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第一編 総則/第五章 法律行為/第三節 代理

民法 第102条(代理人の行為能力)

分野:代理

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 中管理業務主任者重要度 高

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 制限行為能力者の代理人行為と能力制限による取消し:代理人行為の効果は本人に帰属するので、行為した制限行為能力者は能力の制限を理由に取り消せない。
  • 他の制限行為能力者の法定代理人としての行為:代理人行為の取消し不可には例外があり、他の制限行為能力者の法定代理人としての行為は取消可能。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第102条(代理人の行為能力)

制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。

条文の要点

代理人の行為能力とは、代理人が行為能力者である必要がないことをいい、制限行為能力者が代理人としてした行為はその制限を理由に取り消せません(102条本文)。

代理行為の効果は本人に帰属し代理人は負担を負わないので、代理人を能力制限で保護する必要がありません。ただし他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は取り消せます。

代理人の行為能力の要否と使者との違い

代理人には意思能力が要りますが行為能力は要りません。使者は本人の決定を伝達するだけなので意思能力も行為能力も要りません。法定代理の場合だけが但書の例外で、法定代理人が制限行為能力者ならその行為は取り消せます。

項役割内容
1項本文効果代理人としてした行為は、その者が制限行為能力者であることを理由には取り消せない
1項ただし書例外他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は取り消せる

具体例

未成年者BがCから委任を受け代理人として、Aとの間で契約を結びました。Bの親権者の同意はありません。

代理人には行為能力が要らず、同意の欠缺もBの制限行為能力も理由にその契約は取り消せません。効果は本人Cに帰属します。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Bが他の制限行為能力者の法定代理人として行為した場合に変えます。

ただし書の例外で、Bの行為能力の制限を理由にその行為を取り消せます。

関連条との違い

  • 民法 第99条:代理行為は権限内で本人のためを示せば本人に直接効力が生じる。効果の帰属先が本人なので代理人の保護は要らない
  • 民法 第101条:意思表示の瑕疵や善意・過失の有無は代理人について決する。行為能力の制限とは判断の軸が違う
  • 民法 第120条:行為能力の制限による取消権は制限行為能力者本人・その代理人・承継人・同意権者に限られる

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士令和4年度 問4イ

    未成年者が委任による代理人としてした行為を制限行為能力で取り消せるとする誤り。102条で取り消せない

  • 宅建平成24年 問2肢1

    未成年の代理人の行為は法定代理人の同意がないと本人に帰属しないとする誤り。代理人に行為能力は要らない

  • 管業平成30年度 問4肢2

    制限行為能力者は代理人になれないとする誤り。意思能力があれば代理人になれる

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

制限行為能力者の代理人行為と能力制限による取消し

制限行為能力者が他人から委任を受けてその代理人として契約を締結した場合、その行為の効果は本人に帰属するのであり、当該制限行為能力者は自らの行為能力の制限を理由としてその契約を取り消すことはできない。

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正解 ○

正しい。制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。代理行為の効果は本人に帰属し、行為した制限行為能力者自身は契約上の負担を負わないため、行為能力制度による保護の必要がないからである。

学習ポイント:代理人行為の効果は本人に帰属するので、行為した制限行為能力者は能力の制限を理由に取り消せない。

第102条本文、関連:第99条1項

他の制限行為能力者の法定代理人としての行為

行為能力の制限を受けている者が、他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為であっても、代理行為としてした以上、その行為能力の制限を理由に取り消すことはできない。

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正解 ×

誤り。制限行為能力者が代理人としてした行為は行為能力の制限によっては取り消すことができないのが原則だが、他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は例外とされ、行為能力の制限を理由に取り消すことができる。

学習ポイント:代理人行為の取消し不可には例外があり、他の制限行為能力者の法定代理人としての行為は取消可能。

第102条ただし書、関連:第120条1項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和7年 問28オ

代理人が制限行為能力者であったとしても、当該代理人の代理行為を制限行為能力を理由として取り消すことはできず、これは当該代理人が他の制限行為能力者の法定代理人である場合でも同様である。

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誤り

誤り。制限行為能力者による代理行為は原則としてその行為能力を理由に取り消せないが、他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為には例外がある(民法102条ただし書)。

行政書士平成24年 問28肢2

代理人は、本人のために法律行為を行う者であるから、代理権の授与のときに意思能力および行為能力を有することが必要であるのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達する者であるから、その選任のときに意思能力および行為能力を有することは必要ではない。

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妥当ではない

妥当ではない。代理人は行為能力者であることを要しない(民法102条)。代理人には意思能力が必要だが、使者は本人が決定した意思を伝達するにすぎないから、意思能力も行為能力も不要と解されている。代理人に行為能力を必要とする点が誤り。

司法書士令和4年度 問4イ

未成年者が委任による代理人としてした法律行為については、行為能力の制限を理由として取り消すことができる。

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誤り

誤り。制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によって取り消すことができない(102条)。

司法書士平成29年度 問4エ

AがCの任意代理人として不動産を購入した場合において、Bの同意を得ていないときは、Bの同意を得ていないことを理由として、その売買契約を取り消すことができる。

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誤り

誤り。代理人は行為能力者であることを要しない(民法102条)ため、Aが成年被後見人・被保佐人のいずれでもBの同意がないことを理由に取消すことはできない。

宅建平成24年 問2肢1

未成年者が代理人となって締結した契約の効果は、当該行為を行うにつき当該未成年者の法定代理人による同意がなければ、有効に本人に帰属しない。

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誤り

誤り。制限行為能力者も代理人となることができる(民法102条本文)。未成年の代理人の行為は本人に有効に帰属し、その法定代理人の同意は要しない。

管業令和3年度 問4肢1

Cが制限行為能力者であった場合に、Aは、Cの制限行為能力を理由に代理行為を取り消すことができない。

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正しい

正しい。代理人が制限行為能力者であっても、本人は代理行為を取り消すことができない。

管業令和2年度 問3肢2

行為能力者であるAが、Cを代理人として甲を第三者に売却した場合に、代理行為の時にCが被保佐人であったときは、Aは、Cの制限行為能力を理由に、甲の売買を取り消すことができる。

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誤り

誤り。制限行為能力者が代理人としてした行為は行為能力の制限によっては取り消せない。

管業平成30年度 問4肢2

AがBに代理権を授与した時に、Bが制限行為能力者であった場合は、Bは、代理人となることはできない。

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誤り

誤り。代理人は意思能力を備えていれば足り、制限行為能力者であっても代理人となることができる。

問題で確認する

第102条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。