第三編 債権/第一章 総則/第二節 債権の効力/第三款 詐害行為取消権/第一目 詐害行為取消権の要件
民法 第424条(詐害行為取消請求)
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この条の要点
- 財産権を目的としない行為への不適用:相続放棄や人身上の行為など財産権を目的としない行為は、悪意でも取消しの対象外である。
- 被保全債権の発生原因時期の限定:被保全債権は詐害行為前の原因に基づくことが必要。原因が行為前なら発生が後でもよい。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第424条(詐害行為取消請求)
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
②前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
③債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
④債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。
この条文の〇×問題(2問)
財産権を目的としない行為への不適用
債務者が債権者を害することを知りながら相続の放棄をした場合、その放棄によって債務者の責任財産が増えるのを妨げられたとしても、債権者はこの相続の放棄を取り消すよう裁判所に請求することはできない。
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正解 ○
正しい。民法424条2項は、財産権を目的としない行為については詐害行為取消の規定を適用しないと定める。相続の放棄は相続人の意思に基づく一身的・身分的な行為であり、債務者が債権者を害する意図をもって放棄したとしても取消請求の対象にならない。対象になるのは財産権を目的とする行為に限られる。
学習ポイント:相続放棄や人身上の行為など財産権を目的としない行為は、悪意でも取消しの対象外である。
第424条2項、関連:第938条・第939条
被保全債権の発生原因時期の限定
債務者が債権者を害することを知って財産を無償で譲渡し、その譲渡によって利益を受けた者も行為の時にその事実を知っていた場合、債権者は、その譲渡行為の後の原因に基づいて債権を取得した者であっても、その行為の取消しを請求することができる。
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正解 ×
誤り。詐害行為取消請求ができるのは、被保全債権が取消しの対象となる行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限られる(424条3項)。債権の具体的な発生が行為の後でも、その原因が行為前にあれば対象となり得るが、行為後の原因に基づく債権では取消しを請求できない。債務者と受益者の双方が悪意でもこの要件は満たされない。
学習ポイント:被保全債権は詐害行為前の原因に基づくことが必要。原因が行為前なら発生が後でもよい。
第424条3項・1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士平成28年 問32肢4
甲不動産がAからB、AからCに二重に譲渡され、Cが先に登記を備えた場合には、AからCへの甲不動産の譲渡によりAが無資力になったときでも、Bは、AからCへの譲渡を詐害行為として取り消すことはできない。
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誤り
Aの処分で無資力となった場合、BはAからCへの譲渡を詐害行為として取消しできる(最判昭36.7.19)。誤り。
行政書士平成28年 問32肢5
詐害行為取消権の立証責任に関しては、債務者の悪意と同様に、受益者および転得者側の悪意についても債権者側にある。
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誤り
受益者・転得者の悪意の立証責任は判例法理上受益者側にあると解される(悪意でなかったことの立証)。誤り。
行政書士平成25年 問30肢1
遺産分割協議は、共同相続人の間で相続財産の帰属を確定させる行為であるが、相続人の意思を尊重すべき身分行為であり、詐害行為取消権の対象となる財産権を目的とする法律行為にはあたらない。
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妥当ではない
遺産分割協議は財産権を目的とする法律行為であり、詐害行為取消権の対象となりうる(判例)。妥当ではない。
行政書士平成25年 問30肢2
相続放棄は、責任財産を積極的に減少させる行為ではなく、消極的にその増加を妨げる行為にすぎず、また、相続放棄は、身分行為であるから、他人の意思によって強制されるべきではないので、詐害行為取消権行使の対象とならない。
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相続放棄は責任財産を積極的に減少させるのではなく増加を妨げる行為にすぎず、身分行為として強制すべきものでもないので、詐害行為取消権の対象とならない(判例)。妥当。
行政書士平成25年 問30肢3
離婚における財産分与は、身分行為にともなうものではあるが、財産権を目的とする法律行為であるから、財産分与が配偶者の生活維持のためやむをえないと認められるなど特段の事情がない限り、詐害行為取消権の対象となる。
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妥当ではない
財産分与が対象となるのは財産分与に仮託して財産処分がされたと認められる等の特段の事情がある場合に限られ、原則として対象となるわけではない(判例)。妥当ではない。
行政書士平成25年 問30肢4
詐害行為取消権は、総ての債権者の利益のために債務者の責任財産を保全する目的において行使されるべき権利であるから、債権者が複数存在するときは、取消債権者は、総債権者の総債権額のうち自己が配当により弁済を受けるべき割合額でのみ取り消すことができる。
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妥当ではない
取消しは被保全債権の範囲内ででき、自己が配当により受けるべき割合額に限られるものではない。妥当ではない。
行政書士平成25年 問30肢5
詐害行為取消権は、総ての債権者の利益のために債務者の責任財産を保全する目的において行使されるべき権利であるから、取消しに基づいて返還すべき財産が金銭である場合に、取消債権者は受益者に対して直接自己への引渡しを求めることはできない。
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妥当ではない
返還すべき財産が金銭である場合、取消債権者は受益者に対し直接自己への支払いを求めることができる(判例)。妥当ではない。
司法書士令和6年度 問16ア
BがCから新たに借入れを行うと同時に同額の担保を供与した場合において、当該借入れ及び担保供与によりBが他の債権者を害することとなる処分をするおそれを現に生じさせたときは、Aは、BとCとが通謀して他の債権者を害する意図をもってこれを行ったときに限り、BのCに対する当該担保供与行為について詐害行為取消請求をすることができる。
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誤り
誤り。新たな借入れと同時の担保供与でも、それにより他の債権者を害する処分をするおそれを現に生じさせたときは詐害行為となり得る。取消には受益者Cの悪意で足り、BとCの通謀は要しない(424条・判例)。
マン管令和5年度 問13肢2
BのAに対する債権がAのCに対する贈与の前の原因に基づいて生じたものではない場合には、Bは詐害行為取消請求をすることができない。
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正しい
正しい。取消しの対象となる債権は、詐害行為の前の原因に基づいて生じたものに限られる。
問題で確認する
第424条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。