
「誰が」
申請できるか
授業2026年10月17日(土)・司法書士すみそら教室
所有権の登記は誰が申請できるか
- 中心の概念
- 所有権の保存の登記
- 照合した法令
- 不動産登記法(2026-06-24施行版)
すみちゃん
今日は「所有権の登記を申請できるのは誰か」の問題を出します。
第1問 所有権の保存の登記
すみちゃん
表題登記だけがある建物に、初めて所有権の登記、つまり所有権の保存の登記をします。この登記を申請できる人を5通り答えてください。
ヒントを見る
- 登記の表題部に記録されている人と、その権利を一般承継した人が出発点です。
- 確定判決・収用・区分建物も手掛かりになります。
答え・解説を見る
正解の一覧
- 表題部所有者
- 表題部所有者の相続人その他の一般承継人
- 所有権を有することが確定判決によって確認された者
- 収用によって所有権を取得した者
- 区分建物の場合の、表題部所有者から所有権を取得した者
すみちゃん
気になるポイントはありますか?
そらちゃん
区分建物だけ、買った人も申請できるのはどの条文ですか?
すみちゃん
では、一戸建てを表題部所有者から買った人はどうするのか。32条にこうあります。まず表題部所有者の名義で保存の登記をして、そのあと買主への移転の登記をする、という順番になります。
表題部所有者又はその持分についての変更は、当該不動産について所有権の保存の登記をした後において、その所有権の移転の登記の手続をするのでなければ、登記することができない。不動産登記法 32条1項
そらちゃん
1項の各号と2項を分けて覚えます。
その場で○×
所有権を有することが確定判決によって確認された者や、収用によって所有権を取得した者は、表題部所有者でなくても、当該不動産について所有権の保存の登記を申請することができる。
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正解は○。正しい。保存登記を申請できる者は、表題部所有者及びその一般承継人のほか、所有権を有することが確定判決によって確認された者、収用によって所有権を取得した者に限られる。列挙された者以外は申請できない。保存登記の申請権者は表題部所有者とその一般承継人、確定判決確認者、収用取得者の法定列挙に限られる。
表題部所有者から売買によって不動産の所有権を取得した者は、どのような種類の不動産であっても、自ら所有権の保存の登記を申請することができる。
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正解は×。誤り。表題部所有者から所有権を取得した者に保存登記の申請が認められるのは区分建物に限られ、しかも当該建物が敷地権付き区分建物であるときは当該敷地権の登記名義人の承諾を要する。表題部所有者からの取得者の申請は区分建物に限られ、敷地権付き区分建物ではさらに敷地権の登記名義人の承諾を要する。
区分建物でない建物について、所有権の登記がないまま表題部所有者から売買で所有権を取得した買主は、表題部所有者の変更の登記によることはできず、表題部所有者による保存の登記を経て所有権の移転の登記を受けることになる。
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正解は○。正しい。表題部所有者又はその持分の変更は、所有権の保存の登記をした後に移転の登記をする方法でなければ登記できない(32条)。区分建物でない建物の買主は保存登記の申請人になれないため(74条1項)、表題部所有者の保存登記を経て移転登記を受ける。なお、表題部所有者の相続人は直接保存登記ができ(同項1号)、区分建物では表題部所有者からの取得者も保存登記ができる(同条2項)。
この問題はどうでしたか?
第2問 売買による所有権の移転の登記
すみちゃん
売買を原因とする所有権移転登記です。この登記の申請人をそれぞれ答えてください。
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- 登記上、直接に利益を受ける側と不利益を受ける側に注目。
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正解の一覧
- 登記権利者である買主
- 登記義務者である売主
すみちゃん
気になるポイントはありますか?
そらちゃん
60条の「別段の定め」って、どういう場合のことですか?
すみちゃん
60条は、権利に関する登記の申請を、登記権利者と登記義務者が共同してするのが原則だと定めています。
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。不動産登記法 60条1項
その場で○×
売買を原因とする所有権の移転の登記は、買主である登記権利者が単独で申請するのではなく、売主である登記義務者と共同して申請しなければならない。
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正解は○。正しい。権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。売買による所有権移転登記はこの共同申請原則の典型例である。権利に関する登記は登記権利者と登記義務者の共同申請が原則であり、売買による移転登記はその典型である。
売買契約の仲介業者や決済の立会人のような関係者も、その売買による所有権移転登記によって間接的な影響を受ける以上、当該登記の登記義務者に含まれる。
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正解は×。誤り。登記義務者は登記により登記上直接に不利益を受ける登記名義人に限られ、間接に不利益を受ける者は除かれる。仲介業者や立会人は直接の利益・不利益を受けないため当事者に含まれない。取引関与と登記上の当事者性は別の問題である。
権利に関する登記を共同して申請する当事者は、その登記によって登記上直接に利益を受ける者と直接に不利益を受ける登記名義人に限られ、間接に利益や不利益を受ける者は当事者とならない。
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正解は○。正しい。登記権利者は登記上直接に利益を受ける者、登記義務者は登記上直接に不利益を受ける登記名義人に限られ、いずれも間接に利益・不利益を受ける者は除かれる。そのため共同申請の当事者も直接の利害関係者に限定される。間接的な利害関係人を当事者に含めると共同申請の要件判断自体を誤るため、定義の限定まで確認する必要がある。
この問題はどうでしたか?
