資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第一編 総則/第五章 法律行為/第二節 意思表示

民法 第97条(意思表示の効力発生時期等)

分野:意思表示

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 中賃貸不動産経営管理士重要度 中マンション管理士重要度 中管理業務主任者重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 意思表示の効力発生時期:意思表示は発信時ではなく到達時に効力が生じ、到達妨害のみなし到達は例外。
  • 通知発送後の表意者の死亡:通知発送後の死亡・意思能力喪失・行為能力制限は意思表示の効力を妨げない。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第97条(意思表示の効力発生時期等)

意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。

②相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。

③意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

条文の要点

意思表示の効力発生時期とは、通知が相手方に到達した時と定める原則で、到達は相手方が了知可能な状態に置かれることをいいます(97条1項)。

発信した時点では効力が生じません。相手方が正当な理由なく到達を妨げれば通常到達すべき時に到達したとみなされ、発信後に表意者が死亡・意思能力喪失・行為能力の制限を受けても効力は妨げられません。

意思表示の効力発生時期の境目

到達は現実の了知ではなく、通常なら了知しうる状態に置かれることです。表意者側の発信後の変化では効力が落ちませんが、受け取る相手方が受領時に意思能力を欠くか未成年者・成年被後見人なら対抗できません。

項役割内容
1項効果通知が相手方に到達した時から効力を生じる(到達主義)
2項例外相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべき時に到達したとみなす
3項例外発信後の表意者の死亡・意思能力喪失・行為能力の制限は効力を妨げない

具体例

AがBに向けて賃貸借の解除の通知を発送しましたが、まだBに届いていません。

到達していないため、解除の意思表示の効力はまだ生じません。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Bが正当な理由なく通知の受領を妨げていた場合に変えます。

到達を妨げられたため、通常到達すべき時に到達したものとみなされ、解除の効力が生じます。

関連条との違い

  • 民法 第98条:相手方を知らない又は所在を知らないときは公示の方法ででき、官報掲載等から2週間で到達したとみなされる
  • 民法 第98条の2:受領時に意思能力を欠くか未成年者・成年被後見人である相手方には、通知をもって対抗できない。法定代理人等が知った後はできる

過去問で誤りとされた肢の型

  • 賃管平成28年度 問23肢1

    解除の意思表示は発信すれば到達前でも効力を生じるとする誤り。到達主義で効力は到達時

  • 司法書士令和7年度 問5ウ

    隔地者間の契約は承諾の発信時に遡り成立するとする誤り。旧発信主義は削除され承諾の到達時に成立する

  • 司法書士令和7年度 問5イ

    発信後に表意者が意思能力を喪失すれば効力を生じないとする誤り。3項で妨げられない

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

意思表示の効力発生時期

表意者が意思表示を記載した通知を内容証明郵便で発送した場合、その通知がまだ相手方のもとに届いていなくても、発送した時点で意思表示の効力が発生する。

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正解 ×

誤り。意思表示はその通知が相手方に到達した時から効力を生じるのが原則であり、発送の時点では効力は生じない。もっとも、相手方が正当な理由なく通知の到達を妨げた場合には、通常到達すべきであった時に到達したものとみなされる例外がある。

学習ポイント:意思表示は発信時ではなく到達時に効力が生じ、到達妨害のみなし到達は例外。

第97条1項・2項

通知発送後の表意者の死亡

賃貸人が賃貸借契約の解除を通知する書面を投函した直後に死亡した場合でも、その通知が相手方に到達すれば、解除の意思表示の効力は妨げられない。

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正解 ○

正しい。表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、または行為能力の制限を受けても、意思表示の効力は妨げられない。発送後の表意者の状態変化は到達による効力発生に影響しない。投函という発送行為の後の死亡なので本件も効力が生じる。

学習ポイント:通知発送後の死亡・意思能力喪失・行為能力制限は意思表示の効力を妨げない。

第97条3項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和3年 問27肢4

意思表示は、表意者が通知を発した後に制限行為能力者となった場合でもその影響を受けないが、契約の申込者が契約の申込み後に制限行為能力者となった場合において、契約の相手方がその事実を知りつつ承諾の通知を発したときには、当該制限行為能力者は契約を取り消すことができる。

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妥当でない

申込み後に制限行為能力者となっても申込みの効力に影響せず、相手方が知りつつ承諾しても取消権は発生しない(民法97条の類推)。誤り。

司法書士令和7年度 問5ア

意思表示の通知が相手方に到達したというためには、その通知が相手方の了知可能な状態に置かれることをもって足りる。

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正しい

正しい。到達は相手方が通常なら通知を了知しうる状態に置かれることをいい、現実の了知までは要しない(97条1項の解釈・判例)。

司法書士令和7年度 問5イ

契約を解除する旨の意思表示は、その通知の発信から相手方への到達までの間に表意者が意思能力を喪失したときは、その効力を生じない。

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誤り

誤り。意思表示は表意者が通知を発した後に意思能力を喪失してもその効力を妨げられない(97条3項)。

司法書士令和7年度 問5ウ

隔地者間の契約は、承諾の通知が申込者に到達したときは、承諾の通知を発した時に遡って成立する。

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誤り

誤り。隔地者間の契約は承諾の通知が到達した時に成立する(到達主義・97条1項)のであって、発信時に遡るものではない。

宅建令和6年 問8肢1改正前の出題

隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。

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規定されていない

規定されていない。隔地者間の発信主義の規定(旧民法526条1項)は令和2年施行の改正民法で削除され、現行法では意思表示の効力発生は到達主義(97条)に統一された。

宅建令和3年12月 問8肢1

Bが承諾の通知を発する前に、BがAの死亡を知ったとしても、本件申込みは効力を失わない。

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誤り

誤り。申込みは到達前に表意者が死亡し、Bがその死亡を知った場合は効力を失う(民法97条2項)。

宅建令和3年12月 問8肢4

本件申込みが効力を失わない場合、Bが承諾の意思表示を発信した時点で甲土地の売買契約が成立する

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誤り

誤り。承諾の意思表示も到達した時から効力を生じ(民法97条1項)、契約は承諾の通知が申込者側に到達した時に成立する。承諾を発信した時に成立するのではない。

賃管平成28年度 問23肢1

賃貸借契約を解除する場合、借主に対して解除の意思表示を行えば、その意思表示が借主に到達していなくても効力が生じる。

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誤り

誤り。解除の意思表示は相手方に到達して初めて効力を生ずる。

管業令和6年度 問2肢2

マンションに居住する区分所有者が管理費を滞納したまま区分所有権を譲渡した場合、管理組合は、当該前区分所有者が転出に際して届け出た転居場所に滞納管理費の支払を催告すれば、その到達の有無にかかわらず、有効な請求となる。

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誤り

誤り。意思表示は通知が相手方に到達した時から効力を生じるため、催告が到達しなければ有効な請求とならない。

問題で確認する

第97条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。