条(弁済の提供の方法)

弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第六節 債権の消滅 / 第一款 弁済 / 第二目 弁済の目的物の供託

第494条(供託)

弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。

一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。

二 債権者が弁済を受領することができないとき。

第2項弁済者が債権者を確知することができないときも、前項と同様とする。ただし、弁済者に過失があるときは、この限りでない。

第495条(供託の方法)

前条の規定による供託は、債務の履行地の供託所にしなければならない。

第2項供託所について法令に特別の定めがない場合には、裁判所は、弁済者の請求により、供託所の指定及び供託物の保管者の選任をしなければならない。

第3項前条の規定により供託をした者は、遅滞なく、債権者に供託の通知をしなければならない。

第496条(供託物の取戻し)問題準備中

債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合においては、供託をしなかったものとみなす。

第2項前項の規定は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、適用しない。

第497条(供託に適しない物等)

弁済者は、次に掲げる場合には、裁判所の許可を得て、弁済の目的物を競売に付し、その代金を供託することができる。

一 その物が供託に適しないとき。

二 その物について滅失、損傷その他の事由による価格の低落のおそれがあるとき。

三 その物の保存について過分の費用を要するとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、その物を供託することが困難な事情があるとき。

第498条(供託物の還付請求等)問題準備中

弁済の目的物又は前条の代金が供託された場合には、債権者は、供託物の還付を請求することができる。

第2項債務者が債権者の給付に対して弁済をすべき場合には、債権者は、その給付をしなければ、供託物を受け取ることができない。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第六節 債権の消滅 / 第一款 弁済 / 第三目 弁済による代位

第499条(弁済による代位の要件)

債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。

第500条

第四百六十七条の規定は、前条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用する。

第501条(弁済による代位の効果)

前二条の規定により債権者に代位した者は、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。

第2項前項の規定による権利の行使は、債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内(保証人の一人が他の保証人に対して債権者に代位する場合には、自己の権利に基づいて当該他の保証人に対して求償をすることができる範囲内)に限り、することができる。

第3項第一項の場合には、前項の規定によるほか、次に掲げるところによる。

一 第三取得者(債務者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者をいう。以下この項において同じ。)は、保証人及び物上保証人に対して債権者に代位しない。

二 第三取得者の一人は、各財産の価格に応じて、他の第三取得者に対して債権者に代位する。

三 前号の規定は、物上保証人の一人が他の物上保証人に対して債権者に代位する場合について準用する。

四 保証人と物上保証人との間においては、その数に応じて、債権者に代位する。ただし、物上保証人が数人あるときは、保証人の負担部分を除いた残額について、各財産の価格に応じて、債権者に代位する。

五 第三取得者から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、第三取得者とみなして第一号及び第二号の規定を適用し、物上保証人から担保の目的となっている財産を譲り受けた者は、物上保証人とみなして第一号、第三号及び前号の規定を適用する。

第502条(一部弁済による代位)問題準備中

債権の一部について代位弁済があったときは、代位者は、債権者の同意を得て、その弁済をした価額に応じて、債権者とともにその権利を行使することができる。

第2項前項の場合であっても、債権者は、単独でその権利を行使することができる。

第3項前二項の場合に債権者が行使する権利は、その債権の担保の目的となっている財産の売却代金その他の当該権利の行使によって得られる金銭について、代位者が行使する権利に優先する。

第4項第一項の場合において、債務の不履行による契約の解除は、債権者のみがすることができる。この場合においては、代位者に対し、その弁済をした価額及びその利息を償還しなければならない。

第503条(債権者による債権証書の交付等)問題準備中

代位弁済によって全部の弁済を受けた債権者は、債権に関する証書及び自己の占有する担保物を代位者に交付しなければならない。

第2項債権の一部について代位弁済があった場合には、債権者は、債権に関する証書にその代位を記入し、かつ、自己の占有する担保物の保存を代位者に監督させなければならない。

第504条(債権者による担保の喪失等)

