第一編 総則/第五章 法律行為/第三節 代理
民法 第110条(権限外の行為の表見代理)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 権限外行為に対する表見代理の成立:現に授与した権限を超える行為でも、相手方に権限を信ずべき正当な理由があれば本人の責任となる。
- 権限外の行為における権限授与の表示の要否:権限外行為の表見代理は授与された権限と正当な理由が要件で、権限授与の表示は不要である。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第110条(権限外の行為の表見代理)
前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
この条文の〇×問題(2問)
権限外行為に対する表見代理の成立
甲は、乙に対し、一回の取引につき百万円を超える金額では契約しない旨の限定を付して商品の購入を委任した。その後、乙が百万円を超える金額で丙と購入契約をした場合でも、従前の取引の経緯等から丙が乙に権限があると信ずべき正当な理由があるときは、甲はその契約について責任を負う。
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正解 ○
正しい。民法110条は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、109条1項本文を準用して本人に責任を負わせる。授与権限を超える行為でも、正当な理由に基づく第三者の信頼は保護される。
学習ポイント:現に授与した権限を超える行為でも、相手方に権限を信ずべき正当な理由があれば本人の責任となる。
第110条、関連:第109条1項
権限外の行為における権限授与の表示の要否
代理人に対して現に一定の権限が授与されていた場合でも、その範囲を超える行為については、本人が第三者に対して代理権を与えた旨の表示をしていなければ、第三者が権限を信じたことにどれほどの理由があっても、本人が責任を負うことはない。
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正解 ×
誤り。民法110条が準用するのは109条1項本文の責任の効果であり、権限外行為の表見代理は現に授与された権限の存在と第三者の正当な理由を基礎とする。代理権授与の旨の表示は要件とされておらず、表示を要するのは109条1項の類型である。
学習ポイント:権限外行為の表見代理は授与された権限と正当な理由が要件で、権限授与の表示は不要である。
第110条、関連:第109条1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和6年 問32肢5
Aが法人で、Bがその理事である場合、Aの定款に甲の売却に関しては理事会の承認が必要である旨の定めがあり、Bが、理事会の承認を得ないままにAを売主、Cを買主とする本件契約を締結したとき、Cが、その定款の定めを知っていたとしても、理事会の承認を得ていると過失なく信じていたときは、本件契約は有効である。
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妥当である
理事Bが定款上の理事会承認を得ずに契約した場合、Cが承認を得ていると過失なく信じていたときは表見代理により契約は有効(民法110条類推・判例)。
行政書士令和元年 問28ウ
代理人が本人になりすまして、直接本人の名において権限外の行為を行った場合に、相手方においてその代理人が本人自身であると信じ、かつ、そのように信じたことにつき正当な理由がある場合でも、権限外の行為の表見代理の規定が類推される余地はない。
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代理人が本人になりすました場合でも相手方が本人と信じたことに正当理由があれば表見代理(110条)の類推適用の余地がある(判例)。妥当でない。
マン管令和2年度 問12肢1
Bが作成したAの委任状を真正なものとCが信じ、かつ信じたことに過失がないときには、当該売買契約は有効である。
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誤り
誤り。無権代理人自らが作成した委任状では本人が代理権授与を表示したとはいえず、表見代理は成立しない。
管業平成30年度 問4肢1
Bが、Cとの間で、甲の売買契約を締結した場合において、Bの無権代理行為について表見代理が成立するときでも、Cは、Aに対して表見代理の成立を主張せず、Bに対して、無権代理人としての責任を追及することができる。
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正しい
正しい。表見代理が成立する場合でも、相手方は表見代理の成立を主張せず無権代理人の責任を追及することを選択できる(判例)。
問題で確認する
第110条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。