資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

宅建と賃貸不動産経営管理士の重複範囲

宅建の勉強は賃貸不動産経営管理士(賃管)にどこまで使えるのか。 「範囲が重なる」とはよく言われますが、このページでは両試験の本試験過去問を解説の根拠条文で突き合わせ、 実際に両方で出題された条文を数えました。あわせて賃管だけの範囲、合格率、日程、5問免除の条件を公式情報で整理しています。

最終確認:2026.10.06

早見表|宅建と賃管の違い

項目宅建賃管
試験日令和8年10月18日(日)午後1時〜午後3時(例年10月第3日曜日)令和8年11月15日(日)13時〜15時(例年11月の日曜日)
出題形式筆記試験。50問・四肢択一式(登録講習修了者は45問・試験時間1時間50分)筆記試験。四肢択一式50問・120分(賃貸不動産経営管理士講習の修了者は45問)
受験手数料8,200円12,000円(非課税)
合格発表令和8年11月25日(水)令和8年12月24日(木)予定
合格率(令和7年度)18.7%29.5%
合格基準(令和7年度)33点(50問)38問(50問)
共通して出た条文34条(両試験の該当問 計152問)

試験日・形式・手数料は各実施機関の公表情報、合格率・合格基準は宅建・賃管の合格データ(公式公表値)によります。

両方の試験で出た条文ランキング(共通34条)

両試験で最も多く問われたのは借地借家法第38条です。 上位は借地借家法の借家と、民法の賃貸借・保証の条文が占めます。 出題数は、その条文を解説の根拠にしている問の数です。

順位条文分野宅建賃管
1借地借家法第38条定期建物賃貸借等10問10問
2宅建業法第32条業務(広告・媒介契約・重要事項説明・書面交付)13問1問
3借地借家法第32条建物賃貸借の効力4問4問
4民法第606条賃貸借3問4問
5借地借家法第26条建物賃貸借契約の更新等3問4問
6借地借家法第33条建物賃貸借の効力4問3問
7民法第446条保証2問4問
8民法第887条相続総則・相続人5問1問
9民法第613条賃貸借2問3問
10民法第717条不法行為1問3問
11民法第465条の2保証1問3問
12民法第600条消費貸借・使用貸借2問2問
13借地借家法第36条建物賃貸借の効力2問2問
14借地借家法第28条建物賃貸借契約の更新等3問1問
15民法第621条賃貸借1問2問
16民法第648条委任・寄託1問2問
17民法第458条の2保証1問2問
18借地借家法第30条建物賃貸借契約の更新等1問2問
19借地借家法第31条建物賃貸借の効力1問2問
20民法第97条意思表示2問1問
21民法第251条所有権2問1問
22民法第252条所有権2問1問
23民法第541条契約総則2問1問
24民法第612条賃貸借2問1問
25民法第653条委任・寄託2問1問
26借地借家法第27条建物賃貸借契約の更新等2問1問
27民法第7条人(行為能力・失踪宣告など)1問1問
28民法第9条人(行為能力・失踪宣告など)1問1問
29民法第209条所有権1問1問
30民法第233条所有権1問1問
31民法第605条賃貸借1問1問
32民法第636条雇用・請負1問1問
33民法第637条雇用・請負1問1問
34民法第651条委任・寄託1問1問

集計対象は宅建16回分・賃管10年分の過去問の自作解説で、根拠条文を特定できた肢だけを数えています。 賃貸住宅管理業法など当サイト未収録の法令は含まないため、実際の重なりはこれより大きくなります。

宅建の知識がそのまま使える論点

共通条文は、賃貸借の成立から終了まで(更新・転貸・費用負担)と保証に集中しています。宅建で売買・物権を中心に学んだ人は、この範囲を賃貸借の目線で復習すると賃管の得点に直結します。

定期建物賃貸借(定期借家)

書面(電磁的記録を含む)で契約し、契約前に「更新がなく期間満了で終了する」ことを書面を交付して説明すること、期間1年以上なら満了の1年前から6か月前までに終了を通知することが両試験で繰り返し問われます。宅建では普通借家との違い、賃管では管理業者としての説明・通知の実務の形で出題されます。

借賃増減請求

一定期間増額しない特約は有効ですが、減額しない特約があっても減額請求はできます。協議が整わない間は相当と認める額を支払えばよく、裁判の確定後に差額を年1割の利息付きで清算します。定期借家で借賃改定の特約がある場合は適用されません。

更新と更新拒絶

期間満了の1年前から6か月前までに更新しない旨の通知等をしないと従前と同じ条件で更新したものとみなされ、賃貸人からの更新拒絶には正当事由が必要です。これらに反する賃借人に不利な特約は無効になります。

転貸・無断転貸

賃貸人の承諾なく転貸すると解除の原因になりますが、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があれば解除できないとするのが判例です。適法な転貸では転借人が賃貸人に直接義務を負い、賃貸借の合意解除は原則として転借人に対抗できません。賃管ではサブリース(特定賃貸借)の場面で問われます。