弁済をするについて正当な利益を有する者(以下この項において「代位権者」という。)がある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位権者は、代位をするに当たって担保の喪失又は減少によって償還を受けることができなくなる限度において、その責任を免れる。その代位権者が物上保証人である場合において、その代位権者から担保の目的となっている財産を譲り受けた第三者及びその特定承継人についても、同様とする。

第2項前項の規定は、債権者が担保を喪失し、又は減少させたことについて取引上の社会通念に照らして合理的な理由があると認められるときは、適用しない。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第六節 債権の消滅 / 第二款 相殺

第505条(相殺の要件等)

二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

第2項前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。

第506条(相殺の方法及び効力)

相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。

第2項前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。

第507条(履行地の異なる債務の相殺)

相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければならない。

第508条(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)

時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。

第509条(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)

次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。

一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務

二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)

第510条(差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止)問題準備中

債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。

第511条(差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)

差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。

第2項前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。

第512条(相殺の充当)問題準備中

債権者が債務者に対して有する一個又は数個の債権と、債権者が債務者に対して負担する一個又は数個の債務について、債権者が相殺の意思表示をした場合において、当事者が別段の合意をしなかったときは、債権者の有する債権とその負担する債務は、相殺に適するようになった時期の順序に従って、その対当額について相殺によって消滅する。

第2項前項の場合において、相殺をする債権者の有する債権がその負担する債務の全部を消滅させるのに足りないときであって、当事者が別段の合意をしなかったときは、次に掲げるところによる。

一 債権者が数個の債務を負担するとき(次号に規定する場合を除く。)は、第四百八十八条第四項第二号から第四号までの規定を準用する。

二 債権者が負担する一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべきときは、第四百八十九条の規定を準用する。この場合において、同条第二項中「前条」とあるのは、「前条第四項第二号から第四号まで」と読み替えるものとする。

第3項第一項の場合において、相殺をする債権者の負担する債務がその有する債権の全部を消滅させるのに足りないときは、前項の規定を準用する。

第512条の2問題準備中

債権者が債務者に対して有する債権に、一個の債権の弁済として数個の給付をすべきものがある場合における相殺については、前条の規定を準用する。債権者が債務者に対して負担する債務に、一個の債務の弁済として数個の給付をすべきものがある場合における相殺についても、同様とする。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第六節 債権の消滅 / 第三款 更改

第513条(更改)

当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。

一 従前の給付の内容について重要な変更をするもの

二 従前の債務者が第三者と交替するもの

三 従前の債権者が第三者と交替するもの

第514条(債務者の交替による更改)

債務者の交替による更改は、債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる。この場合において、更改は、債権者が更改前の債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。

第2項債務者の交替による更改後の債務者は、更改前の債務者に対して求償権を取得しない。

第515条(債権者の交替による更改)

債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができる。

第2項債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。

第518条(更改後の債務への担保の移転)

債権者(債権者の交替による更改にあっては、更改前の債権者)は、更改前の債務の目的の限度において、その債務の担保として設定された質権又は抵当権を更改後の債務に移すことができる。ただし、第三者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない。

第2項前項の質権又は抵当権の移転は、あらかじめ又は同時に更改の相手方(債権者の交替による更改にあっては、債務者)に対してする意思表示によってしなければならない。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第六節 債権の消滅 / 第四款 免除

第519条

債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示したときは、その債権は、消滅する。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第六節 債権の消滅 / 第五款 混同

第520条

債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第七節 有価証券 / 第一款 指図証券

第520条の2(指図証券の譲渡)問題準備中

指図証券の譲渡は、その証券に譲渡の裏書をして譲受人に交付しなければ、その効力を生じない。

第520条の3(指図証券の裏書の方式)問題準備中

指図証券の譲渡については、その指図証券の性質に応じ、手形法(昭和七年法律第二十号)中裏書の方式に関する規定を準用する。

第520条の4(指図証券の所持人の権利の推定)問題準備中

指図証券の所持人が裏書の連続によりその権利を証明するときは、その所持人は、証券上の権利を適法に有するものと推定する。

第520条の5(指図証券の善意取得)問題準備中

何らかの事由により指図証券の占有を失った者がある場合において、その所持人が前条の規定によりその権利を証明するときは、その所持人は、その証券を返還する義務を負わない。ただし、その所持人が悪意又は重大な過失によりその証券を取得したときは、この限りでない。

