第七章 雑則
宅地建物取引業法 第78条(適用の除外)
この条の要点
- 業者間取引の適用除外:宅建業者相互間の取引では、クーリングオフなど所定の特則は適用されない。
条文原文
第78条(適用の除外)
この法律の規定は、国及び地方公共団体には、適用しない。
②第三十三条の二及び第三十七条の二から第四十三条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。
条文の要点
業者間取引の適用除外とは、宅建業者相互間の取引に33条の2と37条の2から43条までの規定を適用しないことです(78条2項)。
買主保護の規定を、専門知識を持つ業者どうしの取引にまで及ぼさない趣旨です。ただし列挙された条だけが対象で、35条の書面交付や37条書面、34条の2の媒介契約規制などは業者相手にも働きます。
業者間取引の適用除外の範囲
除外されるのは他人物売買の制限と、クーリング・オフ・手付金保全・割賦販売など37条の2以降の買主保護規定です。媒介契約の書面交付・処理状況の報告・35条書面・37条書面・報酬制限・勧誘の禁止行為は含まれず、相手が業者でも守らなければなりません。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 例外 | 国と地方公共団体には、この法律の規定全体が適用されない |
| 2項 | 例外 | 宅建業者相互間の取引には、33条の2の他人物売買制限と37条の2から43条までの規定を適用しない |
| 2項 | 要件 | 列挙外の規定は業者相手にも適用されるので、35条・37条・34条の2・46条・47条の2などは通常どおり守る |
具体例
宅建業者Aは自己の所有に属しない宅地につき、自ら売主として宅建業者Bと売買契約を締結しようとしている。
33条の2は業者相互間取引に適用されないので、Aは取得契約を結んでいなくてもBと契約できる。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、買主Bが宅建業者ではない個人だった場合に変えます。
78条2項の除外が働かず、33条の2の例外事由がなければAは契約を締結できない。
関連条との違い
- 宅建業法 第35条:重要事項説明は除外対象に入らない。相手方が業者の場合は説明自体が不要になる読替(35条6項)があるが、書面の交付は残る
- 宅建業法 第34条の2:34条の2の媒介契約書面の交付や専任媒介の期間制限・報告義務は除外対象外で、依頼者が業者でも同じ規制がかかる
- 宅建業法 第47条:47条・47条の2の禁止行為は除外対象外。業者相手の勧誘でも断定的判断の提供や威迫は禁止される
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建平成30年 問28イ
買主が業者なら37条書面を交付しなくてよいとする誤り。37条は除外対象の37条の2以降に含まれない
- 宅建令和元年 問31ウ
依頼者が業者なら専任媒介の業務処理状況の報告をしなくてよいとする誤り。34条の2の義務は業者相手にも残る
- 宅建平成29年 問43イ
依頼者が業者なら専任媒介契約の自動更新を合意できるとする誤り。期間制限と特約無効の規定は業者相手にも働く
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年4月1日施行版
この条文の〇×問題(1問)
業者間取引の適用除外
宅建業者Aが自ら売主として宅建業者Bへ建物を売却した場合、AとBの間の取引に宅建業法第37条の2のクーリングオフ規定は適用されない。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。第78条第2項は、第33条の2および第37条の2から第43条までを宅建業者相互間の取引に適用しない。クーリングオフを定める第37条の2もその範囲に含まれる。買主が一般消費者である場合の保護規定を、買主も宅建業者である取引へそのまま適用してはならない。ただし宅建業法の全規定が業者間取引で排除されるわけではない。
学習ポイント:宅建業者相互間の取引では、クーリングオフなど所定の特則は適用されない。
第78条第2項、第37条の2
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
宅建令和3年12月 問38ウ
宅地建物取引業者Fは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者Gと売買契約の予約を締結した。
正誤と理由を見る
違反しない
違反しない。自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約(予約を含む)の締結の制限(宅建業法33条の2)は、買主が宅地建物取引業者である場合には適用されない(同法78条2項)。
宅建令和2年10月 問42肢3
Aが宅地建物取引業者Dとの間で造成工事の完了後に締結する宅地(代金3,000万円)の売買契約においては、Aは、法第41条の2に定める手付金等の保全措置を講じないで、当該宅地の引渡し前に手付金800万円を受領することができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。Dは業者のため8種制限適用外で800万の手付金を措置なしで受領できる。
宅建令和元年 問31ウ
Bが宅地建物取引業者である場合、Aは、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況の報告をする必要はない。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。依頼者が宅建業者でも処理状況の報告義務は残る。
宅建平成30年 問28イ
宅地建物取引業者が、買主として、宅地建物取引業者との間で宅地の売買契約を締結した場合、法第37条の規定により交付すべき書面を交付しなくてよい。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。業者間取引でも37条書面の交付は必要。
宅建平成30年 問28エ
宅地建物取引業者が、宅地の売却の依頼者と媒介契約を締結した場合、当該宅地の購入の申込みがあったときは、売却の依頼者が宅地建物取引業者であっても、遅滞なく、その旨を当該依頼者に報告しなければならない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。購入申込があったときの報告義務は依頼者が業者でも変わらない。
宅建平成29年 問43イ
当該専任媒介契約の有効期間は、3月を超えることができず、また、依頼者の更新しない旨の申出がなければ自動更新とする旨の特約も認められない。ただし、Bが宅地建物取引業者である場合は、AとBの合意により、自動更新とすることができる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。自動更新の特約は依頼者が業者でも認められない(自動更新特約は無効)。
宅建平成28年 問41肢3
Aは、宅地建物取引業者でないCが所有する宅地について、自らを売主、宅地建物取引業者Dを買主とする売買契約を締結することができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約の締結の制限(宅建業法33条の2)は、買主が宅地建物取引業者である場合には適用されない(同法78条2項)。
問題で確認する
第78条の内容は1問の〇×問題で確認できます。