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第三編 債権/第一章 総則/第二節 債権の効力/第一款 債務不履行の責任等

民法 第419条(金銭債務の特則)

分野:債権の効力

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 中賃貸不動産経営管理士重要度 中マンション管理士重要度 中管理業務主任者重要度 高

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 金銭債務の遅延損害と損害証明の不要:金銭債務の遅延賠償は法定利率で定まり、損害の証明は要らない。
  • 金銭債務と不可抗力抗弁の排斥:金銭債務の遅延損害には不可抗力の抗弁が許されない。一般の帰責性ルールと区別する。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第419条(金銭債務の特則)

金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

②前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。

③第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

条文の要点

金銭債務の特則とは、金銭の給付を目的とする債務の不履行について、損害の証明・帰責性・賠償額の算定を一般の債務不履行と違う扱いにする規定です(419条)。

損害賠償の額は遅滞責任を負った最初の時点の法定利率で定まり、約定利率が法定利率を超えるときだけ約定利率を使います。債権者は損害を証明する必要がなく、債務者は不可抗力を抗弁にできません。

金銭債務の特則の効果

利率の基準時は遅滞の責任を負った最初の時点で、その後に法定利率が変動してもその時の利率を使い続けます。利息の約定利率が法定利率より低くても、但書は超える場合に限られるので遅延損害は法定利率で計算します。不法行為による賠償債務は金銭賠償なので(722条1項・417条)、不法行為時の法定利率が適用されます。

項役割内容
1項効果損害賠償の額は遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率で定まる
1項ただし書例外約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率を使う
2項効果債権者は損害の証明をすることを要しない
3項例外債務者は不可抗力を抗弁にできない(一般の帰責事由ルールへの特則)

具体例

AはBへの代金100万円を支払期日に支払いませんでした。BはAに遅延損害金を請求します。

Bは実際の損害を証明せずに、遅滞初日の法定利率で定まる遅延損害金を請求できます。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、債務の内容を金銭の支払ではなく商品の引渡しに変えます。

一般の債務不履行の扱いに戻るので、債権者は損害を証明する必要があり、債務者は責めに帰せない事由による不履行を立証すれば免責されます。

関連条との違い

  • 民法 第415条:一般の債務不履行では責めに帰せない事由による不履行は免責される(415条1項ただし書)。金銭債務は3項が不可抗力の抗弁を封じる
  • 民法 第404条:法定利率は404条が定める変動制の利率。419条は遅滞開始時の法定利率で賠償額を固定する
  • 民法 第420条:賠償額の予定は当事者が額を決める制度。419条は予定のないときの法定の算定方法

過去問で誤りとされた肢の型

  • 管業令和4年度 問11肢1

    金銭債務でも不可抗力を抗弁にして遅延損害金を免れるとする誤り。3項で不可抗力の抗弁は認められない

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

金銭債務の遅延損害と損害証明の不要

金銭の支払を目的とする債務について債務者が履行遅滞となった場合、債権者は遅延によって実際に損害を受けたこと及びその額を証明しなくても、法定利率による損害賠償を請求することができる。

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正解 ○

正しい。金銭債務の不履行による損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定まり、債権者は損害の証明をすることを要しない。金銭債務では遅滞により当然に利息相当の損害が生じるものとして扱われるためである。

学習ポイント:金銭債務の遅延賠償は法定利率で定まり、損害の証明は要らない。

第419条1項・2項、関連:第404条

金銭債務と不可抗力抗弁の排斥

金銭の支払を目的とする債務の債務者は、支払の遅滞が地震などの不可抗力によって生じたことを証明すれば、法定利率による遅延損害金の支払義務を免れることができる。

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正解 ×

誤り。金銭債務の不履行による損害賠償については、債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができない。一般の債務不履行では責めに帰することができない事由による不履行は損害賠償責任を免れるのに対し、金銭債務にはこの抗弁が許されない特則がある。

学習ポイント:金銭債務の遅延損害には不可抗力の抗弁が許されない。一般の帰責性ルールと区別する。

第419条3項、関連:第415条1項ただし書

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和4年 問33肢3

利息付金銭消費貸借契約において、利息について利率の定めがあったが遅延損害の額の定めがなかった場合に、当該利息の約定利率が法定利率より低かったときは、遅延損害の額は法定利率によって定める。

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妥当である

遅延損害金に定めがなく約定利息が法定利率より低い場合、遅延損害金は法定利率による(419条)。

行政書士令和4年 問33肢4

不法行為に基づく損害賠償において、遅延損害金は、原則として不法行為時の法定利率によって定める。

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妥当である

不法行為の遅延損害金は不法行為時の法定利率による(417条・419条)。

行政書士令和3年 問31ア

残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。この場合、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができる。

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遅延損害金は法定の損害賠償で損害の証明なく請求できる(民法419条)。妥当。

行政書士令和3年 問31ウ

残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。Bは支払いの準備をしていたが、同年9月30日に発生した大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

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金銭債務は不可抗力をもって免責されず、システム障害でも履行遅滞の責任は残る(民法419条3項の金銭債務の特殊性)。妥当。

管業令和5年度 問4肢4

AのBに対する請負代金の支払期日の前日に、地震で管理事務室が損壊したため、Aが支払期日にその代金を支払うことができなかった場合でも、Aは、Bに対する債務不履行責任を免れない。

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正しい

正しい。金銭の給付を目的とする債務の不履行では、債務者は不可抗力を損害賠償責任の抗弁とすることができない(民法419条3項)。地震を理由として支払遅滞の責任を免れることはできない。

管業令和4年度 問11肢1

管理費を滞納している区分所有者が、不可抗力により、管理費を支払うことができないときは、債務不履行に係る遅延損害金の賠償については、不可抗力をもって抗弁とすることができる。

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誤り

誤り。金銭債務の履行遅滞は不可抗力をもって抗弁することができない。

管業平成30年度 問3肢4

金銭債務の債務者は、不可抗力により期日に金銭の支払をすることができなかったときであっても、その不履行によって生じた損害の賠償責任を免れない。

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正しい

正しい。金銭債務の不履行については、不可抗力をもってしても損害賠償の責任を免れることができない。

問題で確認する

第419条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。