第二編 株式会社/第四章 機関/第十一節 役員等の損害賠償責任
会社法 第427条(責任限定契約)
この条の要点
- 責任限定契約の対象者:責任限定契約の相手方は非業務執行取締役等のみ。業務執行取締役・執行役は対象外。
- 責任限定契約の失効:業務執行取締役等への就任で責任限定契約は将来に向かって失効。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第427条(責任限定契約)
第四百二十四条の規定にかかわらず、株式会社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)、会計参与、監査役又は会計監査人(以下この条及び第九百十一条第三項第二十五号において「非業務執行取締役等」という。)の第四百二十三条第一項の責任について、当該非業務執行取締役等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を非業務執行取締役等と締結することができる旨を定款で定めることができる。
②前項の契約を締結した非業務執行取締役等が当該株式会社の業務執行取締役等に就任したときは、当該契約は、将来に向かってその効力を失う。
③第四百二十五条第三項の規定は、定款を変更して第一項の規定による定款の定め(同項に規定する取締役(監査等委員又は監査委員であるものを除く。)と契約を締結することができる旨の定めに限る。)を設ける議案を株主総会に提出する場合について準用する。この場合において、同条第三項中「取締役(これらの会社に最終完全親会社等がある場合において、第一項の規定により免除しようとする責任が特定責任であるときにあっては、当該会社及び当該最終完全親会社等の取締役)」とあるのは、「取締役」と読み替えるものとする。
④第一項の契約を締結した株式会社が、当該契約の相手方である非業務執行取締役等が任務を怠ったことにより損害を受けたことを知ったときは、その後最初に招集される株主総会(当該株式会社に最終完全親会社等がある場合において、当該損害が特定責任に係るものであるときにあっては、当該株式会社及び当該最終完全親会社等の株主総会)において次に掲げる事項を開示しなければならない。
一 第四百二十五条第二項第一号及び第二号に掲げる事項
二 当該契約の内容及び当該契約を締結した理由
三 第四百二十三条第一項の損害のうち、当該非業務執行取締役等が賠償する責任を負わないとされた額
⑤第四百二十五条第四項及び第五項の規定は、非業務執行取締役等が第一項の契約によって同項に規定する限度を超える部分について損害を賠償する責任を負わないとされた場合について準用する。
この条文の〇×問題(2問)
責任限定契約の対象者
株式会社は、定款で定めれば、代表取締役や執行役を含むすべての役員との間で、善意で重大な過失がない場合の損害賠償責任を一定額に限定する契約を締結することができる。
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正解 ×
誤り。責任限定契約の締結が認められるのは、業務執行取締役等でない取締役、会計参与、監査役、会計監査人(非業務執行取締役等)との間に限られる。代表取締役や業務執行取締役とは責任限定契約を締結できず、執行役も対象外である。
学習ポイント:責任限定契約の相手方は非業務執行取締役等のみ。業務執行取締役・執行役は対象外。
第427条1項
責任限定契約の失効
責任限定契約を締結した社外取締役が、後にその会社の業務執行取締役に就任した場合、当該契約は将来に向かってその効力を失う。
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正解 ○
正しい。責任限定契約を締結した非業務執行取締役等が、その後業務執行取締役等に就任したときは、当該契約は将来に向かってその効力を失う。役割が変われば契約の基礎が失われるため、過去にさかのぼって無効となるわけではないが将来には効力を持たない。
学習ポイント:業務執行取締役等への就任で責任限定契約は将来に向かって失効。
第427条2項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和5年 問39肢4
非業務執行取締役等は、定款の定めに基づき、職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度として責任を負うとする契約を株式会社と締結することができる。
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正しい
非業務執行取締役等は善意・無重過失の場合に責任限定契約を締結できる(会社法427条)。
行政書士平成30年 問39肢5
株式会社は、社外取締役の当該株式会社に対する責任について、社外取締役が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、当該社外取締役が負う責任の限度額をあらかじめ定める旨の契約を締結することができる旨を定款で定めることができる。
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正しい
善意無重過失の社外取締役の責任限定契約は定款の定めにより可能(427条1項)。正しい。
司法書士令和8年度 問31エ
監査役会設置会社においては、取締役は、当該監査役会設置会社が責任限定契約を業務執行取締役等でない取締役と締結することができる旨の定款の定めを設ける議案を株主総会に提出するには、各監査役の同意を得なければならない。
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正しい
正しい。監査役会設置会社で責任限定契約の定款変更議案を提出するには各監査役の同意が必要(427条2項)。
解説で第427条を参照している問
問題で確認する
第427条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。