修繕と費用の負担

賃貸人は使用・収益に必要な修繕義務を負います(賃借人の責めに帰すべき事由による場合を除く)。賃借人が支出した必要費は直ちに、有益費は賃貸借終了時に価格の増加が現存する場合に限り償還を請求できます。

保証と極度額

保証契約は書面(電磁的記録を含む)でしなければ効力を生じません。賃貸借の連帯保証のように個人が一定の範囲の債務をまとめて保証する個人根保証は、極度額を定めなければ無効です。

賃管だけで出る範囲

賃管の出題範囲のうち、賃貸住宅管理業法(管理業者の登録・業務管理者・管理受託契約の重要事項説明・特定賃貸借(サブリース)の規制)、建物・設備の維持保全、家賃・敷金の金銭管理、税務・保険などの管理実務は宅建では学びません。宅建の権利関係で売買・物権に時間をかけた人ほど、賃管では賃貸借と管理業法の上乗せが中心になります。

賃管の科目別出題数(平成28年度〜令和7年度・460問)
科目出題数割合
法令108問23.5%
管理実務102問22.2%
賃貸借78問17.0%
維持保全67問14.6%
金銭管理62問13.5%
管理受託契約43問9.3%

科目は取得元の表記・問番号・問題文に基づく分類です。令和元年度以前は40問、令和2年度以降は50問のため、件数差には問題数の変更も含まれます。宅建と重なる借地借家法・民法は主に「賃貸借」に含まれます。

どっちが難しい?合格率と合格基準の推移

合格率は下表の5年度すべてで賃管の方が高くなっています。ただし合格に必要な正解数は年度によってどちらが高いかが入れ替わり、受験者層も異なるため、合格率だけで難易度は比べられません。 どちらも年度ごとに決まる相対評価です。

年度宅建 合格率宅建 合格点賃管 合格率賃管 判定基準
令和7年度18.7%33点29.5%38問
令和6年度18.6%37点24.1%35問
令和5年度17.2%36点28.2%36問
令和4年度17.0%36点27.7%34問
令和3年度17.9%34点31.5%40問

いずれも50問中の基準。宅建の令和3年度は10月試験の値です。出典:不動産適正取引推進機構(試験実施概況)、賃貸不動産経営管理士協議会(試験結果の概要)

受ける順番と日程、5問免除

今年度の試験日は宅建が2026年10月18日(日)、賃管が2026年11月15日(日)で、間隔は28日です。 共通範囲は宅建の学習で一通り押さえられるため、宅建の後は賃管だけの範囲(管理業法・維持保全・金銭管理など)を 出題数の多い科目から足していく順番が日程と合います。今年度の賃管の受験申込期間はWEB:令和8年8月3日12時〜9月30日23時59分/郵送:令和8年8月3日〜9月24日(消印有効)です。

賃管の5問免除は、賃貸不動産経営管理士講習(試験の一部(5問)免除)の修了者が対象です。令和8年度試験では、令和7年度と令和8年度の講習修了者が45問で受験します。宅建に合格していても賃管の免除は受けられません。宅建の5問免除(登録講習)とも別の制度です。

宅建士なら賃管は不要?業務管理者との関係

賃貸住宅管理業者が営業所ごとに置く業務管理者の要件は、管理業務の実務経験2年以上(または同等以上の能力)に加えて、①賃管の試験に合格して登録を受けるか、②宅建士が指定講習を修了するかのどちらかです。宅建士でも講習の修了が必要で、「宅建士なら何もしなくてよい」わけではありません。

よくある質問

宅建の知識で賃管はどのくらい解けますか?
借地借家法と民法の賃貸借・保証は共通して出るため、そのまま使えます。一方、賃管の出題の多くは賃貸住宅管理業法・管理受託契約・維持保全・金銭管理など宅建に無い範囲です。共通条のランキングと、賃管の科目別の出題数を見て上乗せ範囲を判断してください。
宅建と賃管はどちらを先に受けるべきですか?
例年、宅建(10月)が賃管(11月)より先に実施されます。共通範囲は宅建側で一通り学べるため、宅建の後に賃管の固有範囲を足す順番が日程とも合います。
宅建に合格すると賃管の5問免除を受けられますか?
受けられません。賃管の5問免除の対象は、賃貸不動産経営管理士講習(試験の一部免除)の修了者です。令和8年度試験では令和7年度・令和8年度の講習修了者が45問で受験します。
宅建士なら賃管を取らなくても業務管理者になれますか?
宅建士が業務管理者になるには、管理業務の実務経験2年以上(または同等以上の能力)と、国土交通大臣が指定する講習の修了が必要です。賃管の合格・登録は、もう一つの要件ルートです。
宅建と賃管の過去問はどこで解けますか?
このサイトの過去問ページで、宅建・賃管とも年度別に全問を解けます。各問の解説から、根拠になった条文ページへ移動できます。

まとめと次の一歩

  • ・共通して出た条文は34条。借地借家法の借家と民法の賃貸借・保証を賃管目線で復習する
  • ・賃管の得点の大半は管理業法・管理実務など固有範囲。過去問で出題数の多い科目から固める
  • ・5問免除は講習修了者が対象。宅建合格では免除されない

出典