第一編 総則/第五章 法律行為/第四節 無効及び取消し
民法 第121条の2(原状回復の義務)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 意思無能力者等の返還範囲の基準時:返還範囲の特例では能力の有無を行為の時で判断する。給付時の回復は返還範囲を変えない。
- 無効な無償行為に基づく善意受領者の返還範囲:無償行為の受領者が善意でも現存利益の限度で返還義務は残る。免除ではなく軽減。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第121条の2(原状回復の義務)
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
②前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
③第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。
この条文の〇×問題(2問)
意思無能力者等の返還範囲の基準時
行為の時に意思能力を有しなかった者が無効な行為に基づく給付を受け、その後意思能力を回復した場合でも、その行為によって現に利益を受けている限度においてのみ返還の義務を負う。
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正解 ○
正しい。意思能力を有しなかった者および制限行為能力者であった者の返還範囲の特例は「行為の時」の能力で判断される。給付時や返還請求時に意思能力を回復していても、行為時に能力を欠いていれば、その行為によって現に利益を受けている限度の返還義務となる。
学習ポイント:返還範囲の特例では能力の有無を行為の時で判断する。給付時の回復は返還範囲を変えない。
第121条の2第3項
無効な無償行為に基づく善意受領者の返還範囲
無効な贈与契約に基づいて金銭の給付を受けた者が、給付を受けた当時その契約が無効であることを知らなかった場合、善意であるため、その給付に関する返還義務を一切負わない。
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正解 ×
誤り。無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であることを知らなかったときでも、その行為によって現に利益を受けている限度において返還の義務を負う。返還義務が免除されるのではなく、現存利益の限度に軽減されるにとどまる。この軽減は無償行為に限った特例である。
学習ポイント:無償行為の受領者が善意でも現存利益の限度で返還義務は残る。免除ではなく軽減。
第121条の2第2項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和4年度 問4オ
未成年者を一方当事者とする売買契約が行為能力の制限を理由として取り消されて無効となった場合には、当該売買契約に基づく債務の履行として給付を受けた相手方は、現に利益を受けている限度において、その給付について返還の義務を負う。
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誤り
誤り。取り消された行為に基づく給付を受けた相手方は原状回復義務を負い(121条・121条の2第1項)、「現に利益を受けている限度」に限定されない。現利益限度の返還は制限行為能力者本人の義務(121条の2第3項)である。
司法書士令和3年度 問5エ
AのBに対する無償行為が錯誤を理由に取り消された場合には、その行為に基づく債務の履行として給付を受けたBは、給付を受けた時にその行為が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
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正しい
正しい。取り消された無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付当時その行為が取り消し得るものであることを知らなかったとき、現存利益の限度で返還義務を負う(121条の2第2項)。
宅建令和6年 問8肢2改正前の出題
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
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規定されている
規定されている。民法121条の2(無効な行為に基づく給付の原状回復義務)。
解説で第121条の2を参照している問
問題で確認する
第121条の2の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。