第三章 登記手続/第五節 株式会社の登記
商業登記法 第47条(設立の登記)
この条の要点
- 設立登記の申請人:設立登記は会社を代表すべき者の単独申請。発起人全員の共同ではない。
- 発起人同意の証明:発起人全員の同意・一致が必要な事項は、同意等を証する書面も添付。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第47条(設立の登記)
設立の登記は、会社を代表すべき者の申請によつてする。
②設立の登記の申請書には、法令に別段の定めがある場合を除き、次の書面を添付しなければならない。
一 定款
二 会社法第五十七条第一項の募集をしたときは、同法第五十八条第一項に規定する設立時募集株式の引受けの申込み又は同法第六十一条の契約を証する書面
三 定款に会社法第二十八条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、次に掲げる書面
イ 検査役又は設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である場合にあつては、設立時取締役及び設立時監査役)の調査報告を記載した書面及びその附属書類
ロ 会社法第三十三条第十項第二号に掲げる場合には、有価証券(同号に規定する有価証券をいう。以下同じ。)の市場価格を証する書面
ハ 会社法第三十三条第十項第三号に掲げる場合には、同号に規定する証明を記載した書面及びその附属書類
四 検査役の報告に関する裁判があつたときは、その謄本
五 会社法第三十四条第一項の規定による払込みがあつたことを証する書面(同法第五十七条第一項の募集をした場合にあつては、同法第六十四条第一項の金銭の保管に関する証明書)
六 株主名簿管理人を置いたときは、その者との契約を証する書面
七 設立時取締役が設立時代表取締役を選定したときは、これに関する書面
八 設立しようとする株式会社が指名委員会等設置会社であるときは、設立時執行役の選任並びに設立時委員及び設立時代表執行役の選定に関する書面
九 創立総会及び種類創立総会の議事録
十 会社法の規定により選任され又は選定された設立時取締役、設立時監査役及び設立時代表取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあつては設立時監査等委員である設立時取締役及びそれ以外の設立時取締役並びに設立時代表取締役、設立しようとする株式会社が指名委員会等設置会社である場合にあつては設立時取締役、設立時委員、設立時執行役及び設立時代表執行役)が就任を承諾したことを証する書面
十一 設立時会計参与又は設立時会計監査人を選任したときは、次に掲げる書面
イ 就任を承諾したことを証する書面
ロ これらの者が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く。
ハ これらの者が法人でないときは、設立時会計参与にあつては会社法第三百三十三条第一項に規定する者であること、設立時会計監査人にあつては同法第三百三十七条第一項に規定する者であることを証する書面
十二 会社法第三百七十三条第一項の規定による特別取締役(同項に規定する特別取締役をいう。以下同じ。)による議決の定めがあるときは、特別取締役の選定及びその選定された者が就任を承諾したことを証する書面
③登記すべき事項につき発起人全員の同意又はある発起人の一致を要するときは、前項の登記の申請書にその同意又は一致があつたことを証する書面を添付しなければならない。
④会社法第八十二条第一項(同法第八十六条において準用する場合を含む。)の規定により創立総会又は種類創立総会の決議があつたものとみなされる場合には、第二項の登記の申請書に、同項第九号の議事録に代えて、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。
条文の要点
設立の登記とは、株式会社の成立のための登記で、発起人全員の共同申請ではなく会社を代表すべき者の申請によってするものです(47条1項)。
申請書には定款・払込みがあったことを証する書面・創立総会の議事録など法定の書面を添付しなければなりません。登記事項に発起人全員の同意や一致を要するものがあれば、その同意等を証する書面も添付します。
設立の登記の添付書面
募集設立では払込みの証明として金銭の保管に関する証明書(株式払込金保管証明書)が要り、発起設立だけで使える合てつ書面では代えられません。現物出資財産の価額の総額が500万円を超えず検査役の調査を要しない場合でも、設立時取締役(監査役設置会社では設立時監査役も)の調査報告を記載した書面の添付は要ります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 設立の登記は会社を代表すべき者が申請人になる |
| 2項 | 要件 | 定款・払込みを証する書面・議事録・就任承諾を証する書面など法定書面を添付する |
| 3項 | 要件 | 発起人全員の同意や一致を要する登記事項には、その同意等を証する書面を添付する |
| 4項 | 例外 | 創立総会等の決議があったものとみなされる場合は、議事録に代えて該当を証する書面を添付する |
具体例
株式会社Aの募集設立で、会社を代表すべき設立時代表取締役Bが申請する。他の法定添付書面はそろっており、払込みの証明として払込取扱機関の金銭の保管に関する証明書を添付した。
募集設立に必要な47条2項5号の払込証明の要件を満たす。発起人全員の共同申請は要らない。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、払込証明の添付書面だけをB作成の払込証明と預金通帳の写しを合わせた書面に変える。
その合てつ書面は発起設立で利用できるが、募集設立の保管証明書の代わりにはならず、47条2項5号の添付要件を満たさない。
関連条との違い
- 商業登記法 第46条:46条は添付書面の通則。47条は株式会社の設立の登記に特有の申請人と添付書面を定める
- 商業登記法 第51条:51条は他の登記所管轄への本店移転について旧所在地経由・新旧同時申請を定める。47条は会社を成立させる設立登記の申請人と添付書面を定める
- 会社法 第49条:会社法49条は本店所在地での設立の登記によって株式会社が成立すると定める実体規定。47条はその登記をどう申請するかの手続規定
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和4年度 問63エ
募集設立でも発起人の出資部分に預金通帳写しの合てつ書面を使えるとする誤り。募集設立では保管証明書が要る
- 司法書士平成29年度 問63ウ
発起設立の合てつ書面の払込証明を設立時監査役が作成できるとする誤り。設立時代表取締役等の証明書に預金通帳等の写しを合わせる
- 司法書士平成26年度 問64ア
現物出資の価額が500万円以下なら設立時取締役等の調査報告書面も不要とする誤り。検査役は不要でも調査報告書面は添付する
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
設立登記の申請人
