第三編 債権/第一章 総則/第六節 債権の消滅/第一款 弁済/第一目 総則
民法 第474条(第三者の弁済)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 正当な利益を有する第三者の弁済と債務者の意思:債務者の意思に反して弁済できないのは正当な利益のない第三者に限られる。
- 債権者の意思に反する弁済の制限とその例外要件:債権者の意思に反して弁済できるのは、委託弁済であることを債権者が知っていたときのみ。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第474条(第三者の弁済)
債務の弁済は、第三者もすることができる。
②弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。
③前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。
④前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。
条文の要点
第三者の弁済とは、債務者でない者が債権者に対してする弁済で、原則として誰でもすることができます(474条1項)。
弁済に正当な利益があるかにより、債務者や債権者の反対を受けるかが変わります。2項・3項の意思による制限は利益のない第三者だけにかかりますが、4項の債務の性質や禁止・制限の特約は別です。
第三者の弁済の制限のかかり方
2項・3項の制限は正当な利益を有しない第三者に限られます。物上保証人・担保不動産の第三取得者・保証人など弁済に法律上の利害関係を持つ者は、債務者にも債権者にも反対されても弁済できます。利益のない第三者は債務者の意思に反する弁済をできませんが、債権者がその反対を知らなければ有効です。債権者の反対に対しては、債務者から委託を受けた弁済であることを債権者が知っていた場合に限り弁済できます。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 第三者であっても、債権者に対する弁済は原則としてできる |
| 2項 | 例外 | 正当な利益を有しない第三者は債務者の意思に反する弁済ができない。ただし債権者がその反対を知らなければ有効 |
| 3項 | 例外 | 同じく利益を有しない第三者は債権者の意思に反しても弁済できない。ただし債務者の委託を受けた弁済と債権者が知っていればできる |
| 4項 | 例外 | 債務の性質上第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が禁止・制限の意思表示をしたときは、前三項を適用しない |
具体例
AがB銀行から借金をし、Cが自己の土地に抵当権を設定してAの債務を担保しています。Aは返済に反対し、Bもその反対を知っています。第三者弁済を禁じる特約はなく、CはBに全額を支払いました。
Cは物上保証人として弁済に正当な利益を有するので、Aの意思に反しても弁済は有効で、Cは弁済により債権者Bに代位します。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Cが担保も保証も提供していないAの友人にすぎなかった場合に変えます。
Cは正当な利益を有しないのでAの意思に反する弁済はできず、Bが知っている以上、受領しても弁済としての効力は生じません。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 行政書士平成25年 問32ウ
借地人の建物の賃借人は地代債務に利害関係がないから承諾なく弁済できないとした誤り。その賃借人は地代弁済につき正当な利益を有する
- マン管令和4年度 問14肢3
正当な利益を有する者の弁済でも、債務者の意思に反すると債権者が知っていれば拒絶できるとした誤り。知識の有無が効くのは利益を有しない第三者だけ
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
判例
弁済をするについて利害の関係を有する者の意義最高裁判所第三小法廷 1964年4月21日
利害の関係を有する者とは、物上保証人や担保不動産の第三取得者のように、弁済をすることに法律上の利害関係を有する第三者をいう
建物賃借人による地代債務の第三者弁済最高裁判所第二小法廷 1988年7月1日
借地上の建物の賃借人は、土地賃借権が消滅すると土地賃貸人に対して建物から退去し土地を明け渡す義務を負うため、その消滅を防ぐ地代の弁済について法律上の利害関係を有する
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
正当な利益を有する第三者の弁済と債務者の意思
債務の保証人や債務者の財産に担保を提供した者のように、弁済をするについて正当な利益を有する第三者は、債務者が弁済を望まない旨の意思を明らかにしている場合でも、弁済をすることができる。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。債務者の意思に反する弁済が禁じられるのは、弁済につき正当な利益を有しない第三者に限られる。保証人や物上保証人など正当な利益を有する者は債務者の意思に反しても弁済でき、弁済による代位によって保護される。
学習ポイント:債務者の意思に反して弁済できないのは正当な利益のない第三者に限られる。
第474条1項・2項、関連:第499条・第500条
債権者の意思に反する弁済の制限とその例外要件
弁済をするについて正当な利益を有しない第三者であっても、債務者の委託を受けて弁済をするのであれば、債権者が反対の意思を示している場合でも弁済をすることができる。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。債権者の意思に反する弁済が許されるのは、債務者の委託を受けた第三者が弁済する場合で、かつそのことを債権者が知っていたときに限られる。債権者が反対しており委託弁済であることを知らないときは弁済できない。
学習ポイント:債権者の意思に反して弁済できるのは、委託弁済であることを債権者が知っていたときのみ。
第474条3項ただし書
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士平成25年 問32ウ
Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、Cは、Aに無断で甲土地の賃料をBに対して支払うことはできない。
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誤り
CはAの土地賃料債務について弁済につき正当な利益を有する第三者として、Aに無断でもBに対して弁済することができる(民法474条)。誤り。
司法書士令和3年度 問16ア
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正しい
正しい。弁済をするについて正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反しても弁済をすることができる(474条3項)。正当な利益を有しない第三者は債務者の意思に反して弁済できない。
司法書士平成30年度 問17イ
法律行為の当事者が第三者の弁済を禁止する意思を表示したときは、弁済について利害関係を有する第三者であっても、弁済をすることができない。
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正しい
正しい。当事者が第三者の弁済を禁止する意思を表示したときは、利害関係を有する第三者も弁済できない(民法474条4項)。
司法書士平成27年度 問44ア
契約の当事者以外の第三者は、当事者がその弁済について反対の意思を表示した場合には、自ら弁済供託をすることができない。
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正しい
正しい。当事者が弁済について反対の意思を表示した場合、第三者弁済ができないため第三者は弁済供託もできない(民法474条2項)。
マン管令和4年度 問14肢1
AB間の賃貸借契約において、B以外の第三者の賃料支払を禁止していたときは、Cが弁済をするについて正当な利益を有していても、AはCの弁済を拒絶することができる。
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正しい
正しい。第三者弁済を禁止する特約があれば、正当な利益を有する者の弁済も債権者は拒絶できる(474条1項)。
マン管令和4年度 問14肢3
AB間の賃貸借契約において、B以外の第三者の賃料支払を禁止又は制限していなかった場合、Cが弁済をするについて正当な利益を有していても、Cの弁済がBの意思に反していることをAが知っていたときは、AはCの弁済を拒絶することができる。
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誤り
誤り。弁済につき正当な利益を有する者は債務者の意思に反しても弁済でき、債権者は拒絶できない(474条3項は正当な利益のない第三者に限る)。
マン管平成30年度 問13肢1
Aは、BのC銀行に対する債務について、Bの意思に反してもC銀行に対して、第三者としての弁済をすることができる。
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正しい
正しい。物上保証人であるAは債務の履行に利害関係を有する第三者として、債務者Bの意思に反しても弁済をすることができる。
問題で確認する
第474条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。