第520条の6(指図証券の譲渡における債務者の抗弁の制限)問題準備中

指図証券の債務者は、その証券に記載した事項及びその証券の性質から当然に生ずる結果を除き、その証券の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意の譲受人に対抗することができない。

第520条の7(指図証券の質入れ)問題準備中

第五百二十条の二から前条までの規定は、指図証券を目的とする質権の設定について準用する。

第520条の8(指図証券の弁済の場所)問題準備中

指図証券の弁済は、債務者の現在の住所においてしなければならない。

第520条の9(指図証券の提示と履行遅滞)

指図証券の債務者は、その債務の履行について期限の定めがあるときであっても、その期限が到来した後に所持人がその証券を提示してその履行の請求をした時から遅滞の責任を負う。

第520条の10(指図証券の債務者の調査の権利等)問題準備中

指図証券の債務者は、その証券の所持人並びにその署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義務を負わない。ただし、債務者に悪意又は重大な過失があるときは、その弁済は、無効とする。

第520条の11(指図証券の喪失)問題準備中

指図証券は、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第百条に規定する公示催告手続によって無効とすることができる。

第520条の12(指図証券喪失の場合の権利行使方法)問題準備中

金銭その他の物又は有価証券の給付を目的とする指図証券の所持人がその指図証券を喪失した場合において、非訟事件手続法第百十四条に規定する公示催告の申立てをしたときは、その債務者に、その債務の目的物を供託させ、又は相当の担保を供してその指図証券の趣旨に従い履行をさせることができる。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第七節 有価証券 / 第二款 記名式所持人払証券

第520条の13(記名式所持人払証券の譲渡)問題準備中

記名式所持人払証券(債権者を指名する記載がされている証券であって、その所持人に弁済をすべき旨が付記されているものをいう。以下同じ。)の譲渡は、その証券を交付しなければ、その効力を生じない。

第520条の14(記名式所持人払証券の所持人の権利の推定)問題準備中

記名式所持人払証券の所持人は、証券上の権利を適法に有するものと推定する。

第520条の15(記名式所持人払証券の善意取得)問題準備中

何らかの事由により記名式所持人払証券の占有を失った者がある場合において、その所持人が前条の規定によりその権利を証明するときは、その所持人は、その証券を返還する義務を負わない。ただし、その所持人が悪意又は重大な過失によりその証券を取得したときは、この限りでない。

第520条の16(記名式所持人払証券の譲渡における債務者の抗弁の制限)問題準備中

記名式所持人払証券の債務者は、その証券に記載した事項及びその証券の性質から当然に生ずる結果を除き、その証券の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意の譲受人に対抗することができない。

第520条の17(記名式所持人払証券の質入れ)問題準備中

第五百二十条の十三から前条までの規定は、記名式所持人払証券を目的とする質権の設定について準用する。

第520条の18(指図証券の規定の準用)問題準備中

第五百二十条の八から第五百二十条の十二までの規定は、記名式所持人払証券について準用する。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第七節 有価証券 / 第三款 その他の記名証券

第520条の19問題準備中

債権者を指名する記載がされている証券であって指図証券及び記名式所持人払証券以外のものは、債権の譲渡又はこれを目的とする質権の設定に関する方式に従い、かつ、その効力をもってのみ、譲渡し、又は質権の目的とすることができる。

第2項第五百二十条の十一及び第五百二十条の十二の規定は、前項の証券について準用する。

第三編 債権 / 第一章 総則 / 第七節 有価証券 / 第四款 無記名証券

第520条の20問題準備中

第二款(記名式所持人払証券)の規定は、無記名証券について準用する。