株式会社の設立の登記は、発起人全員が共同して申請しなければならない。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。設立の登記は、会社を代表すべき者の申請によってする。発起人全員による共同申請ではなく、設立時代表取締役等の会社を代表すべき者が単独で申請する。なお、発起人全員の同意を要する事項がある場合は、その同意を証する書面を添付する。
学習ポイント:設立登記は会社を代表すべき者の単独申請。発起人全員の共同ではない。
第47条1項
発起人同意の証明
株式会社の設立の登記で、登記すべき事項が発起人全員の同意又はある発起人の一致を要するものであるとき、申請にはその同意又は一致の存在を裏付ける証明書類を添えることが義務付けられている。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。発起人全員の同意又はある発起人の一致を要する登記すべき事項については、設立の登記の申請書に、その同意又は一致があったことを証する書面を添付しなければならない。定款・払込証明等の列挙書面に加わる添付書面である。
学習ポイント:発起人全員の同意・一致が必要な事項は、同意等を証する書面も添付。
第47条3項
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和4年度 問63ア
発起人が創立総会の目的である設立時取締役の選任について提案をした場合において、当該提案につき議決権を行使することができる設立時株主の全員が書面により同意の意思表示をしたときは、提案を可決する旨の決議があったものとみなされた事項を内容とする創立総会の議事録を添付して、設立の登記を申請することができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。設立時株主全員が書面で同意したときは創立総会の決議があったものとみなされ(会社法82条1項)、この場合も、決議があったものとみなされた事項を内容とする議事録を作成しなければならない(会社法施行規則16条4項1号)。設立の登記の申請書には、決議があったものとみなされる場合に該当することを証する書面を添付するが(商業登記法47条4項)、この議事録をその書面として添付することができる。
司法書士令和4年度 問63ウ
設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合において、定款に設立時募集株式の数、設立時募集株式1株と引換えに払い込む金銭の額及び設立時募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日に関する事項の定めがないときは、設立の登記の申請書には、当該事項を決定した発起人全員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。設立時募集株式に関する事項を発起人全員の同意で定めた場合(会社法58条2項)、その同意を証する書面を添付する(商登47条3項)。
司法書士令和4年度 問63エ
払込金のうち発起人の出資の履行部分については、金銭の保管に関する証明書に代えて、払込取扱金融機関における預金口座に入金の記録のある預金通帳の写しを合てつした設立時代表取締役の作成に係る払込取扱金融機関に払い込まれた金銭を証明する書面を添付して、設立の登記を申請することができる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。預金通帳の写しを合てつした払込金証明書面は発起設立でのみ使用でき、募集設立では発起人の出資部分も保管証明書を要する(商登47条2項5号かっこ書)。
司法書士平成29年度 問63ウ
当該設立が発起設立であり、設立しようとする会社が監査役設置会社である場合において、出資として金銭の払込みがされたときは、設立の登記の申請書に、設立時監査役の作成に係る金銭の払込みがあったことを証する書面を添付して、設立の登記の申請をすることができる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。発起設立の金銭払込みの証明は、発起人の口座等への払込みが分かる書面(通帳等)によるものであり(商登47条2項5号)、設立時監査役の証明書では代替できない。
司法書士平成27年度 問63ア
当該設立が募集設立である場合において、定款に記載した発行可能株式総数を払込期日の後に変更したときは、発行可能株式総数について決議した創立総会の議事録を添付しなければならない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。払込期日後の発行可能株式総数の変更は創立総会の決議によるので(会社法96条)、当該決議をした創立総会の議事録を添付する(商業登記法47条2項9号)。
司法書士平成26年度 問64ア
現物出資財産について定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合には、設立の登記の申請書に、設立時取締役( 設立する株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役 )の調査報告を記載した書面を添付することを要しない。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。現物出資財産の価額の総額が500万円を超えない場合は検査役の調査を要しないが(会社法33条10項1号)、設立時取締役(監査役設置会社では設立時取締役及び設立時監査役)の調査報告を記載した書面の添付は必要である(商業登記法47条2項3号イ)。
司法書士平成26年度 問64ウ
検査役の報告を受けた裁判所によって、現物出資財産の価額を変更する決定がされた場合には、設立の登記の申請書に、当該決定書の謄本を添付しなければならない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。検査役の報告を受けた裁判所により現物出資財産の価額を変更する決定がされた場合、設立の登記の申請書に当該決定書の謄本を添付しなければならない(商業登記法47条2項4号)。
司法書士平成26年度 問64エ
現物出資財産が市場価格のある有価証券であって検査役の選任及び調査を要しない場合には、設立の登記の申請書に添付すべき有価証券の市場価格を証する書面は、当該現物出資財産の給付の日の最終の市場価格を証するものでなければならない。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。市場価格のある有価証券で検査役の調査を要しない場合に添付すべき市場価格を証する書面は、定款認証日における最終市場価格(取引がないときはその後最初の売買取引の成立価格)又は公開買付け等の価格のうちいずれか高い額を証するもので足り(商業登記法47条2項3号ロ・会社法33条10項2号)、給付の日の最終市場価格に限られない。
司法書士平成25年度 問64ア
正誤と理由を見る
適切
適切。合てつ書面は発起設立では出資履行書面となるが、募集設立では払込取扱機関の株式払込金保管証明書が必要で用いられない(商登法47条2項5号)。
問題で確認する
第47条の内容は2問の〇×問題と5問の条文穴埋めで確認できます。