第四章 登記手続/第三節 権利に関する登記/第七款 仮処分に関する登記
不動産登記法 第111条(仮処分の登記に後れる登記の抹消)
この条の要点
- 処分禁止の登記に後れる登記の単独抹消申請:処分禁止登記の債権者は、後れる登記の抹消を単独で申請できる。
- 後れる登記の抹消時の処分禁止の登記の処理:後れる登記の抹消時、処分禁止の登記も職権で抹消される。残存させる規定ではない。
条文原文
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第111条(仮処分の登記に後れる登記の抹消)
所有権について民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記(同条第二項に規定する保全仮登記(以下「保全仮登記」という。)とともにしたものを除く。以下この条において同じ。)がされた後、当該処分禁止の登記に係る仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の登記(仮登記を除く。)を申請する場合においては、当該債権者は、当該処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請することができる。
②前項の規定は、所有権以外の権利について民事保全法第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記がされた後、当該処分禁止の登記に係る仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を登記義務者とする当該権利の移転又は消滅に関し登記(仮登記を除く。)を申請する場合について準用する。
③登記官は、第一項(前項において準用する場合を含む。)の申請に基づいて当該処分禁止の登記に後れる登記を抹消するときは、職権で、当該処分禁止の登記も抹消しなければならない。
この条文の〇×問題(2問)
処分禁止の登記に後れる登記の単独抹消申請
甲所有の土地について乙の申立てによる処分禁止の登記がされた後、丙が甲を登記義務者とする所有権の移転の登記を取得した。乙が甲を登記義務者とする所有権の登記を申請するにあたり、乙は丙の当該後れる登記の抹消を単独で申請することができる。
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正解 ○
正しい。処分禁止の登記(保全仮登記を伴わないもの)がされた後、当該仮処分の債権者が当該債務者を登記義務者とする所有権の登記を申請する場合、債権者は処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請できる。仮処分の実効を担保する規定である。
学習ポイント:処分禁止登記の債権者は、後れる登記の抹消を単独で申請できる。
第111条1項、関連:第60条
後れる登記の抹消時の処分禁止の登記の処理
登記官は、仮処分の債権者の申請に基づいて処分禁止の登記に後れる登記を抹消する場合でも、当該処分禁止の登記は仮処分の効力が及ぶ限り登記記録上に存続させなければならない。
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正解 ×
誤り。登記官は、債権者の申請に基づいて当該処分禁止の登記に後れる登記を抹消するときは、職権で当該処分禁止の登記も抹消しなければならない。保全の目的が既に実現した以上、後れる登記の抹消と処分禁止の登記の抹消は一体として処理される。
学習ポイント:後れる登記の抹消時、処分禁止の登記も職権で抹消される。残存させる規定ではない。
第111条3項、関連:第114条
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和6年度 問60エ
甲不動産について、Bを仮処分の債権者とする所有権の移転の登記請求権を保全する処分禁止の登記がされた後、登記官が、Bの申請に基づきAからBへの所有権の移転の登記及び当該処分禁止の登記に後れる登記の抹消をするときは、職権で、当該処分禁止の登記を抹消しなければならない。
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正しい
正しい。仮処分債権者の申請に基づき本登記及び後れる登記の抹消をするとき、登記官は職権で処分禁止の登記を抹消する(不登法111条3項)。
司法書士平成29年度 問58肢3
Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを仮処分の債権者とする所有権の処分禁止の登記がされた後、A及びBが甲土地について所有権の移転請求権の保全の仮登記を申請する場合には、Bは、当該処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請することができる。
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誤り
誤り。処分禁止の登記に後れる登記を単独で抹消できるのは、仮処分債権者が債務者を登記義務者とする所有権の登記(仮登記を除く)と同時に申請する場合に限られ(不動登111条1項)、保全仮登記の申請のみでは抹消できない。
司法書士平成29年度 問58肢5
Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを仮処分の債権者とする所有権の処分禁止の登記がされた後、AからBへの所有権の移転の登記及び当該処分禁止の登記に後れる登記の抹消の登記を申請する場合には、Bは、当該処分禁止の登記の抹消を単独で申請することができる。
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誤り
誤り。処分禁止の登記に後れる登記の抹消を申請したときは、登記官が職権で当該処分禁止の登記を抹消するものであって(不動登111条3項)、債権者Bがその抹消を申請することはできない。
司法書士平成26年度 問59イ
債権者及び債務者が甲土地についての所有権の移転の登記を共同して申請する場合には、申請と同時にするときに限り、債権者は、処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請することができる。
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正しい
正しい。債権者が債務者を登記義務者とする所有権の移転の登記を申請する場合、当該申請と同時にするときに限り、処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請できる(不動産登記法111条1項・民事保全法58条2項)。
司法書士平成25年度 問54イ
所有権の移転の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記がされた不動産について、当該仮処分の債権者を登記権利者とし、当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の移転の登記がされるとともに、仮処分に後れる登記が抹消される場合には、当該処分禁止の登記は、登記官の職権により、抹消される。
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正しい
正しい。処分禁止の仮処分の債権者を登記権利者とする所有権移転の登記とともに、仮処分に後れる登記が抹消された場合、処分禁止の登記は登記官の職権により抹消される(不登法111条3項)。
問題で確認する
第111条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。