第一編 総則/第五章 法律行為/第三節 代理
民法 第101条(代理行為の瑕疵)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 意思表示の瑕疵の有無の判断基準:意思表示の瑕疵の有無は本人ではなく、実際に意思表示をした代理人の認識で判断する。
- 本人が知っていた事情についての主張の制限:特定行為の委託では、本人が知っていた事情や過失で知らなかった事情について代理人の不知を主張できない。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第101条(代理行為の瑕疵)
代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
②相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
③特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
この条文の〇×問題(2問)
意思表示の瑕疵の有無の判断基準
代理人が相手方の詐欺に遭って本人のために売買契約を締結した場合、本人が詐欺の事実を知らなかったとしても、その意思表示を詐欺を理由に取り消せるかどうかは、意思表示を行った代理人の認識を基準に判断される。
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正解 ○
正しい。代理人が相手方に対してした意思表示の効力が錯誤や詐欺などの瑕疵によって影響を受けるべき場合、その事実の有無は代理人について決する。本人が詐欺を知らなくても、意思表示を行った代理人がだまされていれば取消しの対象となり得る。
学習ポイント:意思表示の瑕疵の有無は本人ではなく、実際に意思表示をした代理人の認識で判断する。
第101条1項、関連:第96条1項
本人が知っていた事情についての主張の制限
特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときに、本人がその行為に関するある事情を知っていた場合でも、代理人がその事情を知らなければ、本人はその事情を知らなかったものとして主張することができる。
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正解 ×
誤り。特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても同様であり、代理人の不知を援用して善意を装うことはできない。
学習ポイント:特定行為の委託では、本人が知っていた事情や過失で知らなかった事情について代理人の不知を主張できない。
第101条3項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和元年 問28ア
代理人が代理行為につき、相手方に対して詐欺を行った場合、本人がその事実を知らなかったときであっても、相手方はその代理行為を取り消すことができる。
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妥当
妥当。相手方側の代理人がした詐欺は、本人が知らなくても意思表示取消しの原因となる。根拠は民法96条1項であり、同条3項の転得者保護の問題とは区別する。代理人の認識については101条を参照する。
行政書士平成24年 問28肢3
代理人は本人のために自ら法律行為を行うのであるから、代理行為の瑕疵は、代理人について決するが、使者は本人の行う法律行為を完成させるために本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、当該意思表示の瑕疵は、本人について決する。
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妥当
任意代理の意思表示の瑕疵は代理人について決する(101条2項)。使者は本人の意思を伝達するのみで瑕疵は本人について決する。妥当。
司法書士令和4年度 問5オ
法人が代理人によって動産を買った場合において、売主が無権利者であることについて、当該法人の代表者が善意無過失であっても、代理人が悪意であったときは、当該法人は、当該動産を即時取得することはできない。
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正しい
正しい。代理人が取引行為をした場合の善意・無過失は代理人について決する(101条1項・最判昭47.11.21)。代理人が悪意なら即時取得できない。
司法書士平成30年度 問5オ
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正しい
正しい。特定の法律行為を委託された代理人がその行為をしたとき、本人は自ら知っていた事情(過失により知らなかった事情を含む)について代理人が知らなかったことを主張できない(民法101条3項)。Aが悪意・有過失なら即時取得できない。
司法書士平成30年度 問8エ
A株式会社の代表取締役Bから代理権を与えられたCが、Aのためにすることを示して動産甲を無権利のDから買い受けて現実の引渡しを受けた場合において、Dが無権利者であることにつきBは善意無過失であるが、Cは善意有過失であるときは、Aは動産甲を即時取得することはできない。
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正しい
正しい。意思表示の効力が善意・無過失の有無により影響を受ける場合、その事実の有無は代理人について決する(民法101条1項)。代理人Cが有過失ならAは即時取得できない。
問題で確認する
第101条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。