第一編 総則/第二章 人/第三節 行為能力
民法 第5条(未成年者の法律行為)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 義務を免れる行為への同意不要:単に権利を得る・義務を免れる行為は同意不要。負担付きの行為とは区別する。
- 目的を定めない処分許可財産の処分:目的を定めて許した財産は目的の範囲内で、定めない財産は自由に処分できる。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第5条(未成年者の法律行為)
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
②前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
③第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
条文の要点
未成年者の法律行為とは、未成年者がする法律行為で、原則として法定代理人の同意が必要です(5条1項)。
同意なくした行為は取り消せますが、単に権利を得・義務を免れる行為と、処分を許された財産の目的の範囲内の処分は、未成年者が同意なく単独でできます。
未成年者の法律行為の同意要否の境目
負担付贈与の承諾のように権利を得る行為でも義務を伴うものは同意を要します。逆に目的を定めないで処分を許された財産は自由に使えます。同意なく締結した契約を未成年者本人が取り消すときに、改めて法定代理人の同意は要りません。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項本文 | 要件 | 未成年者の法律行為には法定代理人の同意が要る |
| 1項ただし書 | 例外 | 単に権利を得・義務を免れる行為は同意を要しない |
| 2項 | 効果 | 同意のない行為は取り消せる(無効ではない) |
| 3項 | 例外 | 処分を許した財産は、目的の範囲内で自由に処分できる。目的を定めない許可なら用途の制限もない |
具体例
未成年者Aが親権者Bの同意を得ず、親戚Cから負担のない贈与を受ける契約を結びました。
単に権利を得る行為なので同意なしで有効に成立し、取り消せません。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Cの贈与に負担が付いていた場合に変えます。
負担付贈与の承諾は義務を伴うためBの同意を要し、同意がなければAは契約を取り消せます。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和6年度 問4ウ
負担付贈与の承諾を単に権利を得る行為として同意不要とする誤り。義務を伴う行為は但書の対象外
- 司法書士令和6年度 問18エ
15歳で単独にできる遺言と死因贈与を混同する誤り。死因贈与は契約なので同意を要する
- 司法書士平成26年度 問22ア
相続の承認・放棄を同意不要とする誤り。単に権利を得るだけの行為ではない
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
義務を免れる行為への同意不要
未成年者が法定代理人の同意を得ないで、親戚から負担のない贈与を受ける契約を締結した。この契約は、未成年者が単に権利を得るだけの法律行為に当たるため、同意がなかったことを理由に取り消すことはできない。
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正解 ○
正しい。5条1項ただし書は、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為について法定代理人の同意を不要とする。負担のない贈与を受けることは未成年者に不利益を伴わない行為であり、同意欠缺を理由とする取消し(同条2項)の対象にならない。負担付き贈与は義務を伴うため同意を要する。なお債務の免除は債権者の単独行為であり(519条)、債務者の受諾を要しない。
学習ポイント:単に権利を得る・義務を免れる行為は同意不要。負担付きの行為とは区別する。
第5条1項ただし書・2項
目的を定めない処分許可財産の処分
法定代理人が目的を定めないで未成年者に処分を許した財産について、未成年者がその財産で高額な時計を購入した場合、処分の目的が定められていないため、目的の範囲内における自由な処分という特例の適用はなく、同意欠缺を理由に取り消すことができる。
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正解 ×
誤り。民法5条3項後段は、目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも同様とし、未成年者が自由に処分できると定める。目的の限定がある財産だけが目的の範囲内に拘束され、目的の指定自体がない財産については用途の制限がない。この購入は同意欠缺による取消しの対象にならない。
学習ポイント:目的を定めて許した財産は目的の範囲内で、定めない財産は自由に処分できる。
第5条3項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和6年 問28肢4
未成年者が親権者の同意を得ずに締結した契約について、未成年者本人が、制限行為能力を理由としてこれを取り消す場合、親権者の同意を得る必要はない。
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正しい
未成年者本人が制限行為能力を理由に取消す場合、親権者の同意は不要(民法5条の取消権は本人に帰属)。
司法書士令和6年度 問4ア
法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産は、未成年者が自由に処分することができる。
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正しい
正しい。目的を定めないで処分を許した財産は、目的を定めた場合と同様に未成年者が自由に処分できる(5条3項)。
司法書士令和6年度 問4ウ
未成年者は、その法定代理人の同意を得ないで、負担付贈与の申込みを承諾することができる。
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誤り
誤り。負担付贈与の承諾は負担の履行を伴うので「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」(5条1項但書)に当たらず、法定代理人の同意を要する。
司法書士令和6年度 問18エ
15歳に達した者が死因贈与をするには、その法定代理人の同意を得ることを要しない。
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誤り
誤り。15歳に達した者が単独でできるのは遺言(遺贈)であり、死因贈与は契約なので法定代理人の同意を要する(961条・962条・5条1項)。
司法書士令和4年度 問4ア
未成年者は、法定代理人の同意を得なくても、債務の免除を受けることができる。
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正しい
正しい。未成年者は、権利を得るだけの行為(債務の免除を受けること)は単独でできる(5条1項ただし書)。
司法書士平成31年度 問4ア
法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産は、未成年者が自由に処分することができる。
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正しい
正しい。法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産は、未成年者が自由に処分することができる(民法5条3項後段)。
司法書士平成26年度 問22ア
未成年者である相続人が相続の承認又は放棄をするためには、その法定代理人の同意又はその代理によることを要しない。
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誤り
誤り。相続の承認・放棄は単に権利を得又は義務を免れる行為ではないため、未成年者は法定代理人の同意を得てするか法定代理人が代理してしなければならない(民法5条)。
宅建令和6年 問8肢4改正前の出題
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
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規定されている
規定されている。民法5条1項(未成年者の法定代理人の同意)。
問題で確認する
第5条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。