第3問 単独で申請できる移転の登記
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- 相続・合併のほか、登記手続を命ずる確定判決に注目。
- 遺贈は受ける人の立場が鍵です。公共事業のために取得する場面も考えましょう。
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正解の一覧
- 相続又は法人の合併による権利の移転の登記
- 登記手続を命ずる確定判決による登記
- 相続人に対する遺贈による所有権の移転の登記
- 収用による所有権の移転の登記(起業者が申請)
すみちゃん
気になるポイントはありますか?
そらちゃん
ひとりで申請できる場合は、どの条文にまとまっていますか?
その場で○×
相続により不動産の所有権を取得した相続人は、被相続人の相手方となるべき者がすでに存在しないため、登記権利者として単独で所有権の移転の登記を申請することができる。
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正解は○。正しい。相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。共同申請の相手方が存しない一般承継には単独申請が認められる。相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、共同申請の相手方が存しないため登記権利者の単独申請が認められる。
被相続人から相続人ではない第三者への遺贈によって不動産の所有権を取得した受遺者も、相続の場合と同様に、登記権利者として単独で所有権の移転の登記を申請することができる。
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正解は×。誤り。遺贈による所有権の移転の登記で単独申請が認められるのは相続人に対する遺贈に限られる。相続人以外の第三者への遺贈では遺贈義務者との共同申請が必要である。遺贈による所有権移転で単独申請ができるのは相続人に対する遺贈に限られ、第三者への遺贈は共同申請が必要である。
土地収用法による収用の裁決があった場合の当該不動産の所有権の移転の登記は、被収用者と共同せず、起業者が単独で申請することができる。
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正解は○。正しい。不動産の収用による所有権の移転の登記は、共同申請の原則にかかわらず起業者が単独で申請できる。公権力による強制的な権利取得であり、被収用者の協力を要件としない。国等が起業者のときは官庁・公署が嘱託する。
この問題はどうでしたか?
第4問 登記前に売主が亡くなったとき
すみちゃん
土地の売買契約をしたあと、登記をする前に売主が亡くなりました。買主への所有権の移転の登記は、誰と誰が申請しますか。
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- 買主の立場は変わりません。亡くなった売主の立場を引き継ぐのは誰でしょう。
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正解の一覧
- 登記権利者である買主
- 登記義務者である売主の相続人
すみちゃん
気になるポイントはありますか?
そらちゃん
売主の相続人は、どの条文で申請人になるんですか?
そらちゃん
売主の相続人が、売主の地位で共同して申請するんですね。
その場で○×
所有権移転登記の登記義務者が死亡した場合、その相続人は被相続人の登記義務者としての地位を承継し、登記権利者と共同して当該登記を申請することができる。
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正解は○。正しい。登記権利者・登記義務者・登記名義人が申請人となれる場合に一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も当該権利に関する登記を申請することができる。権利に関する登記でも申請人となれる者に一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人が申請権を承継する。
登記義務者から対象の不動産を譲り受けた買主は、特定承継人として譲渡人の登記義務者としての申請権を承継するから、自らが登記義務者となって当該権利に関する登記を申請することができる。
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正解は×。誤り。申請権が承継されるのは相続その他の一般承継の場合に限られる。売買による特定承継人は譲渡人の申請権を承継せず、義務者としての地位も当然には引き継がない。申請権の承継は一般承継に限定され、売買による特定承継人は譲渡人の申請権や義務者としての地位を承継しない。
この問題はどうでしたか?
まとめ
| 場面 | 申請できる人 | 条文 |
|---|---|---|
| 所有権の保存の登記 | 表題部所有者・その相続人その他の一般承継人・確定判決で所有権を確認された者・収用で取得した者、区分建物なら表題部所有者から取得した者 | 74条1項・2項 |
| 売買による所有権の移転 | 登記権利者(買主)と登記義務者(売主)の共同 | 60条、2条12号・13号 |
| 単独で申請できる移転 | 相続・法人の合併、相続人に対する遺贈、登記手続を命ずる確定判決、収用(起業者) | 63条、118条1項など |
| 当事者が亡くなったとき | 相続人その他の一般承継人が、その地位で申請 | 62条 |
| 所有権の登記の抹消(参考) | 所有権の移転の登記がない場合に限り、所有権の登記名義人が単独で | 77条 |
間違えやすい点
- 表題部所有者から買った人が保存の登記を申請できるのは、区分建物だけ
- 単独で申請できる遺贈は、相続人に対する遺贈だけ
- 単独申請の判決は、登記手続を命ずる確定判決(保存の登記の所有権確認の判決とは別)
関連する条文(不動産登記法)
くわしい解説

